「生き方の基本として、あれを選んでればよかったかなっていうのは、自分の中ではなし。選択するときにたくさん考えて、選んだ道で、楽しく。後悔はしない」
「人生っていろんな時期があって、特に女性はライフステージによって変化が大きいので。だから、あんまり固定観念に縛られず、自分が心地いいことをやっていけばいいのかなって」
料理教室やコーチング、コンサルティングの活動を中心とした「Atelier Oshikawa」を営む押川美紀さんは、そんなふうに自らの暮らしについて語ります。
やりたいことをひとつに絞らなくっていい。
自分が心地いいことをやっていけばいい。
押川さんの言葉は、自らの生活を省みたときに、もっとがんばりたいひとにも、ちょっと休みたいひとにも、届いて欲しい言葉ばかりでした。
押川 美紀(おしかわ みき)
1976年、富山県生まれ。10歳8歳5歳の子を持つ3児の母。新卒で「ABCクッキングスタジオ」へ入社し、執行役員になる。結婚・出産を経て、夫の出身地である宮崎県小林市在住。
(以下、押川美紀)
Atelier Oshikawaでやっていること
お料理教室として、みんなと一緒にパンをつくったり、ケーキをつくったり、販売したり。市の生涯学習や小学校、保育園で、お料理を教えたり。
あとはコーチングをやったり、コンサルティングをやったり、中学校で講座や講演をやったり。まぁ、なんでも屋みたいなものなんです。
お料理は、小さい頃から好きだったけれど、結局、ひととおしゃべりしたり、一緒に楽しく過ごすのが好きなんですよ。
“アトリエ”をやる理由
自分の場所を「アトリエ」と表現するのは、たとえば「パン屋さん」にしてしまったら、パンをずっと焼き続けなきゃいけないかもしれないじゃないですか。でも、そうではないし、わたし自身、変わっていってオッケーだと思っているので。
それに「アトリエ」というハコをつくっておけば、誰か使いたいひとがいたら、集まる場所になるかもしれない。だから、アトリエって言ったほうが、都合がよかったんです。
ひとつに絞って決めてしまう必要はない
何かを選んで、選んだことに従わなきゃいけないなんてことはないですから。欲張りでいいんじゃないですかね。
やっぱり、ひとって変わる。2年前に、これが正しいとか、居心地がいいって思ってたものも、たぶん変わってく。だから、関わったひとが自分で「幸せだなぁ」って思う瞬間が増えるようなお役に立てればなって。それがただ、うれしいから。
その方法はいろいろあってよくて、だからわたしは「ケーキを売るんだ」とか「コーチングの先生をやるんだ」ってひとつに絞って決めてしまう必要はないと思っています。
小林に来た経緯
わたしは結婚していて、子どもが3人いて、一番上の子は10歳です。生まれは富山県で、小林に住んでいるのは、嫁に来たから。
それまでは新卒から15年間、「ABCクッキング」という料理教室で働いていました。社員のほとんどが女性の会社。
仕事内容をひとことで説明すると、マネジメントですね。
入社したときは20数店舗しかなかったけれど、今は国内に100店舗以上、海外にも店舗がある会社です。そこで、店舗がない地域に出店して、ひとを採用して、育てて、また別のところにいく。そうやって仕事をしてきました。
在籍していた頃、北海道エリアと九州エリアを同時に担当したり(笑)。結婚してからも、北海道でお店を立ち上げて、東京で会議して、また九州で仕事をするとか。いわゆる、モーレツサラリーマンです(笑)。
最高に楽しかったなぁ。人にも、とても恵まれていました。
結構むちゃくちゃな働き方だったけれど、仕事はとても充実していて、おもしろくって。スタッフが成長するのを実感できていたし、楽しく働いていました。小林で今のような仕事をするようになったのは、5年前ですね。
マネジメントとコーチング
ABCクッキングは、女の子ばかりの会社でした。「これをして」「あれをして」「こんなふうにしたら?」って言っても、気分のムラがあったり響かなかったりするんですね。
だから、会社を辞めたときに、新しいことをひとつ始めたいなと思って頭に浮かんできたのが、コーチングだったんです。
仕事は、他人から命令されてやっても、いい結果は出ませんよね。自主的にがんばりたいと思わないと。
そうやって考えていたら、これは子育てにも使えるなぁと思って、自分に足りていないスキルだなと思って、勉強し始めました。
お母さん向けのコーチング
仕事を辞めてから「あのひとにどんなふうに関われば、もっと自発的に仕事をしてもらえたのかな」ってよく考えていて、引っかかっていたことなんです。たぶんそこが、自分ののびしろの部分だったんだと思います。
それでコーチングの資格を取得したのですけど、保育園に行くと、やっぱりお母さんたちは悩んでる。何か自分にできることがないかなと思って、お母さん向けのコーチングをやるようになったんです。
学校に遅刻しそうなとき、お母さんは子どもに「早くしなさい」って急かすじゃないですか。でも子どもたちはなぜ早く支度をしなきゃいけないかわからない。理由をちゃんと伝えてあげないといけない。
「傘、持った?」は、わたしに主導権がある
たとえば朝、自分の子どもが友だちと一緒に学校に行く際、子どもが遅刻しちゃったときに、待っている友だちに「もう来るから待っててね」って親が言ってしまうと、遅刻している子どもは、さらに支度もモタモタして来るのが遅くなります(笑)。親が自分の遅刻をフォローしてくれているから。
だからもう、「時間になったら行ってね」という言い方に変えて、実際に遅刻したら相手や自分がどんな気持ちになるのか体感させるんです。親としては、なかなか厳しいですよね。かわいそうだなって思うけど、やったほうがいいんです。
雨が降りそうな日に「傘、持った?」って聞くのは、わたしに主導権があるわけです。だから、雨が降ってきたら、親のせいになる。「ママが持ってけって言わなかった」ってね。
だから「(自分で考えて)必要なときは持っていって」って言うと、天気予報を見るようになるわけですよ。
大人もそうじゃないですか?
