2017年6月から始まった「鳥取メディア研究部~ぼくらが伝える、鳥取(以下、鳥取メディア研究部)」。8月19日(土)に、第3回を開催しました。
同プロジェクトは鳥取県と日本財団が実施している「県の魅力の再発見・価値の創造」プロジェクトの一環で、主催はTom Cat(Tottori media creative action team)(*1)。「灯台もと暮らし」も協力しています。
(*1)Tom Cat:一般社団法人ワノクニ、とっとりずむ、鳥取マガジンが協働する鳥取メディアクリエイティブアクションチームの略称。
「灯台もと暮らし」のようないわゆるウェブメディアを運営していると「取材をして、ネット上に記事を公開するお仕事」と思われる方も少なくないかもしれません。それは半分正解ではありますが、半分間違いです。
もちろん記事は公開するのですが、「記事を公開したあとに、流通までを自分たちで行う」というのが、テレビやラジオ、雑誌などのマスメディアとの大きな違いのひとつです。
ツイッターやFacebookなどのSNSを駆使して、たくさんの方に読んでもらえるように、記事を流通させます。そこで同時に、読んでくれた方とコミュニケーションをとる。小さなコミュニケーションを重ねていくと、そこでコミュニティが生まれます──。
そんなお話をしてくれる、今回の講師は「ことりっぷ」のウェブプロデューサー・平山高敏さん。
平山 高敏(ひらやま たかとし)
1983年、東京都出身。インターネット広告代理店の企画営業職を経て、2011年、昭文社へ入社。2013年、「ことりっぷweb」の開設時からコンテンツ企画、マーケティング戦略、SNS戦略、2B案件支援などウェブ事業全般を統括。2015年、ユーザー参加型のアプリの立ち上げに携わり、メディアの枠を越えたコミュニティ戦略全般を担う。
講座の後半は、「鳥取マガジン」編集長・都丸司さんと「とっとりずむ」の編集長・酒本勇太(さっけー)さんとのトークセッションも行いました。
当日のタイムスケジュール
14:00〜 はじめに「TomCat」小谷さんからのごあいさつ
14:05〜 平山さんの講座スタート
15:00〜 トークセッション
16:00〜 ワークショップ
さっそくですが、平山さんの講座の一部から“ネット上のコミュニティのつくり方”をお届けします。
以下、平山高敏
「ことりっぷ」は2008年に始まった女性向けのガイドブック
「ことりっぷ」のウェブのプロデューサーをやっている、平山高敏と申します。みなさんは「ことりっぷ」ってご存知ですか?
(※会場挙手。たくさんの手が挙がる)
ありがとうございます。本日はよろしくお願いします。
今でこそ、「ことりっぷ」のような女性向けにつくられた本って少なくないのですが、当時は珍しくて、本屋さんにすごく喜ばれました。僕らがプロモーションをしなくても、書店員さんから「うちの棚に置きたい」と言っていただけて、今のように広がっていきました。
今回は「コミュニティづくり」についてお話させてもらおうと思っています。
自分のブログやメディアについて、自分自身で検索してみる
インターネットで情報を発信していくことが決まったら、次のステップです。コミュニティづくり。そこでコミュニティをつくりたいときに、「じゃあ具体的に何をすればいいのか」というお話に入っていきます。
まずは、初回の染谷さんの講義でもお話がありました。前回、「箱庭」の森さんも仰っていました。「継続して、発信し続けましょう」ということ。これがまず大前提で、本当に大切なことです。
次に、これは僕がすごく大切なことだと考えていることなのですが、エゴサーチは必ずしましょう。エゴサーチというのは、自分のブログやメディアのことを自分自身で検索しましょうということです。
自分でブログを書いたら、必ずどんなリアクションをしてくれているひとがどれだけいるのか、各種SNSでくまなく見ること。
引用リツイートをしてくれたら必ずいいねしたりとか、きちんと返信をした上で「何がよかったですか?」って聞いたら、マーケティングにもなります。
すごく地味な作業に思えるかもしれませんが、じつはことりっぷでもやっています。SNS上で頂戴したコメントに対応したり、Instagramで「#ことりっぷ」で投稿しているユーザーさんを観察したりと、日々動向を追いかけています。
