営みを知る

私たちの「日本百貨店」―日本のモノ作りとスグレモノに出会う場所―

秋葉原駅と御徒町駅の間の高架下の空間に、日本百貨店というお店があります。ここは、社長自らが厳選した日本全国の職人さんの「モノ作り」と「スグレモノ」が集まるお店。

暮らしを潤す品々に囲まれて働く人は、一体どんな人なのでしょう?本店であるおかちまち店の店長の安齋礼恵さん、吉祥寺店の店長の石塚春香さん、そしてデザイナーの間中瞳さんの3名に、入社のきっかけから手作りのモノへの想い、更には今年の目標まで、等身大の声を聞いてみました。

私たちが誰かって? 日本百貨店のイチファンです!

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安齋:本店である、おかちまち店の店長をしています。社歴は一番短い……かな? まだ実は一年くらい。おかちまち店の前は吉祥寺店で勤務をしていました。

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石塚:私はきちじょうじ店の店長です。日本百貨店で働きはじめて3年目になります。

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間中:私は二人とは少し違って、デザイナーという肩書きで働いています。店内で使用するPOPを作ったり、あとは週に2~3回は色々なお店のヘルプに入ったりかな。

安齋&石塚:間中さんにはいつも助けられてます。

日本のモノづくりを支える新しい仕組みがある会社

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安齋:以前は普通のOLをしていました。ある時、日本百貨店の募集要項を見る機会があって、そこに書かれてる社長の鈴木の想いにとても惹かれたんです。人の魅力っていうのが一番「やってみたい」と思う理由だった。だから、特に雑貨に詳しいとか、モノ作りの知識に長けていたとかではなかったんです。

石塚:安齋さんが惹かれた「鈴木さんの想い」って?

安齋:職人さんにお金がまわる仕組みを作りたい、日本のモノ作りを未来に残していきたい、というこのお店の根本を支える考え方もそうですし、あとは「社員は家族だ」という、一緒に働く仲間に対する思いやりでしょうか。とにかく「この人の下で働きたい」って思ったんです。

石塚:なるほどね、分かるなぁ。私は、ここで働く前は建築系の全然違う仕事をしていたんですが、一時期、NPOとか……こう「もっと世の中のためになる仕事をしたい!」って思っていたことがあって。日本百貨店もそれに近い仕事が出来ると思ったんです。

安齋:モノ作りをしている職人さんたちを、お店を通して支える、という意味合いですよね。

石塚:そう。日本百貨店は、「日本にはすごく良いモノがたくさんあるのに、日本のモノづくりはお金が回らないから続かない。だけど逆に言えば、お金が回れば続くんじゃないか。じゃあ僕が、お金を回る仕組みを作ろう。」と鈴木さんが考えたことがきっかけで作られたお店で。三幸製作所というブリキのおもちゃを作る会社があってそこで鈴木さんが……って、これ話し始めると長くなりそうですね。(笑) とにかく、ここで働くことが地域おこしにも繋がるのではという想いがありました。

間中:三幸製作所さんのブリキのおもちゃは私も大好き。私は、日本百貨店の前は、違う会社でグラフィックデザインの仕事をしていたのですが、その時からこのお店が好きで、お客さんとしてよく通っていたんです。だから単純に「ここで働きたい」って思って。

作り手と使い手が出会える場所になりたい

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安齋:日本百貨店で働いていて一番良かったなと思うのは、日々日本のモノに触れていられることかな。ただ囲まれて過ごすだけじゃなくて、作り手の方に直接お会いして、そのモノが出来るまでの背景やストーリーが知れることって更に意味があることだし。

石塚:うん。それは本当にそう。人生も感覚も豊かになれるよね。

安齋:それをお客様にいかに伝えるかというところに、頑張りどころがあるというか、やりがいがあるというか……。

石塚:伝えるための手段の一つとして、もっとイベントを充実させたい。このお店は、作り手と使い手が出会える場でありたいと思っているんです。だから、作り手さんにも積極的にお店作りに参加してもらって、実演販売や体験、ワークショップをするようにしています。

安齋:おかちまち店は、最近だと「和綴じ本作り」や、「和蠟燭への絵付け体験」といったワークショップをしたり。

石塚:きちじょうじ店では、地域の主婦の方に向けて、土佐刃物の職人さんによる包丁研ぎのイベントや、年末は親子でも参加できる金沢の伝統工芸水引のワークショップなどを開催しましたね。

間中:たまプラーザ駅にあるてらす店では、糖度が凄く高い新潟県産のパプリカを販売したりしたなぁ。

日本百貨店らしさが好き。でも、「らしさ」って何だろう?

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間中:お客様の層は、老若男女、年齢も本当に様々。でも、ファンになって下さった方は、嬉しいことに結構色々な店舗を巡って下さることが多いかなぁ。うちのお店は、店舗ごとに商品の品揃えが若干違うんです。雰囲気も全然異なりますし。

石塚:イベントも品揃えも、それぞれの店舗の色が出ますね。きちじょうじ店は駅直結のアトレさんに入っているので、毎日駅を利用される方が多く、地元密着な店舗だと思います。

安齋:おかちまち店は本店だから、やっぱり品揃えも一番日本百貨店らしいかな。らしくありたいって言う気持ちもあるし。

石塚:「らしさ」って何だろうね?商品の仕入れは、基本的には鈴木さんが全てやっているじゃない?

