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【東京都品川宿】築70年の古民家を改装したゲストハウス「Bamba Hotel」は、まちのVIPルーム

東海道五十三次の宿場町【東京都品川宿】特集、はじめます。

宿泊できるのはひと組だけ。無料で品川のまちを案内してくれるガイドを手配でき、食事は近所のお店が届けてくれる朝食付き。海外からのお客様には、無料でPHSを配布し、いつでもどこでも連絡が取れるよう万全の体制を整え、お出迎え。

そんな至れり尽くせりのゲストハウス「Bamba Hotel」(バンバホテル)は、東京のど真ん中の品川にあります。「まちのVIPルーム」というコンセプトでオープンし、かつて宿場として活気のあった品川の、おもてなし精神が濃縮されたお宿です。

この宿を運営する「宿場JAPAN」の代表・渡邊崇志さんに、中を案内していただきました。

渡邊崇志さん
築70年の長屋を改装し、オープンしたゲストハウス「Bamba Hotel」。写真は渡邉さん。

地元のひとたちと作ったゲストハウス

── お邪魔します! エントランスにはカーペットが敷いてありますが、土足のままで大丈夫ですか?

渡邊崇志(以下、渡邊) はい、大丈夫ですよ。

── もともとは古民家だったのですよね?

渡邊 そうです。自分たちで廃材を探してきて加工したり壁を塗ったりして、地元・品川の方々に協力していただきながら作った、手作りのゲストハウスですね。

もともとの組木をそのままに残している
もともとの組木をあえてそのまま残している。居心地がいいので、つい長居したくなります

── 内装の家具や雰囲気も、とてもおしゃれで、あたたかみがあります。

渡邊 デザインは僕と「ハレルヤ工房」というDIYのアトリエを品川に構えている玉井香織さんという方に手伝っていただきました。

お風呂には、壁にタイル、床にはすのこが敷いてあり清潔感がある
お風呂には、壁にタイル、床にはすのこが敷いてあり清潔感があります

渡邊 このお風呂場は、もともと炊事場で家の外だったスペースです。でもここに自分たちで改造したシャワーを設置して、お風呂に改装しました。

── 手作りとは思えないほど綺麗です……!

渡邊 他にも、プロジェクターの貸出も行っていて、旅の写真を見たり映画を見たりすることもできます。朝食は、地元のパン屋さんにお願いして、ホテルまでデリバリーしてもらっているんです。

ホテル内には地元の地図を置いていますし、無料のまち中ガイドもサービスしています。

お茶の間ではプロジェクターの利用もOK
お茶の間ではプロジェクターの利用もOK!

日本にはない唯一無二の宿にするには?

── 地元の方の手作りだということの他に、こだわりはありますか?

渡邊 宿泊人数は、1人から5人くらいのグループまで受けることが多いんですが、一度に宿泊できるのはひと組だけと決めているんです。

── それは広さの関係で、ということですか?

渡邊 もちろん、それもあります。はじめてこの物件を見つけたときは、汚いし古いし、行政のひとに言わせれば、すぐに取り壊すべき物件だったと思います。でも、2階建ての間取りと品川という立地を考えて「狭いけど、ここなら少人数で濃い時間を過ごせる宿が作れる」と思ったんです。

Bamba Hotelのエントランス

── 泊まれるのがひと組だけ、というのもVIP感を高めて贅沢だなと感じます。

渡邊 宿泊場所を、ただ荷物を置いて寝るためだけの場所ではなくて、くつろげる空間にしたくて。まちのVIPルームというコンセプトのもと、オープンさせました。

開業前は国内はもちろん、ヨーロッパやアメリカのゲストハウスやデザイナーズホテル、Airbnbに宿泊をしていろいろな宿を見て回りましたが、日本には、こういったコンセプトを持った宿って意外とないなぁと思ったんです。

Bamba Hotel 寝室

渡邊 品川は、もともと東海道五十三次の第一宿として栄えたまち。僕の地元でもあるこのまちでホテルを営むことを考えたとき、まち全体でおもてなし体制を整えることが大切だと思いました。

このまちで暮らし続けてきた地元の方々の力を借りて、「Bamba Hotel」に宿泊しながら、「暮らすように旅する」感覚を味わってもらえるようになること。そのために、いろいろな工夫をしています。

── 今は海外からのお客様も増えているのではないですか?

渡邊 多いですね、品川はアクセスがいいので、週末は特にすぐ埋まってしまいます。それから、海外からのお客様には無料でPHSを配布して電話かけ放題にしているんです。

── それはとても心強いサービスですね!

