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宮崎県てげ好きやっちゃわ!超ローカルな情報サイト「宮崎てげてげ通信」

モットーは「愛とノリ」。発信するのは「宮崎の魅力」。ローカルウェブメディアのなかでも異彩を放つのは、テゲツー!の愛称で親しまれる「宮崎てげてげ通信」です。

宮崎てげてげ通信
宮崎てげてげ通信

宮崎てげてげ通信(以下、テゲツー)は、オープンしてから1年ほどの新しいウェブメディア。宮崎に住んでいるからこそ分かる地元の魅力を「愛とノリ」をもって、県内外に伝えています。

そんなテゲツーを立ち上げ、日々記事の執筆や取材、そしてPRのために宮崎を中心に各地を飛び回る代表の長友まさ美さんに、テゲツーと宮崎への愛を教えていただきました。

長友まさ美さん
長友まさ美さん。 着ているのは、テゲツーのゆるキャラ「みゃーこ」のTシャツ

読者と一緒に育てるウェブメディア

── 宮崎のローカルな魅力を発信する「宮崎てげてげ通信」ですが、モットーが愛とノリというところに非常に共感します。

長友まさ美(以下、長友) ありがとうございます(笑)。テゲツーが目指しているものはふたつあって。ひとつは宮崎の隠れた魅力を伝えたいということと、もうひとつは地元の人が自分たちの宝物を発見するということです。

── 編集部の方々の「愛」と「ノリ」というのは、具体的にどういうことを指すのでしょうか、宮崎への愛、ということですか?

長友 それはもちろん大前提です。批判ではなく、提案を。批判することは簡単だけれど、提案に変えて、それをチャレンジしたいと思っています。やりたいと思ったことは全部やってみよう!という精神を大切にしていますね。

移住定住促進「宮崎てげてげ祭り in 東京」の様子|宮崎てげてげ通信公式Facebookページより
移住定住促進「宮崎てげてげ祭り in 東京」の様子|宮崎てげてげ通信公式Facebookページより

── 今はどういう形態で運営されているのでしょうか?

長友 主要メンバーは5名です。全員本業として別の仕事をやりながらメディアを作っていて、テゲツー自体は非営利のウェブ媒体になります。

私たち5人の思いに共感してくださった企業の方や個人の会員さんに、テゲツーファミリーという名のもとにご協力いただいています。定期的にテゲツー寺子屋や、テゲツー飲み会を開催して、テゲツーファミリーの方々とは顔を合わせて勉強会や情報交換をしています。

── とても読者の方と近いメディア、という印象を受けます。

長友 ローカルウェブメディアといいながらも、メディア運営がゴールではなく、本当にやりたいのは人と人を繋げて宮崎を豊かにするということです。だからそうした文化が作れるようにイベントを開催したり、クラウドファンディングに挑戦したり。

もちろんメディアとして認知されなければならないから、量と質を考えて外部のライターさんにお願いすることもあります。他にもサーバーの管理費や広告費など、お金も必要になるから、クラウドファンディングで運営費を集めました。そのときに支援してくださった方々が、テゲツーファミリーです。

けれど、お金集めというよりは、仲間集めという感覚に近いです。おもしろいと思えば、どんどんシェアもしてくれるし、一緒にテゲツーを育てている感覚が強いです。

美人女子大生も爆笑!宮崎大学とコラボ企画,みんな大喜び!|宮崎てげてげ通信 より
美人女子大生も爆笑!宮崎大学とコラボ企画,みんな大喜び!|宮崎てげてげ通信 より

── 自分たちでもネタ集めをしつつ、教えてもらった人に会いに行ったり、おすすめされたものを取材したりして記事を作っているんですね。

長友 そうですね。できるだけ、自分たちの足で情報をかせいで、取材に行きます。秋元康さんがおっしゃっていた「幕の内弁当になるな」という言葉があるんですが、印象に残らない万人受けするものよりも、尖ったものをやりたいというのは編集部が常に意識していることです。

宮崎グルメ:生駒祐一がお客さんに喜ばれたお店5選|てげてげ通信 より
宮崎グルメ:生駒祐一がお客さんに喜ばれたお店5選|宮崎てげてげ通信 より

長友 そのためにも、本当に自分たちが行って本当によかったなと思うものを、友達に伝えるように記事にするという姿勢が定着しているように思います。そうすると、書く人も楽しいし紹介されるお店とか人も喜んでくれるし、読者もおもしろがってくれる。テゲツーらしさを守れるのも「愛とノリ」あってこそだと思います。

「てげてげ」の意味は「ゆるくいこうよ」

── 先ほど、主要メンバーは5名とおっしゃっていましたが、テゲツー立ち上げの経緯を伺ってもいいですか?

