いつもと暮らし

【今日の一枚】「もちまき」と共に、季節はうつり変わっていきます|高知県土佐町

高知県嶺北地域・土佐町の暮らしを届ける「今日の一枚」。鳥山百合子さんとご家族は、秋におこなわれた運動会ともちまきに参加したそうです。今回もご家族の大切な日常を綴っていただきます。

実りの秋。

土佐町内の各地域で運動会が開かれ、私が暮らしている相川地区の運動会では、地域ならではの種目があるのです。

  • 縄ない競争(藁で縄を綯い(ない)、どちらが丈夫な長い縄を綯えるかを競う)
  • 糸巻き競争(糸を小さな板に巻きつける速さを競う)
  • 箸拳(2人が3本ずつの赤い箸を合計本数が3本になるように突き出し、威勢よくリズミカルな調子で本数を当てる。高知県に伝わるお座敷遊び)など。

縄ない競争では、わら束からわらを2〜3本ひきぬいて、手を水でぬらし、少しずらして合わせた手のひらと両手の親指の付け根でわらをこすりあわせるようにして縄を綯って(なって)いきます。手のひらと手のひらの間から縄が生み出される様子は、いつ見てもほれぼれします。

私も参加しましたが、速さも丈夫さも美しさも全くかなわず……。さすが人生の先輩方が素晴らしい技を披露してくださって「これだけは若いもんには負けん」と笑ってお話されていました。

くじびきもあり、景品は延長コードや高枝切りばさみ、はしごなど実生活で役立つものばかりであることもおもしろいです。

それから運動会の最後には「もちまき」があります。お米どころである相川地区の方が育てたもち米を、蒸してついて丸めたおもち。ひとつずつ「祝」と書かれた袋に入っています。

高いところへおもちをまく人が立ち、下には拾う人たちがおもちを入れる袋を片手に、待ちます。合図とともに上からおもちが次から次へと降ってきて、お菓子やラーメンの袋も飛んできて、それをこどもから大人まで夢中になって拾うのがもちまきです。

はじめの頃はあまりの迫力に立ち尽くしてしまいましたが、今では袋を忘れずに持ち、さあ、たくさん拾うぞ!と楽しみにしている行事。もちまきは「今年も無事にお米を収穫できました。ありがとうございます」と実りの秋に感謝することでもあるのです。

運動会が終わると、冷たい風が吹きはじめ、山のなかに黄色や赤色がだんだんと加わっていくことに気が付きます。

秋から冬へ。季節は、感謝とともにうつり変わっていきます。

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鳥山百合子

2011年に神奈川県から土佐町へ移り住む。3人の子どもの母。NPOれいほく田舎暮らしネットワークで働きながら、家族で食べるお米と野菜をつくっている。山の暮らしの知恵を学び、それを自分自身の身につけながら、次の世代へも引き継いでいけるように、「書くこと」「記録すること」に取り組んでいる。

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