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灯台もと暮らしの取材をお届けする「 #mediacruise 有田焼セット」ができました!|佐賀県有田町

佐賀県有田町は、400年前から続く窯業の町並み残る、器の町。

江戸の色香と歴史が残るこの町に惹かれ、日本国内外から有田町に足を運ぶひとが今日も絶えません。

mediacruise 有田町

アリタポーセリンラボ有田旗艦店外観
アリタポーセリンラボ有田旗艦店
有田町 kasane
古民家を改装した和カフェ「kasane」

灯台もと暮らしが有田町を訪れたのは、新しい地域取材の形を実現するチーム「#mediacruise」の参加メディアとして、まだ知られていない佐賀の魅力を発信するため。

#mediacruiseのミッションは、ただ佐賀の情報を発信するだけではありません。読者の方向けに、編集部員が現地で見つけた魅力的なプロダクトを「お土産セット」として届けるというミッションも、私たちは携えていました。

それは、創刊編集長の伊佐知美がじつはずっとやってみたい試みでもありました。

そんな経緯で、灯台もと暮らし編集部は、2018年4月に再び佐賀を訪れたのです。

有田町

有田町

もとくら編集部がお土産として選んだのは、佐賀・有田町で取材をさせていただいた「大日窯(だいにちがま)」と「幸楽窯(こうらくがま)」の有田焼。毛色の異なる2ブランドをあえて一緒のセットに詰め込み、食卓に“安らぎ”と“賑わい”を添える「有田焼セット」をつくりました。

画像は「有田焼セット」のイメージです。大日窯、幸楽窯の商品からそれぞれ2〜3点ずつ、編集部員が心を込めてセレクト&梱包してお届けします

「大日窯」と「幸楽窯」の有田焼

数多ある有田工房の中から、お土産セットの中身に選んだ「大日窯」と「幸楽窯」の有田焼。もとくら編集部は、それぞれのブランドのどんな部分に惹かれたのでしょう。

[1]繊細すぎないデザインに惹かれた「大日窯」の有田焼

有田焼唯一の民芸として地域内外の方々から愛される「大日窯」。

有田 大日窯
「大日窯」の有田焼

高級イメージの強い白磁が日常に溶け込むよう、「あえてデザインを凝りすぎないこと」にこだわっています。編集部はそのデザイン性に、日用雑器としてのあるべき姿を見たような気がして、大日窯の有田焼を購入しました。

大日窯の有田焼はどれもしっかりと厚みがあって、筆の勢いをそのまま残したシンプルな絵付けが特徴的。

そんなデザインが、人々の日常になにをもたらすと大日窯は考えているのか。それは、のちほどのお話でご紹介します。

[2]有田焼本来の価値を掘り起こした「幸楽窯」のトレジャーハンティング

創業150年の歴史の賜物である転写技術を駆使し、華やかでユニークな模様を施す「幸楽窯」。

その中でも編集部は、動物モチーフに絵付けが施されたカラフルでユニークな有田焼と、幸楽窯の窓口を担当するピメンタさんが発足した「トレジャーハンティング」に心が躍りました。

「幸楽窯」の有田焼

見た目や体験の楽しさだけではなく、幸楽窯の有田焼ができていく工程にも共感する部分があったのも、購入に至った大きなポイント。

幸楽窯の有田焼は、焼成する前の工程である「型づくり」や「生地づくり」を、その分野を専門とする職人の方に発注し、連携して有田焼をつくっています。

「生地職人」や「型職人」の存在は大きく取り上げられることは少ないけれど、彼らこそ有田焼の心臓です。大きな産業は、いろんな工程に携わる職人の方々がいて、初めて産業として成り立つ──「仕事は決してひとりではできない」という大切な精神を幸楽窯の器づくりから教えてもらいました。

有田 幸楽窯

さて、ここからは、私たちが「大日窯」と「幸楽窯」を訪れることになった経緯と、各窯元の方々の言葉をお届けします。

有田焼の美しさは、目に見えない職人の技に詰まっている

「有田焼」とひとくちに言っても、その外見や精神は「誰がつくったのか」によって、全く異なります。なんと言っても窯業の町・有田ですから、窯元や個人作家が数多く存在するわけです。

