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【移住女子】衣食住の中でも目に見えないものを見つめたい-宮城 島本幸奈&新潟 佐藤可奈子-

私と地域の未来をつくり、繋いでいく。【移住女子】特集、はじめます。

新潟県十日町市で、移住女子フリーペーパー『ChuClu(ちゅくる)』編集長、「かなやんファーム」代表として里山で魅力ある暮らしを届ける佐藤可奈子さん。そして「一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン」の立ち上げから携わり、水産業の魅力を全国に発信している、宮城県石巻市の島本幸奈さん。

震災の復興ボランティアをきっかけに移住した2人は、農業と漁業という生業の違いはあれど、「地域をプロデュースしたい」という同じ想いを持っているようです。

島本幸奈さん

島本 幸奈:宮城県石巻市

1991年千葉県君津市生まれ。震災がなければ、名前も聞いたことなかったし、来ることもなかっただろう宮城県石巻市での移住生活も6年目になっちゃいました。漁業をカッコよくて、稼げて、革新的な「新3K」を目指す、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンに立ち上げから関わり、海と共に生きる男達の中で紅一点、情報発信や個人向け販売、交流イベント、担い手育成事業などに携わり水産業の魅力を全国に発信している。自分が感じた漁師たちのカッコよさと彼らのつくる海産物の美味しさの感動を、ひとりでも多くのひとに届けるために日々奮闘中。

佐藤可奈子さん

佐藤 可奈子:新潟県十日町市

香川県生まれ。28歳。当時は海外支援の分野で働きたいと思い、立教大学法学部政治学科に入学。在学中に当時6軒13人だった新潟県十日町市の池谷集落の農業体験に参加。卒業後、集落に移住して就農。水稲、さつまいなどを栽培。14年には27歳で全国最年少の女性農業委員に就任。移住女子フリーペーパー『ChuClu』編集長として、里山での魅力ある生き方を発信。新潟日報にて「きぼうしゅうらく」、全国農業新聞にて「一粒万倍」を連載中。雪国農業が生む、目に見えない大切なものをつなぐ。

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カッコいい・稼げる・革新的の「新3K」な産業にしたい

佐藤可奈子(以下、可奈子) 幸奈ちゃんと私は漁業と農業という一次産業に携わっているから、今日はお互いの仕事と働き方についてお話できたらいいな。

島本幸奈(以下、幸奈) はい、そうですね!

移住女子の佐藤可奈子さんと島本幸奈さん

可奈子 幸奈ちゃんは今、フィッシャーマン・ジャパンで働いてどれくらい?

幸奈 2014年の年明けから活動していたので、もうすぐ2年になります。

可奈子 お話する前にちらりと公式サイトを拝見しました。活動理念に掲げている「新3K」というのが、いいなと思って。

幸奈 ありがとうございます!(笑) 三陸の海から、水産業における「かっこいい、稼げる、革新的」を創ることを目標にしています。

フィッシャーマン・ジャパン

可奈子 どうしてこの理念に?

幸奈 漁業は「きつい、汚い、危険」という負のイメージが根付いてしまっていると思うんです。それを変えたくて、「K」からはじまる3つの新しい言葉を掲げました。

可奈子 そういう現状があることは知りませんでした。農業のことならわかるけど、漁業のことはわからないなあ。

幸奈 私もこの仕事に携わるまで、魚がどんなふうに育っているのかも知らなかったですよ(笑)。

可奈子 私もわからない(笑)。東北の水産業のこと、教えてほしいです。

水産業の現状

幸奈 東北の水産業の現状は、衰退傾向にあります。ここ20年間で漁師さんは32万人から17万人に減少していて、その17万人のうち、20~30代のひとは18%しかいません。3分の1まで落ち込んだ水産物の生産量は、生産額にしておよそ半分です。

可奈子 数字だけ見ると、おっきな変化ですね。

幸奈 現在のままの推移でいくと、今後は水産業そのものがなくなってしまうのでは……と言われているんです。

可奈子 そうなんだぁ……。

幸奈 でも、水産業は、日本の誇るべき産業なんですよ。三陸海岸は、親潮と黒潮がぶつかる世界の三大漁場。豊かな自然環境があってこそ、日本の主幹産業として水産業が続いてきたんです。

若い世代のひとも含めて、日本人みんなにとって胸を張れる水産業を築きたいと思って、活動しています。

農業・水産の、継がれてきた生活文化を繋ぎたい

フィッシャーマン・ジャパン

可奈子 私のフィールドはおもに農業だけど、幸奈ちゃんと同じようなことを考えて活動しているから、言っていることはとっても分かる。質問攻めになっちゃうけど、フィッシャーマン・ジャパンさんって、具体的にどんなことをしているんですか?

