語るを聞く

生まれ故郷で、もう一度人生を始めよう。店主が勧める一冊『ブルックリン・フォリーズ』

ふだん何気なく読んでいる本や、ふと目にとまった一節が、その後の人生に大きく影響することがあります。千葉県我孫子市にある「North Lake Cafe & Books(ノースレイクカフェ&ブックス)」の店主・松田拓巳さんに、一度は読んでおきたい「暮らし」を考える本を教えてもらいました。

ブックカフェを開業する背中を押してくれた本

ブルックリン・フォーリーズ

ブルックリン・フォリーズ』

おすすめしたい一冊は、『ブルックリン・フォーリーズ』です。「North Lake Cafe & Books」というお店を始める際、背中を押してくれた本です。もともと著者のポール・オースターが好きなんですけど、彼の作品のなかでも一番読みやすい本だと思います。

主人公のネイサンは生命保険会社で働くビジネスマンでした。彼の家庭は崩壊してしまい、60歳になってガンが見つかってしまう。病気は無事克服するのですが、一度死に損なったネイサンが、ブルックリンという生まれ故郷に戻ってきたところから、物語がはじまります。

ブルックリンは、アメリカの東地区のなかでも人情味の厚い街として知られています。この街で自分の仲間や家族、親戚や甥っ子に力づけられたり、レストランの20歳の女性にときめいたりしながら、もう一度人間らしく生きていく。彼がだんだん立ち直っていく様子が、コミカルに描かれています。

ぼくは、ネイサンとは年齢こそ違いますが、50歳になって生まれ育った街でブックカフェを開こうとした自分と重なるところがあって、すごく共感しながら読みました。ぼくを勇気づけてくれた、大切な本です。

ちょっと元気のない中高年の男性に読んでもらいたいです。もちろん、女性も楽しめると思いますよ。

この本のこと

『ブルックリン・フォーリーズ』ポール オースター (著)、柴田 元幸 (翻訳)

幸せは思いがけないところから転がり込んでくる──傷ついた犬のように、私は生まれた場所へと這い戻ってきた──一人で静かに人生を振り返ろうと思っていたネイサンは、ブルックリンならではの自由で気ままな人々と再会し、とんでもない冒険に巻き込まれてゆく。9・11直前までの日々。オースターならではの、ブルックリンの賛歌、家族の再生の物語。感動の新作長編。

引用:Amazon.co.jp| ブルックリン・フォリーズ| ポール オースター, Paul Auster, 柴田 元幸

お話をうかがった人

カフェ主宰:松田拓巳さん

松田 拓巳(まつだ たくみ)
本棚と雑用を担当。我孫子生まれ。市内の幼稚園、小・中学校で遊び、学ぶ。グラフィックデザイン、中古衣料輸入販売、青果市場仲卸、 プラント設計などの職を経て「North Lake Cafe & Books」を主宰。 趣味はトライアスロンやマラソン(現在活動休止中)。

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探求者

小松﨑拓郎

ドイツ・ベルリン在住の編集者。茨城県龍ケ崎市出身、→ さらに詳しく見る

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