いつもと暮らし

【今日の一枚】ご近所さんの顔が、心に浮かぶことはありますか?|高知県土佐町

高知県嶺北地域・土佐町の暮らしを届ける「今日の一枚」。神奈川から移住してきた鳥山百合子さんの日常を綴っていただきます。

冬のある日のこと。
仕事から帰ると玄関先に置かれていた贈りもの。

それは大好きなほしいも(こちらでは「ほしか」といいます)でした。

手に取り手紙を読む。
ほう……とため息が出たのは、そのひとの気持ちが本当にうれしかったから。

今までこういった贈りものを、どれだけいただいてきただろう。

家に帰ると、袋いっぱいのきゅうりやピーマン、生みたての卵、お赤飯、乾燥させたぜんまいが玄関先に置かれていたこともあったし、すいかや梅、柚子がかごにいっぱい入っていたこともありました。

またある時は、玄関を開けたら目の前にダンボールがでん、と置かれ、中に手作りの味噌やお漬物、お米、そして手紙も入っていて……。その手紙を何度も何度も読みました。

いただきものはとてもうれしい。買わないでいいですし、あのひとが育てたものなんやなぁと思うと、より大事にいただこうと思えます。

何よりうれしいのは、野菜やお米を誰に届けようかと思った時に私たちの顔を思い浮かべてくれただろうこと。そのことに、私は今までどんなに気持ちを救ってもらってきただろう。

「差し入れだよ」と書かれたハガキも、ダンボールにお味噌と一緒に入っていた広告の裏に書かれた手紙も、今も大事に持っています。

ちいさな町だからこそ、ちょっとしんどいときもある。
でも、ちいさな町だからこそ、そのひとの顔が心に浮かぶ。

その両方をひっくるめて私はここを選んで、この町が好きでいます。

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探求者

鳥山百合子

2011年に神奈川県から土佐町へ移り住む。3人の子どもの母。NPOれいほく田舎暮らしネットワークで働きながら、家族で食べるお米と野菜をつくっている。山の暮らしの知恵を学び、それを自分自身の身につけながら、次の世代へも引き継いでいけるように、「書くこと」「記録すること」に取り組んでいる。

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