安齋:うーん……。そうですね、やっぱりうちにある商品は、まず手仕事のモノで、全てに背景やストーリーがあるじゃないですか。初見で「コレ何だろう?」って思うものがあったとしても、商品が作られるまでの想いや背景を知ると、ふっと腑に落ちる瞬間というか、「あぁこれはこういう意味があるものなんだな」って理解できる瞬間があるんです。……ありますよね?(笑)

石塚&間中:あるね。

安齋:今は、インターネットが発達したおかげでモノを買うことも、とても簡単になっている時代。でも、お店に足を運んで、実際に手に取って質量を感じて、そして選んで買っていただいた商品って、やっぱり使い捨ての商品とは違うと思うんです。

間中:うんうん。

安齋:日本百貨店が背景やストーリーを大切にして選んだ商品だから、私たちが売るモノだからというところに価値が出せるといいなと思っているし、お客様がここで選ぶということに楽しみを見出して下さったらもっといいなと思っているし。そんなお店を目指すんだと思って、私は毎日仕事をしています。そのどこかに、日本百貨店らしさが宿っているんじゃないかな、と思います。

日本のモノの良さとは一体?

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石塚:さっき安齋さんも言っていたけれど、やっぱり「背景やストーリーがある」ってことじゃないかな。

安齋:でも、正直なところ、日本製だから良いってわけではないと思うんですよね。世界にも、素晴らしいモノはたくさんあるし。

石塚:どっちが良い悪いって話ではないんですよね。でも、ここ数年、全体的に日本の手作りのモノの良さが見直されてきたなという印象は持っています。

間中:安くて大量に消費されるスタイル、例えばファストファッションみたいなものが日常に浸透したけれど、それらは長く保たないことが多くて。使い捨ての感覚に近くなってしまうのかな。そうじゃなくて、少し高くても長く使える良いモノを、と求める人が増えてきたんだよね、きっと。

安齋:日本の手仕事のモノは、確かに値段は高くなるけれど、きちんと選んだモノを生活の中で大事に直しながら使ったり。「この商品はなんでこの模様なんだろう?」「なぜこの形になったんだろう?」ということを考える時間や、知ろうとする気持ちが、もう既に一手間ですよね。そういうことが結局、時間を丁寧に過ごすとかってことに繋がるんだろうなって。

石塚:うん。このお店が作り手と使い手、そして売り手の三者を結ぶ場になって、日本のモノ作りを間接的にでも支える仕組みや循環を作り出せたとしたら、もう言うことないよね。

最後に、2015年の抱負を聞かせて下さい!

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間中:私は、もっと自分から動けるようになりたいな。言われたことだけじゃなくて、こうしたらいいんじゃないかっていう提案をしたり、ポップのデザインも、もっと伝えたいことが伝わるものに改善していきたい。積極的に動いて、工夫して仕事をする年にしたいですね。

石塚:私は、吉祥寺店のイベントの数を増やしたい。やっぱり、作り手と使い手が会う機会って大事だと思うから、そこは頑張っていきたいです。

安齋:「立派な店長になりたい」でお願いします。

一同:(笑)

安齋:私はまだ新米店長だから、毎日必死だし、みんなに助けてもらってやっと、という感じです。今年は、例えばこの陳列が本当に良いのか、行き届いた接客とは何かということも考えて、これまで以上にお客様のことを考えたお店作りを目指してやっていきたいと思います。

石塚:みんな、実直で良いね。間中さんの言う、自分から動くっていうのはみんな共通してるのかな。

安齋:そうですね。来年また、「立派な店長になれましたか?」って聞きに来てくださいね。(笑)

全員:これからも日本百貨店をよろしくお願いいたします!

Information

日本百貨店 公式HP:http://nippon-dept.jp

日本百貨店 おかちまち店
住所:東京都台東区上野5-9-3 2k540 AKIOKA ARTISAN
最寄駅:JR各線「御徒町駅」
電話番号:03-6803-0373
定休日:水曜日
営業時間:11:00~19:00

日本百貨店 きちじょうじ店(Nippon Department Store)
住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-1-24 アトレ吉祥寺1F
最寄駅:JR、京王線「吉祥寺駅」
電話番号:0422-22-1494
定休日:なし(元旦を除き年中無休))
営業時間:10:00~22:00

日本百貨店 てらす
住所:神奈川県横浜市青葉区美しが丘1-1-2たまプラーザ テラス ゲートプラザ1F
最寄駅:東急田園都市線「たまプラーザ駅」
電話番号:045-530-0741
定休日:なし(元旦を除き年中無休)
営業時間:10:00~21:00

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伊佐 知美

旅するエッセイスト、フォトグラファー。1986年生まれ、新潟県出身。世界中を旅しながら取材・執筆・撮影をしています。→ さらに詳しく見る

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