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「表参道ごはんフェス」見よ、これがお米のサードウェーブだ!

五月晴れのすがすがしさを、まだ残した6月初旬。東京・表参道で、なにやらおいしいイベントが企画されました。その名も「表参道ごはんフェス」。

表参道ごはんフェス公式サイト
表参道ごはんフェス公式サイト

開催は、田植え・稲刈りそれぞれの季節に合わせた年2回。普段良くも悪くも“空気のような存在”となっているお米の底力、おいしさ、たのしさを見直す「お米の祭典」です。

今年のテーマは「お米の進化」。

お米のブランド化、生産技術の進歩、生産者の個性、お米屋さんの躍動。コーヒーに負けず劣らず、お米のサードウェーブが近づいてきています。その昔は水田地帯として、今は流行の発信地として国内外から注目を集め続ける「表参道」。

私たちは可能性に満ちたこの地から、これからのお米との向き合い方をちょっと変わったアプローチで提案します。(引用:表参道ごはんフェス公式サイト

このイベントを企画しているのは、「食」と「人」を伝えていくことをコンセプトに活動する「honshoku」という名の「食のプロデュース集団」。「表参道ごはんフェス」は、現在その中核を担う活動の1つだと言えるそうです。

・参考:食のプロデュース集団「honshoku」に聞く、「お米のサードウェーブ」と未来(7月公開予定)

食に注目が集まる今、表参道という文化の発信源に新しい切り口で「お米」を展開していくお祭りです。

honshoku代表の平井巧さん
「honshoku」代表の平井巧さん

それにしても、「お米のサードウェーブ」とはキャッチーな言葉ですが、その実態とは、いかに。さっそく表参道のイベントスペース「VACANT」に行ってみましょう。

表参道ごはんフェス会場のVACANT
表参道ごはんフェス会場の「VACANT」の入り口の様子

日本各地から、こだわりのお米が大集合

会場に足を踏み入れれば、黒山の人だかりが。開催されたのは日曜日だったということもありますが、「お米」に対する人々の関心度の高さを感じます。

ごはんフェスに人だかり

日本各地から、様々なブランド米や、お米にまつわる食品、お米をモチーフにした雑貨などが寄せられ、見渡す限りお米だらけ。試食や試飲をしながら、各ブースを回ることができ、現地や商品開発をしたご本人が、熱くお米について語っている声が、あちこちから聞こえてきます。

「粒粒」さんのCOLORFUL ONIGIRI PARTY!

ごはんフェス、ですからもちろんお食事もお米です。こちらは、ケータリングでおにぎりを提供している「粒粒」さんのカラフルなおにぎり。

粒粒さんのおにぎり

粒粒さん

「粒粒」のおにぎりは、すべて川瀬知代さんの手作り。お一人で、フェスに集まる人々のおにぎりをひとつひとつ握ります。使用しているお米は、一般財団法人日本穀物検定協会が設定している「米の食味ランキング」で、最高評価「特A」に認定された、香川県の新品種「おいでまい」です。

粒粒さんのおにぎり

もとくら編集部が撮影に入ったときは午前中でしたが、すでに半分以上がお客様の胃の中へ。

お米を作っている人の話を聞きながら、カラフルでかわいい「粒粒」さんのおにぎりを見ていると、食欲が湧いてきて、取材ということを忘れてついつい手が伸びてしまいそう。

それでは、各こだわりのブースを見て回りましょう。

朱鷺と暮らす郷づくり推進協議会

こちらは、新潟県佐渡島からやって来た「朱鷺と暮らす郷づくり推進協議会」の方々。

朱鷺と暮らす郷づくり推進協議会

佐渡と言えば朱鷺(トキ)ですが、佐渡の名物はそれだけではありません。なるべく無農薬に近い状態で作られたお米は、甘くて口の中でほろほろほぐれます。

また、このお米を作る水田では、水路やビオトープを設けて、お米作りをしながら周囲の生きものの暮らしも守ることをモットーにしているとか。水辺を作ることで生態系が生まれ、昆虫やほかの生物が住み始め、それらを求めて鳥たちが集まってくるのです。