幸奈 私たちは海産物を売る事業と、担い手を増やす事業の2点を軸に動いています。

私は担い手の事業をメインに、水産業特化型の求人サイト「FISHERMAN JOB」や仕事と住まいとコミュニティをサポートするシェアハウスをつくったり、「BEAMS」さんや「URBAN RESERCH」さんとのコラボ企画で「シーパーカー」などの洋服を売ったり。あとは、海産物のネットショップをしたり、都会で暮らすひとを漁業の現地に呼ぶツアーや、私たち自身が都会に行って水産業の魅力を伝えるイベントを開催したりもします。

可奈子 いろいろなことをされているんですね。

幸奈 フィッシャーマン・ジャパンに属しているといっても、私は船に乗って漁業をする仕事がメインではなくて、漁師さんたちが気持よく働けたり、新しい産業を創りだしたりできる環境をつくるお手伝いが、仕事の中心。業務は色々な分野に及ぶので……私自身は一体何屋さんなのかと聞かれると、正直自分でもわからなくなることがあります(笑)。

移住女子の島本幸奈さん

可奈子 私が気になったのは、「フィッシャーマン」という職種があることでした。

幸奈 そうなんです。新しい職種として、水産業に関わる多種多様な能力を持つひとを「フィッシャーマン」と定義しています。

可奈子 新しい視点でかっこいいと思いました。あと漁師さんのファンクラブがあるということも。これには驚いたなぁ。

島本 「CLUB MERMAN」のことですね。「CLUB MERMAN」は、あたらしい漁師との関係性を創って、水産業のイメージを変えること、そして未来に続いていく生業にしたいという想いで運営しています。

会員の証であるバッヂや様々なイベントへのご招待、宮城県の水産物が届くことはもちろん、それらができるまでの背景やつくり手の想いを、直接メッセージとして届けています。ちなみに「MERMAN」は、半分消費者、半分漁師の半漁人という意味です。

可奈子 少し距離の近い関係性をつくっていけるんですね。私が農業を通してやりたいことを、水産業で実現しようとしているんだなぁと思いました。

佐藤可奈子さん

幸奈 可奈子さんも移住女子の活動を軸に、とても積極的に動いていますよね。中山間地域の暮らしを伝える『ChuClu』だったり、『全国農業新聞』で連載したり、とても上手に発信されているなぁと思っていました。

可奈子 もちろん発信は大事なことの一つなのですが、最近は、その先のこともやりたくなりましたね。

幸奈 その先のこと?

可奈子 十日町に移住して6年目で、やっと生活の土台ができてきました。今までは目の前にある自分の暮らしを追うだけで精一杯だったんだけど、これからは十日町の暮らしが未来まで続くための、仕組みづくりがしたい。

幸奈 可奈子さんがやっている情報発信や商品開発は、あくまでも手段なんですね。

可奈子 そうそう。地域をプロデュースしたいと思う根源には、目に見えないけれどずっと昔から継がれてきた生活文化を繋ぎたいという気持ちがあります。

移住女子の佐藤可奈子さん

幸奈 目に見えないものというのは?

可奈子 ひとの生き方や、生きる哲学、あとはどんど焼きなどの祭事や祈りもそう。見た目の良さや数字ではかる世の中だからこそ評価されにくいから、地域で暮らし繋がれてきたものを大切にしたい。

幸奈 うんうん、地域の仕事と暮らしの未来をつくっていきたい。そういう想いが、私たちは一緒なんですね。

「つくるひと」と「伝えるひと」のチームで信頼を生みだそう

フィッシャーマン・ジャパン

可奈子 あと、震災で被災している土地ということも、幸奈ちゃんと私の共通点だね。

幸奈 たしかに。私が石巻に移住したきっかけは、東日本大震災の復興ボランティアです。

可奈子 私が移住するきっかけも同じですよ。中越地震で被災した地域の復興農作業ボランティアで池谷集落に来ました。

池谷集落

幸奈 東日本大震災から5年が経って、「復興」という共感ではものを売り続けられなくなっている側面があるかもしれないと思っています。

可奈子 十日町でもそれに近い感覚を持っています。これからは腹をくくって、地域でやってきた活動を仕事にする段階かな。

でも、これからもひとを繋ぎながら、「復興ではない共感」で繋がり続けなきゃいけないと思うの。

移住女子の佐藤可奈子さんと島本幸奈さん

幸奈 うんうん、そう思うからこそ、フィッシャーマン・ジャパンは、チームを組みました。

可奈子 コミュニティをつくるのは大事ですよね。

幸奈 石巻では、「漁師は一匹狼」って言われているんです。魚屋さんと漁師さんって、普段は魚を売り買いする間柄だから、魚屋は1円でも安く買いたいし、漁師は1円でも高く買ってもらいたい。そんな背景がある中団結したのは、すごく意味のあることだなって。

可奈子 チームを組んだからこそ、魚を使った加工食品やデザインの力を借りた新しい産業のかたちをつくることができるんですね。フィッシャーマン・ジャパン

幸奈 はい。さっきお渡しした「FISHERMAN JOB」という求人冊子も、石巻で活動しているカメラマンとライターさん、デザイナーさんと一緒にものづくりをしています。

可奈子 それも、小さくても地域の中で経済がちゃんと回るようなすごくいい仕組みですね。地域の中のひとの財産を、上手く繋いでいるなぁと思いました。

幸奈 地域で生きることは、「どこどこの町や集落に住む誰々さん」って周りから見られるということでもありますよね。「つくるひと」と「伝えるひと」がチームになって、石巻のひとたちがやることは信頼できる──都会のひとたちからもそう思ってもらえるようになりたいです。

可奈子 移住するひとたちやその地域に住んでいるひとたちが、自分の足元を見ながら自然体で暮らしをつくっていくことが、大事なんだと思います。

(この記事は、にいがたイナカレッジと協働で製作する記事広告コンテンツです)
(一部写真提供:佐藤可奈子・Funny!!平井慶祐

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探求者

小松﨑拓郎

ドイツ・ベルリン在住の編集者。茨城県龍ケ崎市出身、→ さらに詳しく見る

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