高知県嶺北地域の本山町。事業家でプロブロガーのイケダハヤトさんは、ここで奥さまと、ふたりのお子さんと4人家族で暮らしています。

イケダさんが運営するブログ「まだ東京で消耗してるの?」は、そのタイトルの通り、過激な物言いで物議を醸すこともありますが、その裏には、穏やかな夫としての顔、父としての顔があります。

【夫婦対談】前編の今回は、おふたりの東京での出会い、同棲、結婚を中心に語っていただきました。ブログではなかなか見ることのできない、やさしい夫婦の時間です。

イケダハヤトさん

イケダ ハヤト

1986年神奈川県生まれ。2009年に早稲田大学政治経済学部を卒業。社会人3年目に独立。著書に『年収150万円でぼくらは自由に生きていく(星海社)』『武器としての書く技術(中経出版)』『新世代努力論(朝日新聞出版)』『まだ東京で消耗してるの? 環境を変えるだけで人生はうまくいく(幻冬舎新書)』などがある。

イケダミキさん

イケダ ミキ

1986年生まれ。早稲田大学卒業。元銀行員。最近は「ローカルあんぱん」をつくっている。時間に追われることがきらいらしい。料理が上手で、イケダハヤトさんが運営するnoteの有料マガジン「今日はどんな実験をしよう。」では「イケダミキの土佐レシピ」としてその腕前を振るっている。

イケダハヤトさんご家族1

吹奏楽サークルで出会い、同棲を始める

イケダミキ(以下、ミキ) ふたりが出会ったのは大学在学中で、早稲田の吹奏楽サークル。ちょっとマニアックな打楽器をやっていたよね?

イケダハヤト(以下、ハヤト) うん、民族打楽器が好きだったから。モテなければ吹奏楽で打楽器をやるといいと思うよ。楽器の比率を考えると、打楽器をやったほうが活躍しやすいからさ。付き合い始めたのも大学の頃だった。僕が大学4年で、日本橋でひとり暮らしを始めたときに、部屋に入り浸っていたよね?

ミキ え、私が?

ハヤト うん、そうだよ。違う?

ミキ うーん、転がり込んだわけではないよ。

ハヤト まあいいけど。嬉しかったから(笑)。要するに、半同棲になった。ご飯を一緒に食べるのも楽しいし、家もミキにとっては大学へ行くのに日本橋のほうが近かったからね。僕が社会人1年目を終えて2年目に入る頃、浜松町辺りで働き始めたから本格的に同棲を始めた。それが2010年で、その夏に、家から帰ったら結婚情報誌のフリーペーパーが置いてあった。

ミキ なんでわざわざそれを言うの!(笑)。

ハヤト だって事実じゃん。

ミキ 他意はなかったんだよ。

ハヤト 他意はなくても、メッセージ性があるよ(笑)。結局、半同棲から数えて2年くらいずっと同棲していたので、結婚しましょうという話になった。

ミキ 入籍したのは2011年の1月1日だよ。

ハヤト ゴロがよかったからね(笑)。日本橋のワンルームから品川に引っ越して、そしたらこの子(長女)がお腹の中に入ってきた。

ミキ この子が生まれてから、私の実家が近い多摩市に引っ越したんだよね。

ハヤト うんうん。で、東京だと子育てするのが難しいと感じて、高知県に移住して今に至る。

改めて振り返ると、いつの間にか仲良くなっていたよね。僕から熱心にアプローチした記憶はあんまりないけど、サークルで同じ時間を共にしていたから一緒にいるのが自然だったし「デートしてください!」みたいなことはなかったね。

ミキ そうだねぇ。出会った最初の頃は……「変な服装の人だな」って思っていた。

ハヤト ひどい(笑)。打楽器に合わせて、民族系の服を着ていたからね。仲良くなれたのは、音楽とか本の趣味が合ったのが大きいのかも。

ミキ 私はカフカが好きで。

ハヤト そうそう! カフカが好きな女性って珍しいなって思ったんだ。僕は安部公房とか、いわゆるシュルレアリズムが好きだったから、図書館でシュルレアリズムの画集とか小説とかを読んでいて、これはちょっと洗脳しなければと思った。

ミキ 一緒に展覧会に行ったよね。

ハヤト 展覧会行ったね。音楽もロックみたいなクラシックが好きで、ソ連時代の作曲家のドミートリイ・ショスタコーヴィチの激しいやつを聴いていた。

ミキ 私の父が聴いていた音楽を、はっくんも好きで、いろいろ貸してくれて。

ハヤト うちにあるよって話したのを覚えているな。就活のときには僕が、うつ病の一歩手前と言われている、ヒステリー球(咽喉頭異常感症)になったんだ。あの頃は大変だった。