人間だけでなく、他の動物にとってもうれしいお米ですね。

ブレンド米「Feeling」

「表参道ごはんフェス」を主催するhonshokuが作ったブレンド米「Feeling米」。「気分」によってお米の味を選べるというもの。雑貨やコーヒーなどを選ぶような気軽な感覚で、お米を選んで欲しいという想いから生まれました。

Feeling米

種類は「FOREST -深呼吸の森-」「HAPPY TIME -またとない時間-」「PICNIC -陽のあたるシート-」「OCEAN BREEZE -海からのそよ風-」「SPIRIT -揺るぎない精神-」の全5種。

実際にお米を食べると、ほんとうに味が違う! 驚きです。けれど、どの味がどのFeelingに合うかは、個人によって若干違いがあるよう。もとくら編集部がいただいたのは、「OCEAN BREEZE -海からのそよ風-」でしたが、全員不正解でした……。

大黒屋商店

お米といえば、誰もが知る王道のブランド「コシヒカリ」があります。その産地である新潟からやってきた「華麗舞」は、コシヒカリとはまた違ったお米。

華麗舞

何が違うのかというと、「華麗舞(かれいまい)」という名前のとおり、カレーに合うように作られたお米なのです。カレーのルゥとからめたとき、お米ひと粒ひと粒がルゥと馴染むように、ほぐやすく作られたお米なのだとか。

お米の名産地だからこそ、お米を使ったメニューに対する視野の広さに感服です。

一般社団法人おにぎり協会

作っている方々以外にも、お米が大好きな「おにぎり協会」という気になる団体も見つけました。

おにぎり協会

日本各地のお米の名品を集め、国内外におにぎりの良さを広めるべく活動中です。おにぎり協会によると、日本のおにぎりの歴史は、紀元前まで遡るといいます。確かに日本で稲作が始まったのは縄文時代(※諸説あり)ですから、その頃から、お米をまるめて食べるという行為がなされていても、おかしくはありません。

おにぎりと一言に言えども、その歴史と文化はじつは日本文化の根幹を支えているのかもしれません。ちなみにブースでは、お米をモチーフにしたアクセサリーや雑貨も販売されていました。

信級玄米珈琲

お米やお米のお供が並ぶブースで、一際、もとくら編集部の目を引いたのは、こちらの「信級玄米珈琲」。お米を素材にコーヒーを作っており、カフェインゼロのコーヒーです。

信級玄米珈琲

長野県にある信級(のぶしな)地区で、炭農家を営む植野翔(うえの かける)さんが、お米を焙煎して作ったコーヒーです。焙煎方法は、信級地区で唯一の、現役の炭焼き職人のおじいさんの技に習ったものだといいます。

東京から長野へ移住した植野さんが、ひとりで作っているコーヒーを、都内のメンバーがプロモーションし、チームで作り上げている「信級玄米珈琲」。ほんのりとした苦味と口の中に、お米のふんわりとしたやわらかい後味が残ります。妊婦さんやコーヒーが苦手な方でも、ぐいっと飲めそうです。

亀吉

さて、こちらには、とても目を引くTシャツを持った男性が。胸元に書かれたロゴは「NO RICE NO LIFE」。

亀吉

お米愛をひしひしと感じる「亀吉」さんは、有機農法でお米を作っている方。自分でお米を作ることで、食に対する感謝と関心が深まり、より自分が感じたお米の魅力を広めるべく、Tシャツやバッグなどのグッズを販売しています。

インパクト大のこちらは、亀吉さんの公式サイトでも買うことができます。お米愛を全身全霊で表現するには、ピッタリです。このTシャツを着て、田植えや稲刈りをしたいですね。

