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【トークイベントを開催します】古いから美しいのではなく、美しいから古くいられる。昭和村の暮らしに生きる「からむし布」とは?

土からうまれた糸を継ぐ【福島県昭和村】特集、はじめます。

福島県の奥会津に位置する「昭和村」。

人口1300人ほどのその地域では、戦前より遥か昔からつづく、自給自足的な暮らしが今なお健在です。おじいちゃんおばあちゃんから若者まで、季節と毎日の調子に合わせて、手を動かします。

その営みのひとつとして、この村で脈々と続いているのが「からむし」。

からむし

からむしは、土から糸になる植物のこと。

昭和村では、育てたからむしを刈り取り、繊維を取り出し、それをつなぎ合わせて一本の糸にするまですべて、「ひとの手」でおこなわれています。刈り取ったからむしからは透けるように薄くしなやかな繊維が引き出され、「上布」といわれる上質な布地づくりに用いられてきました。

昭和村とからむし

灯台もと暮らしは2017年より、「からむし」と、からむしに携わるために日本各地から昭和村やってきた女性たち「織姫さん」を取材してきました。

織り姫とからむし

渡し舟

そして2018年8月、からむしを切り口に、「これからの布」と「暮らし方」をテーマとしたトークイベントを開催する運びとなりました。

登壇してくださるのは、テキスタイルデザイナーの須藤玲子さん、哲学者・明治大学准教授の鞍田崇さん、織姫さんとして昭和村で暮らす田島紀佳さんと加藤萌絵さん、昭和村特集のライティングを担当してくださっている中條美咲さん、の5名です。

モデレーターは、昭和村特集の編集を担当する小山内が務めます。

登壇者紹介

須藤 玲子(すどう れいこ)

茨城県生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科テキスタイル研究室助手を経て、株式会社「布」の設立に参加。現在取締役デザインディレクター。英国UCA芸術大学より名誉修士号授与。東京造形大学教授。2008年より株式会社 良品計画のファブリック企画開発に携わり、2016年より同アドバイザリーボードメンバー。Photo by Kosuke Tamura(撮影 田村孝介)

鞍田 崇(くらた たかし)

哲学者。京都大学大学院人間・環境学研究科修了。現在、明治大学理工学部准教授。近年は、ローカルスタンダードとインティマシーという視点から、現代社会の思想状況を問う。著作に『民藝のインティマシー 「いとおしさ」をデザインする』(明治大学出版会 2015)など。民藝「案内人」としてNHK-Eテレ「趣味どきっ!私の好きな民藝」に出演(2018年放送)。HPはこちら

加藤 萌絵(かとう もえ)

東京都出身。23期からむし織体験生を経て、現在はからむし織研修生2年目。からむしを学びながら、これからのこと、からむしとのかかわり方、昭和村での心地よい暮らし方を模索中。

田嶋紀佳 福島県昭和村 

田嶋 紀佳(たじま のりか)

香川県高松市出身。24期生からむし織体験生を経て、現在はからむし織研修生。昭和村道の駅で使用する暖簾を製作中。その後は、織り機を自ら製作し、経糸は機械紡績を、緯糸は手績みを使用した大きなからむし布をつくりたいと考えている。

中條 美咲(なかじょう みさき)

紡ぎ人。1989年長野県生まれ。奥会津 昭和村に根付く「からむし」と「織姫さん」の存在に惹かれ、2015年から村に通い取材を重ねる。灯台もと暮らしライター、日本工芸産地協会の事務局運営に携わる。

***

からむしの糸から機織で「布」をつくる営みは、昭和村の冬の手仕事。自然のサイクルに逆らうことなく、手をかけて育てられたからむしは、丈夫で美しい布地に仕上がります。

山内えりこさん作品

工房toaru cafe(トアル・カフェ)

からむしや、昭和村の営みを知った私たちは、昭和村の暮らしぶりを純粋に美しいと感じました。そしてそれは、来村を重ねるたびに「古いから美しくいられるのではなく、美しいから古くいられる暮らしぶりでは」、という確信に変わっていきました。

はじめは素材としての「からむし」や、「織り」という視点にだけ惹かれ村に来た織姫さんたちも、1年間村で過ごせば、口を揃えてこう言います。

「からむしだけじゃなくて、昭和村での暮らしとかそこで暮らすひとにも惹かれてしまうんです」

「昭和村のひとたちがつなげてきた生活も含めて、からむしのあるこの村の暮らしを守りたい」

昭和村の暮らし、その中に生きる「からむし」。

それらは私たちのこれからに、どんな「布のあり方」や「それを使う豊かさ」を提示してくれるだろう?

私たちにとても身近な「糸」や「布」という視点から、どんな素材を使う暮らしが自分や周りのひとにとってに豊かなのか、一緒に考えてみませんか?

当日は、からむし布の実物もご覧になることができます。

イベント詳細

◾日時
8月5日(日)

◾場所
Impact HUB Tokyo Tokyo
住所:目黒区目黒 2-11-3 印刷工場1階

◾イベント参加方法
参加はこちらから。

◾参加費
2000円

◾タイムスケジュール
12:30 受付開始
13:00 イベントスタート、ご挨拶
13:15 トークセッション[1]昭和村のからむしと暮らし
(登壇者:加藤萌絵さん、田島紀佳さん、中條美咲さん)
14:15 休憩
14:30 トークセッション[2]これからの布と産業を考える
(登壇者:須藤玲子さん、鞍田崇さん)
15:30 質疑応答
15:50 閉会

◾主催
福島県大沼郡昭和村、株式会社Wasei

(このイベントは、平成30年度福島県地域創生総合支援事業の補助金を受けて実施しています)

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探求者

小山内彩希

編集者・ライター。1995年生まれ、秋田県能代市出身。

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【福島県昭和村】居たいと思える場所に、居たいと思える人と 【福島県昭和村】働く手のぬくもりと、陽だまりのような布

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