いつもと暮らし

【今日の一枚】「薪」なんて昔話みたいですが、現役選手です|高知県土佐町

高知県嶺北地域・土佐町の暮らしを届ける「今日の一枚」。神奈川から移住してきた鳥山百合子さんの日常を綴っていただきます。

寒い冬の楽しみは、薪ストーブに火を入れること。

風が強い日に落ちてくる杉の枝を集めておいて、その上に細い木をのせ、マッチで火をつけます。

ぱちぱちぱち……。

最初はまだ小さな炎が、次第に「これでだいじょうぶ」という勢いある燃え方になってきたら太い薪を入れていく。

だんだんと部屋があたたまってきます。

子どもたちもストーブの周りに集まって本を読んだり、宿題をしたり、絵を描いたり、おもちゃを運んできたり……。時にはけんかもしますが、ストーブの前でくりひろげられる光景はなかなかいいものです。

私が住んでいる家は古い家なので、土佐町で初めての冬を迎えた時、家で吐く息は白く、外よりも家の中の方が寒いのでは? と思う時もありました。

灯油ストーブの灯油はあっというまに減り、すぐに買いに走らなければならない。何か工夫しなければと考えた結果、薪ストーブを入れました。薪はまわりにたくさんあるのです。これを使わない手はありません。

大きな町に住んでいた時は、薪ストーブは何だかおしゃれなもので、私の憧れでした。ここ土佐町では実用品です。ホームセンターで食品の隣に“普通に”売っています。

薪で沸かすお風呂の家もまだたくさんありますし、家の外にある大釜で山菜やお芋を茹でたりする時にも使うので、薪は今も身近な存在なのです。

きっと昔は日本のどこでもそういう光景があったのだと思いますが、便利で早く効率よく、という時代に移り変わっていく時に次々と失われていったのでしょう。

土佐町では、今も薪が現役です。

薪が自分の隣にある暮らしが、私はとても気に入っています。

高知県嶺北・土佐町のこと

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鳥山百合子

2011年に神奈川県から土佐町へ移り住む。3人の子どもの母。NPOれいほく田舎暮らしネットワークで働きながら、家族で食べるお米と野菜をつくっている。山の暮らしの知恵を学び、それを自分自身の身につけながら、次の世代へも引き継いでいけるように、「書くこと」「記録すること」に取り組んでいる。

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