「まずは地域の人の声を頼りにして、有田焼の魅力を確認したい」。

有田に降り立った編集部は、佐賀県有田町出身で、現在は地域おこし協力隊として有田町で活躍する佐々木元康さんに、有田焼の周辺ストーリーについて伺うことにしました。

「白磁が美しい歴史ある有田焼。けれど、美しいのはその外面だけではありません。

僕が素晴らしいなと思うのは、有田の一大産業を支えてきた『生地屋』や『型屋』。有田焼は分業制が基本で、窯元が焼く前の生地や型を、専門で作る職人が存在するんです。その方たちの存在は、普段そこまで大きくスポットライトが当たらない。けれど、僕から見ると『間違いなく彼らが有田焼の大切な部分だな』と。

なぜかというと、多くの窯元は、素焼きをする前のデザインを生地屋や型屋に発注します。けれど、生地屋や型屋はそれぞれの専門だから、その注文に対して『これだと焼いたときに壊れてしまう』などのアドバイスもするんです。ただ注文に沿ってモノをつくるだけではなく、発注元と一緒に試作品をつくることも多いのだとか」

もともと佐賀県からの勧めで取材させていただく予定だった窯元、「幸楽窯」。

歴史ある幸楽窯は昔から分業制で有田焼をつくっています。佐々木さんのお話を聞いて、「産業としての有田焼を立体感を持って捉えるなら幸楽窯が最適なのでは」と私たちは感じました。

大日窯

「僕の地域おこし協力隊の任期は今年の8月で終了です。

その後、NPO法人を作って町や関係者と一緒に力を入れて取り組んでいきたいのが、後継者の育成です。有田焼がこれからも産業として続いていくため、そしてその美しさを損なわないために、生地や型をつくる職人さんや、窯元の後継者の支援に力を入れたいな、と」

有田焼の職人技やその精神を後継する存在が「有田焼」には今いちばん必要なんじゃないか、そう思った私たちは、佐々木さんに「実際に後継者として、有田焼に携わる方はいますか?」と伺いました。

「『大日窯』という窯元は、数年前に代替わりをして、僕と同い年の3代目・久保さんが当主を務めています。大日窯の有田焼は、華美でなく、親子でつくる有田焼唯一の民芸としてつくられているんです。

最初は際立っていいとは感じなかったのに、回数を重ねて見るたびに、いいなぁって思うんですよ」

佐々木さんのお話に登場した窯元さんや作家さんは、そのほかにもたくさんいましたが、私たちはとくに、後継者として民芸の有田焼をつくる『大日窯』に惹かれました。

また、生地屋、型屋の存在を聞いて、『幸楽窯』にはトレジャーハンティングの楽しさだけでなく、その精神が生きる窯元さんとして、ぜひそのこだわりも聞いてみたいな、とも。

使う人の心を安心させる、飾らず丈夫な『大日窯』の有田焼

さっそく編集部が訪れたのは「白の民芸」をつくる『大日窯』。

民芸は生活に必要な実用的な手工芸のこと。だからそのデザインは、飾りすぎる必要なんてありません。

「飾らず、丈夫であること。それが使うひとを安心させるのだと思います」と、大日窯3代目当主の久保博志さん。

佐々木元康 大日窯 久保博志
地域おこし協力隊の佐々木元康さん(写真左)と大日窯3代目当主の久保博志さん(写真右)

窯元の後継者として、地元にUターンした久保さんは、現在はお母さまと二人三脚で「使いやすく、飽きない」有田焼をつくります。

絵付けを担当するお母さまは、「絵柄に勢いがあることが、飽きない民芸をつくるためにはだいじ。だから、下書きはしないの、スピード感を持って筆を動かすんです」と笑います。

大日窯 有田焼

大日窯を勧めてくれた佐々木さんの「回数を重ねて見るたびに、いいなぁって思うんです」という言葉を思い出した編集部は、お客さんの反応についても伺ってみました。

「『気づいたら10年も使っていた』『なにも考えずに手に取ったのが大日窯』なんてことを言ってくれる方は多いですね。

大日窯 有田焼

僕自身は、自分のところの器以外の有田焼も大好きなんです。だから、いろんな有田焼の正解があることを知っていて。

その上でうちは、人の心の隙間にこそっと入れるくらいの有田焼をやりたいんです。使うひとが安心して使ってくれるような、丈夫で、飽きることのなく、暮らしに溶け込む有田焼を」(大日窯3代目当主・久保博志さん)