渡邊 いつでも僕らとコンタクトがとれますからね。緊急時などにも便利です。もう一つ「宿場JAPAN」が運営している「品川ゲストハウス」という宿もありますが、歩いて行ける距離にありますので、2つの宿が連携できるという利点もあります。スタッフの行き来もしやすいですしね。

まちの歴史と特色を名前に込めて

── 「Bamba Hotel」という名前は、新馬場駅の馬場(ばんば)から来ているのでしょうか?

渡邊 そうです。今は住所ではなく、駅名でしか土地の名前は残っていないんですが……。

江戸時代の頃、宿駅伝馬制という法律がありました。伝馬は、荷物やひとを運ぶ馬たちのことで、その伝馬が立ち寄る道の駅のような場所を宿駅と呼びます。各街道に、宿駅を設けましょうというのが宿駅伝馬制という法律です。

品川は宿場でしたから、そうした伝馬も多くいました。まち全体が道の駅なら、今「Bamba Hotel」がある辺りは、馬をつないでおく、駐車場な役割をしていた場所なんですね。

Bamba Hotel

渡邊 今では、新馬場は特急電車が通過してしまう駅になってしまいました。けれど、馬はもういなくても、品川がより活き活きしたまちになるために、地域が持っていた役割をもう一度見直したいと思ったんです。そんな願いを込めて「Bamba Hotel」という名前にしました。

品川を旅の起点に

── さきほど、海外からのお客様が多いというお話でしたが、渡邊さんが新たに考えている「おもてなし」はありますか?

渡邊 実現したいのは、品川駅で荷物を預かってチェックインできるサービスです。ほとんどのお客様は、まち歩きや観光をする前に荷物をどこかに置いておきたいと思うのでしょうが、「Bamba Hotel」ではチェックイン前の荷物の預かりは受け付けていません。

品川駅のコインロッカーに預けるひともいますが、大抵埋まっていて利用できないんです。

── そこで駅までスタッフが出向いて、荷物だけピックアップしてあげる、と。

渡邊 僕らとしても、貴重なヒアリングの機会ですから、なるべくお客さまとのタッチポイントは増やしたいなと思います。お客さまとコミュニケーションを取ることで、次のサービスの質も変わってきますからね。

Bamba Hotel

渡邊 たとえば荷物を預かる時に何時頃帰ってくるか聞いたり、その日どこへ行く予定か聞いたり、お客さまの情報を前もって仕入れておくと、そのサポート体制がとれるます。宿に戻ってきた時に、地図やガイドブックを準備しておけたり、おすすめのお店をピックアップしておいて紹介できたりもしますよね。

── 至れり尽くせりなんですね。

渡邊 やれることはやりたいな、と。

あとは、信頼できるスタッフの技術を磨いて、サービスを向上させるだけではなくて、先ほど言った「まちぐるみで宿泊業を盛り上げる」というのも、やっぱりこれから力を入れていきたいことのひとつですね。

たとえば、「Bamba Hotel」の受付にWifiカメラを設置して24時間チェックインを可能にする。そして交代で品川宿交流館(*1)で受付を管理しておく。宿を離れても、交流館まで行けば誰かいるという安心感を、お客様にも与えることができます。

Bamba Hotelの両隣には、ワインバー(右)と居酒屋(左)が。
「Bamba Hotel」の両隣には、ワインバー(右)と居酒屋(左)が。

── いいですね。

渡邊 根底には、まずは品川を旅の起点にしてほしい、という想いがあります。同時に、「Bamba Hotel」の運営やそれを取り巻くまちの仕組みも、品川だけではなくて日本各地の宿泊業を営んでいる地域に、どんどん踏襲してもらえるモデルになるように、磨いていきたいと思っています。

日本人の方の宿泊も歓迎していますので、ぜひ一度遊びにきてください。

(*1)品川宿交流会館は品川まちづくり協議会の拠点となる施設。

この宿のこと

Bamba Hotel
住所:東京都品川区南品川1-1-2
電話番号:070-5566-9441
アクセス:京浜急行線「新馬場」駅から徒歩1分
チェックイン:15:00
チェックアウト:11:00
参考価格:2名~3名の宿泊費 32,400円
受付時間:16:00~22:00
公式サイト:Bamba Hotel

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探求者

立花実咲

1991年生まれ、静岡県出身の編集者。生もの&手づくりのもの好き。パフォーミングアーツの世界と日常をつなぎたい。北海道下川町で宿「andgram」をはじめました。→ さらに詳しく見る

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【東京都品川宿】縁を手繰り寄せた先に、地元があった。「地元びいき」和田富士子 【東京都品川宿】生まれ育ったまちにもう一度活気を!「しながわ街づくり計画」佐藤亮太

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