長友 テゲツーのプロデュースなどをやってくれている齋藤潤一さんという方がいて、彼との出会いが始まりですね。

齋藤さんは宮崎県日南市の飫肥杉(おびすぎ)を世界に発信して、お金を森づくりのために使おうというプロジェクトをやっていたのですが、私もそのメンバーでした。ある日一緒に車の中で話していたとき、宮崎の価値をきちんとストックして発信できる場所を作りたいよねという話を何気なくしていたら、だんだん盛り上がって「じゃあ作ろう!」となりました。

前列の5人が「宮崎てげてげ通信」編集部
前列の5人が「宮崎てげてげ通信」編集部

── そうなんですね! 思いが共鳴しあった感じですね。

長友 齋藤さんが、思い立ったらすぐやろうという人だったので、どんどん話を進められたというのはありますね。

── テゲツーの編集部の方々のメンバーページも拝見しましたが、とても仲が良さそうに見えます。

長友 ふだんは、みんな別々の仕事をしているから、実際に会うのは月に1回編集部会議くらいです。でも、Facebookで秘密のグループを作って、そこでやりとりをして記事ネタを練ったり、情報交換をしながら進めています。

私一人ではできないことも多くて、みんなそれぞれ強みがあるチームだからできるし、だからこそおもしろいですね。もちろん失敗もいっぱいします。8割は失敗じゃないですかね(笑)。

でも私、あのメンバーが大好きで、それぞれを尊敬しています。何度もぶつかって喧嘩もするけど根底にはすごい愛があるから、最終的にはこうしようって歩み寄って続けていますね。

長友まさ美さん

── 宮崎への愛しかり、メンバーへの愛も原動力なのですね。ちなみに「てげてげ通信」という名前はみなさんで決めたんですか?

長友 そうですね。「てげ」は「すごい」という意味です。「てげかわいい」って言うと「すごいかわいい」という意味になります。でも2回続けて「てげてげ」と言うと、「いい加減」という意味に変わるんです。

── へえー! 変わるんだ、おもしろいですね。

長友 宮崎を車で運転していると、「てげてげ運転禁止」っていう看板がいっぱいあって。「いい加減な運転はだめだよ」っていう意味なんですけど(笑)。

いい加減と言うと、マイナスな意味合いですけど、頑張り過ぎている人にも「てげてげでいいじゃん」という言葉をかけることもあります。肩の力抜いて、ゆるくいこうよっていう独特な励まし方なんです。

有機栽培で有名な綾町 人参が美味しすぎてウサギに!?|宮崎てげてげ通信 より
有機栽培で有名な綾町 人参が美味しすぎてウサギに!?|宮崎てげてげ通信 より

長友 メディアの名前は最初「宮崎通信」だったんですけど、もっと宮崎県らしさがある名前にしようということになって「じゃあ、てげてげ?」という案が出ました。

私はてげてげってなんかダサいなあと思っていたし、「てげてげでいっちゃがー」っていう宮崎の文化が嫌いだったんです。だから、実は最後まで反対していました。でも公開してみたら、みんな「テゲツー!」って呼んでくれて浸透していったから、結果的に「宮崎てげてげ通信」にして良かったなあって思いますね。

宮崎を愛する人たちと一緒に文化を創りたい

── 長友さんが考える宮崎県の魅力って何ですか?

長友 うーん、難しい質問ですね(笑)。やっぱり、人はとてもあたたかいと思います。人の顔が見える関係性の中で仕事をしたり、買い物をしたりできる良さがあると思います。

でも、私自身は宮崎県がナンバーワン!と押し付けるつもりは全然なくて。住めばどこでも大好きな場所になるだろうと思います。宮崎県はその中でも自分の出身地でもあるし、一番縁があるということかなと。テゲツーをやればやるほど、宮崎を好きになるんですよ。

ゴミ拾いをするヒーロー「ブルーダイバー」を徹底解明|てげてげ通信 より
ゴミ拾いをするヒーロー「ブルーダイバー」を徹底解明|宮崎てげてげ通信 より

── その雰囲気の中でメディアを運営できるって、すてきですね。

長友  テゲツーを読んで初めて知る新しい情報も、たくさんあります。自分たちが楽しみながら書くと、周りの人も喜んでくれることが多いんですよね。

ある時、宮崎出身で大学から上京した女子大生が、就職で宮崎に戻るか東京で働くか悩んでいたけれど、テゲツーを見て「宮崎にこんなに愛を持って活動している人がいるんだ!」っていうことを知って宮崎に帰ることを決めた、という子の話を聞いて感動しましたね。

── それはすごい! 人の人生までも動かしてしまうなんて。

長友  テゲツー自体はウェブ媒体ですけど、こうやって私たちの知らないところで人が動き、つながっていくのは本当に嬉しいです。文化を作るということは、テゲツーでやっていきたいことでもあるので。

人が元気な場所は、人を呼び寄せると思いますし、人が育つと地域も育つと思います。そういう動きを楽しんでできるような県になるといいなあって。テゲツーでは、そのきっかけや、入口となるものを届けていきたいですね。

お話をうかがったひと

長友 まさ美(ながとも まさみ)
1981年宮崎市生まれ。サンワード・ラボ株式会社代表。「宮崎てげてげ通信」の会長兼美人広報部長。テゲツーでは取材、ライティングを行い、宮崎の魅力を全国各地で伝える。本業のチームビルディング、組織開発のスキルをつかって、まちづくりワークショップ、地域のキーパーソン育成も手がける。人と人、地域と地域をつなげ、新しい価値を生み出すことが得意。「宮崎の太陽」といわれるとびきりの笑顔で、今日も宮崎からあたたかい光を放っている。

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立花実咲

1991年生まれ、静岡県出身の編集者。生もの&手づくりのもの好き。パフォーミングアーツの世界と日常をつなぎたい。北海道下川町で宿「andgram」をはじめました。→ さらに詳しく見る

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