大日窯の有田焼を手に取ったとき、「白磁と絵柄の、余白のバランスがいいな」と感じました。

どんなダイニングの風景にも溶け込めそうなデザインが、長く、日常的に使われる理由なのかもしれません。

大日窯 有田焼

いつもよりちょっと食卓が華やかで楽しくなる、『幸楽窯』の有田焼

次に訪れたのは、トレジャーハンティングで有名な「幸楽窯」。

佐々木さんのお話から、「幸楽窯と生地職人、型職人との関係性の深さ」を伺えたことも相まって、ますますその作品を目にするのを楽しみに工房にやってきました。

幸楽窯 有田焼

お話を伺ったのは、幸楽窯でアーティストインレジデンスのコーディネーターを務める、ブラジル人のピメンタさん。

「ブラジルでは有田焼はとても有名、『染付』や『絵付け』といった言葉がそのまま残っているほど。

僕自身は、ブラジルで立体グラフィックの講師をしたり、中国の景徳鎮(けいとくちん)でアーティストインレジデンスのマネージャーをしていたりして幅広くアートに携わってきました。その中でも幸楽窯の転写技術は、優れている自信があります。

幸楽窯 有田焼

幸楽窯は『家庭に幸いを、食卓に楽しさを』を理念としています。

華やかな伝統美と現代のライフスタイルにそぐう機能性を大切にしながら、現代日用食器から割烹食器までを手がけているんです」(ピメンタさん)

編集部の目に留まったのは、動物モチーフに繊細な転写がほどこされた器たち。

幸楽窯 有田焼

「ああ、これはたしかに『食卓に楽しさを』もたらすだろうな」と、思わず手に取ってしまいました。そして、動物たちの型をつくった職人さんたちがいることを想像すれば、その内面までとってもユニークな物語が詰まっているように感じてしまいます。

幸楽窯 有田焼

「楽しい有田焼はここからですよ。ぜひ、トレジャーハンティングを体験していってください」

トレジャーハンティングは、ピメンタさんが仕掛けた新しい有田焼の届け方。ある日工房の中に溢れかえる売り物とされてこなかった有田焼を見て、ピメンタさんはこう思います。

「この山のように積まれた有田焼たち、僕なら全部ほしいのに! 」

こんな気持ちから発足したトレジャーハンティング、今では世界中からお客さんがやってくるようになりました。ハンティングの時間制限は90分、10,000円または5,000円の料金で、カゴいっぱいに有田焼を採集することができます。

幸楽窯 有田焼

幸楽窯 有田焼

年代物の有田焼や、高額な値がつく有田焼をゲットできることも珍しくないんだとか。

まさに宝探し。編集部は、食卓がもっとユニークで楽しくなるような有田焼を求め、トレジャーハンティングに没頭しました。

食卓に“安らぎ”と“賑わい”を添える「有田焼セット」

そこにあるだけで心に余裕が生まれるような「大日窯」の有田焼と、そこにあるだけで食卓の景色が変わるような「幸楽窯」の有田焼。

外面だけではなく、「誰が」「どんな想いで」という背景まで愛せたからこそ、私たちはそれを買い付けることに決めました。

並べてみると、まるで「ハレとケ」のように対照的なふたつの有田焼。だけど、日常も非日常も必要な私たちは、そのどちらもある暮らしをきっと大切にしたくて。

kasane 有田焼
東京から有田へ移り住み、古民家を改装した和カフェ「kasane」を営む鈴木さんご夫婦。お店のお皿は有田焼で揃えている

「毎日の食卓に『余白を持てる器』があったら、心が安らぐかもしれない」

「休日の食卓は『華美でユニークな器』があったら、退屈しないんじゃないかしら」

“安らぎ”と“賑わい”、ふたつを味わえる器が食卓にあれば、「より、豊かな暮らし」を体現できるのかもしれない。

そんな期待を込めて、灯台もと暮らし編集部は、「大日窯」と「幸楽窯」の両方を楽しめる有田焼セットをつくりました。

今回、灯台もと暮らしが買い付けた「食卓に安らぎと賑わいを添える有田焼セット」は、#mediacruiseのクラウドファンディングページのリターンからご注文いただくことができます。

この記事を読んでくれた方々の食卓が、いつも穏やかでありますように。

文/小山内彩希
撮影/伊佐知美

(この記事は、佐賀県と協働で製作する記事広告コンテンツです)

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小山内彩希

編集者・ライター。1995年生まれ、秋田県能代市出身。

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