だからわたしは、自分の関わるひとは、自分で考えられるひとになって欲しいかな。自分で責任をとる習慣を持つ。大人でも、変われますよ。
お母さんが楽しく社会と関わる背中を見せたい
他にも、やりたいことはいろいろあるんですけれど、わたしはひとつに絞れないから(笑)。
ひとつは、お母さんが楽しく社会と関わる背中を見せたいかなと思っています。もちろん家にいて、専業主婦のお母さんでもいいんですよ。ただ、わたしは自問自答したときに、自分が働いてる姿のほうが、子どもに残せるものが多いのかな、と思って。
それは自分の子どもたちだけじゃなくて、小林にいる子どもたちに「近くで働いている大人がイキイキしている」って見せてあげるだけで、いいのかなって。子どもたちから見たときに「仕事って、大変なんだ」ってことだけじゃなくって、楽しく働いている姿を見せたい。
これからいろんな可能性があって、みんな、いろんな仕事に就くけど。自分の近くにいたあの大人たちは、すごく楽しそうに働いてたという記憶が残っていると、仕事に対してプラスに考えられるだろうから。近くにいる、楽しい大人になりたい。
固定観念に縛られず、自分が心地いいことをやっていけばいい
今はわたしは、子育て中心のライフスタイルを選んでいて。子どもが小さいときは、帰ってくる時間にはなるべく家にいたいじゃないですか。
人生っていろんな時期があって、特に女性はライフステージによる変化が大きいので。だから、あんまり固定観念に縛られず、自分が心地いいことをやっていけばいいのかなって思います。
たとえば独身のときに、カフェに勤めていて、土日も仕事が好きだから働いていた。だけど、子どもが生まれて、本当は土日は家にいたいって思いながらも、その状態のまま。子どもがなんだか不安定。「わたしが仕事に行っているからだろうか」「子どもに申し訳ないなぁ」。こうだと、誰も幸せじゃないですよね。
だから子どもが不安定な時期は、そういう時期なんだと納得して、必殺あんまり気にしない(笑)。ナーバスにならず、成長過程の段階として、前向きに捉える。仕事をするならとことん楽しむ。
そう感じることが難しいなら、きちんと子どもと向き合うために、仕事はきっぱり辞める。いろんな選択肢があって、それは、自分で決められるんですよ。
自分の人生なのに、うまく道筋を選べないことって多いです。
でも生き方の基本として、あれを選んでればよかったかなっていうのは、自分の中ではなし。選択するときにたくさん考えて、悩んで選んだ道で、楽しく。後悔はしない。
すごく我慢しなきゃいけないんだったら、その状況から脱したほうがいいですよ。
子どもだって、一緒にいる時間が短くなっても、自分の母親や父親が誰かのために一生懸命仕事をしているんだってわかったら、それは誇りになるんじゃないですかね。
だから、わたしの記事を読んだひとが、自分の人生はこれでいいのかな?って振り返れたり、今してることが本当に好きだっていう確認になったらうれしいな。
なんかちょっと違うんじゃないかって思ったら、その「なんかちょっと違う」が、今いる場所なのか、していることなのか、ひととの関わりなのかわかんないけど、自分の居心地のいいことってなにか、考える機会になったらいいかな。
周りにいるひとを大切にして生きていく
自分の出会ったひと、ご縁のあるひとを大切にしながら、生きていきたいなって思っています。それの繰り返し。あとは毎日、楽しく暮らす。だって、明日死ぬかもしれないから。死ぬときに「結構いい人生だったな」って思いたいじゃないですか。
いつか終わりが来る……みんな死んでいくことにかわりはないんだけど、振り返ったときに、いろんな素敵な人に囲まれて、いろんな出会いを通じて、成長できたし、楽しかったなって思いたい。それが人生のゴールかもですね。
どこに住んでいたって、自分次第ですよ。ただわたしにとっては、この町(小林)は、すごく暮らしやすいし、人もあったかいって感じます。
子どもたちが朝、学校に行くときに「おはよう」と声をかけると「おはようございまーす」って返してくれます。それは、ふつうのことかもしれないけれど、なんだろう、そういう距離感がちょうどいいんです。
だから、なにかを極めるとかじゃなくていいんです。小林にもわたしのように、好きなように暮らしてるひともいるんだって感じてもらえたら、うれしいですね。
(この記事は、宮崎県小林市と協働で製作する記事広告コンテンツです)