ミキ 当時のはっくんを見ていたから、ブログが炎上してネット上でいろいろひどいことを言われ出した頃は心配していたんだよ。でも、今は何を言われても大丈夫そうだよね。

ハヤト どんな反応をされても、見ていないから(笑)。

ミキ ダメージを受けている様子もないし、私も見ないほうが気が楽。

ハヤト 僕のブログ、読んでいないもんね(笑)。やっぱり、あなたがいないと僕は無理。それは綺麗ごとではなくて、パートナーがいないと、僕の仕事は難しいから。太宰治とか芥川龍之介とか昔の作家は、だいたいうつ病で死んでいるけど、僕には帰る家がある。多少ネットで炎上しようが、美味しいご飯と家族が家で待っているからやって来られたと思っている。

ふたりが考える家族経営

ミキ だんだん有名になってきた最初の頃は、プライベートなことを外に出さないで欲しいって思っていたよ。炎上していろいろ言われているのに、平気で個人情報を書いちゃうんだもん。怖いじゃん。「なんで出すの!」って怒ったよね(笑)。

ハヤト そうだっけ?

イケダハヤトさんに指摘するミキさん

ミキ そうだよ(笑)。でも私は、子どもが生まれてから、自分が楽しいと思って生きるのが一番いいかなと思っているんだ。仲が悪くて不満に思っている姿を、子どもに見せたくないし。どれくらいお金を稼ぐかとか知名度はどうでもよくて、どうやったら仲良く心地よく家族で過ごせるかを目指しているんだよね。

ハヤト おもしろい! 会社で言ったら、売り上げの拡大よりも従業員の満足度や社内のカルチャーをしっかり伸ばしていこうという話と同じだ。どこを重要視するかということだね。

ミキ うん。そのためには、言い方が難しいけれど、やりたくないことを減らしていくのが大事で。生活していて、いい感じだなとか、ちょっと嫌だなとか感じたときに、いい方向に近づけるためにはどうしたらいいかなって考えながら生活しているよ。

嶺北に来てから洗濯をするのがすごく楽しくなったんだ。今まではどちらかというと嫌いだったんだけど、パッとベランダから出て、陽の当たるところで洗濯物を干して、カラッと乾く。その変化を感じるのがすごく好き。環境を変えるだけで、自分の気持ちが楽しい方向に向くんだなって実感している。

ハヤト なるほど。場所が変わったのは大きいよね。

ミキ あと、子どもたちと遊ぶこともそう。東京にいた頃は毎日同じことをして、時間を潰して、どうしても子どもの遊びに付き合う感じだったけど、こっちに来てからは、私がやりたいことを子どもたちと一緒にやっている感覚なんだよね。

ハヤト おもしろいねぇ。家族も、経営なんだよね。この環境で子どもたちを入れた4人で、いかにやりたいことをやっていけるか。それぞれのやりたいことを組み合わせることはすごく重要で。たとえば長女は温泉が好きだから温泉の事業をやれば、みんなで楽しめるし、美味しいものもみんな好き。だから、美味しいご飯を食べて、ドライブして温泉に行くっていうのは、みんなのやりたいことを叶えていること。

ミキ うん。みんながやりたいことをやれるというのは、すごくいいよね。

ハヤト 思い返せば僕らはもともと節約体質で、日本橋で半同棲していたときも、生のトマトを一回も買わなかったし、鶏胸肉しか食べなかった時期もある。節約するのは個人の生活ではいいことなんだけど、事業として考えると、どこかで投資するタイミングも必要なんだよね。だから今は、ちゃんと次に活きるお金の使い方を探っているよね。

ミキ お金に関してはすごく保守的だよね。とはいえ、最近はいいバランスで仕事や生活のことを考えられている気がするよ。ただ、パソコンばかり見ているのはちょっといやだけど。朝起きてすぐ画面を見るし、トイレ行くにもiPadをずっと持っていて、気づくと全然目が合わないんだよ(笑)。

ハヤト このあいだ、それで怒られたよね!

本当に楽しそうにお子さんと遊ぶイケダさん

高知に移住すると決めたとき

ミキ そう(笑)。普段は目が合うことが少ないけど、はっくんが高知に移住するって決めたときは、高知はいいところだからとりあえず見に行こう、って言って連れて来られた。で、せっかく来たんだからって、宿泊した翌日に物件を探したんだよ。

ハヤト ほとんど移住する前提だ(笑)。

ミキ 最初に高知県に行くよって聞いたときは「なぜ高知県なの?」って思った。でも「楽しいし、カツオが美味しかった」って言うだけ。

ハヤト たしかにそこは言語化してこなかったね。ノリだよ、ノリ。

ミキ 高知に行く前に、糸島から帰ってきて話を聞いて「地方に行きたいんだなぁ」というのは徐々に感じていたけれどね。

ハヤト 糸島も飛騨古川も、みんなで一緒に行ったもんね。その場のノリで物件を決めたけど、まぁ、ダメだったら戻ればいいという気楽さがあった。はじめに移住しようって言ったときは、そもそもソフトランディング的に入るつもりだったんだんだけど。

ミキ うんうん、言っていたね。でも私、今すっごく楽しいよ。

イケダハヤトご家族1-finish

── 後編の「はっくんはよく笑うようになった」に続きます

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