トークイベントも多数

時間割別に、農家の方をはじめデザイナーさんやお米屋さんなど、お米のプロフェッショナルたちが、かわるがわるトークイベントを開催。

ごはん授業

また、味覚を磨くためのワークショップや、おにぎりを作るイベントなど、体験ものも楽しめるようになっています。

舞台は変わって「粋場-IKI-BA-」へ

お米の話ばかり聞いていたら、お腹がすいてきてしまった編集部は「VACANT」から歩いて5分ほどの所で、フェス限定の定食が食べられると聞いて、「粋場」へやって来ました。

粋場
表参道ごはんフェス会場の「粋場」の入り口の様子

「IKI-BA」は(自立・自律した)大人のための自由な空間です。ここでは、食と知への好奇心を刺激する新しい場の提案を常にしています。(粋場-IKI-BA-公式サイトより)

1階のバーカウンターと、テラス席数席では、すでに定食をたのしんでいる方々が。また、お米と言えば日本酒ですから、中にはほろ酔い気分で心地よさそうな方もいました。

ごはんプレートB
ごはんB定食(800円)
ごはんプレートA
ごはんA定食(950円)

つやつやとしたお米と、お味噌汁をはじめとした、ごはんのお供たち。ごはんA定食の左上の小鉢には、スープカレーが入っていました。メインディッシュが、どーんと存在感をアピールしている定食ではありませんが、その分、ひとつひとつの素材を噛み締めながら味わっていただける定食です。

※こちらは、限定の定食です。現在は食べられませんのでご注意ください。

マレーアジアンクイジーン

「粋場」の2階は、イベントスペースにもなっています。お昼間には、マレーシア料理のバイキングが開かれていました。

マレーシア料理

お米と言うと、日本だけではなくアジア全体の食文化と言えます。日本の丸くてしっとりしたお米とは違い、あたたかい地方の東南アジアのお米は、パラパラしていて細長い形をしています。

マレーシアのお米を、ピリ辛に味付けされたイカや鶏肉のソテーといっしょにいただきます。

マレーアジアンクイジーンのみなさん

この企画は、東南アジアの情報に特化したサイト「TRIPPING!(トリッピング)」の方々によるもの。現地のリアルをよく知る方々によって提供されるマレーシア料理に、多くの人が舌鼓を打っていました。

お米のサードウェーブとは何かを探る

今までは、実際の物流は別として、お米を作って売るのは農家さん、というイメージが定着していたように思います。ですが、お米のブランド化や生産技術、個性や消費・加工のバリエーションの豊かさが進化するに連れ、日本の主食である「米」の印象も、少しずつ変化してきているようにも感じます。

・参考:食のプロデュース集団「honshoku」に聞く、「お米のサードウェーブ」と未来(7月公開予定)

VACANT入口

コーヒーのサードウェーブならぬ、米のサードウェーブ。身の回りにある当たり前のものが、変化していく様。その最先端の機運を、東京の中心地の1つ・表参道で発信するこのお祭り……主催者の方々に感想を聞くと、「第1回目、第2回目の開催に比べて、若く、おしゃれな女性の参加が目立った」とぽろり。

サードウェーブが何を指すのかは、それぞれ考えが違うかもしれませんが、「表参道ごはんフェス」は、「現代のお米」への姿勢を問う、大きな実験と改革の場になっていくのかもしれません。

次回の開催は11月を予定。ご興味のある方は、ぜひ「表参道ごはんフェス」、または「honshoku」サイトをチェックしてみてくださいね。

あなたは、なにを、どこで、誰と美味しく食べて生きていきますか。

このイベントのこと

表参道ごはんフェス
開催日時:2015年6月7日 日曜日
開催場所:VACANT粋場-IKI-BA-
公式サイト:表参道ごはんフェス
主催:honshoku

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探求者

立花実咲

1991年生まれ、静岡県出身の編集者。生もの&手づくりのもの好き。パフォーミングアーツの世界と日常をつなぎたい。北海道下川町で宿「andgram」をはじめました。→ さらに詳しく見る

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