僕は個人でもツイッターのアカウントを持っていますが、繰り返していくと、だんだんそこで、信頼感が形成されていきます。
ネットを軸にコミュニティを広げていく
ネット上ではつながりが可視化されます。ツイッター上でコミュニケーションをしていると、それを見ている他のひとたちは「あっ、このひと、このひととつながっているんだ」と見えるわけです。そうしてまた新しいつながりが増えていく。
ツイッターでつながったあとのリアルのコミュニケーションの方法は、できれば直接会いに行ったほうがいいです。鳥取県内にいる方だったら、直接会う機会をもらって、とにかくお話をていねいに聞きましょう。
あとは、イベントがあったら出向くこと。これもツイッターなどでコミュニケーションを取った上でイベント会場で会えば「あっ、◯◯さんですね!」って思ってもらうことができるんです。
これは、誰でもやれることなんですね。こういうコミュニケーションを続けていくと、徐々にボディブローのように、いつの間にか自分を中心とした輪が広がっていって、コミュニティになります。
とっとりずむとつながったとき
じつは、とっとりずむさんも同じようにつながりました。
また素敵なローカルメディアが。うまくコミュニティ化してる気がするなぁ。お会いしてみたい。→とっとりずむ | 鳥取県の人と楽しいを発信する地域ブログメディア https://t.co/yktqRYgNF8
— 平山高敏 (@t_hirayama0227) 2016年7月14日
僕が、個人のツイッターアカウントで「新しいローカルメディアだ!」と思ってつぶやいたんですけど、それをさっけーさんはちゃんと見ているんです。それで返信をくれて。
本当ですか?まだ手探り状態ですが、そう言って頂けるととても自信になります!是非お会いしたいです!!
— さっけー@とっとりずむの人 (@Sake_yuta) 2016年7月23日
そして、実際にふたりでお会いしたのは、一週間後です(笑)。
こうしてツイッターでコミュニケーションをしている頃には、僕は出張の届けを出しています(笑)。
これは一例ですが、こういうことなんです。まず大事なのは、発信すること、発信を続けること。それを僕がたまたま見つけた。続けていると、必ず誰かが見つけてくれます。
そこでコミュニケーションが生まれて、ことりっぷのメディアパートナーになってもらったし、こうして一緒に「鳥取メディア研究部」の仲間としてお仕事をできているわけです。
僕らの場合は、メディア同士の話ですけど、個人でも同じことが起きます。自分が大事にしているものを発信し続けていれば、共鳴してくれるひとが必ず現れます。
改めて、何をすべきか、まとめます。
- 熱量を伝えるために発信し続ける
- 共鳴する人を見つける
- 話を聴きに行く
- 小さなことでいいから、一緒にできることをひとつはじめる
大切なのは「メディアを運営すること」だけじゃないんです。「これ跳ねる(たくさん読まれる)かもしれないから」って記事を出すことも、もちろん大事です。ただ、それ以上に「なんでこれが好きなのか」って語ってください。伝えてください。熱量を伝えることです。
熱量を伝え続けると、共鳴してくれる方が、ひとりかふたり出てきます。そしてその関係をネット上で可視化し続ける。可視化し続けることで、さらにつながりが生まれていって、コミュニティができて、広がっていきます。
なんでわざわざこんなに面倒な手間のかかることをやるんだって聞かれることがあるんですけど。
信頼関係ができ、想いに共鳴してもらえるれば、メディアの枠を超えた取組につながることもあります。たとえばそれは、共同イベントだったり、はたまた商品開発だったりと新しい取組に発展することもあります。
また、こうした関係性はモチベーションの維持にもつながります。
続けることって大変なんですけど、たとえばひとりが「いいね」って言ってくれるだけで、自分のテンションがアガるとか、落ち込んでいた気持ちが回復したりするじゃないですか。続けていると、必ずそういう経験をすると思うので、まずは情報発信を続けていきましょう。
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1時間にわたる講座の中から、ツイッターをきっかけにしたコミュニケーションのお話を抜粋してご紹介しました。
まだまだ世の中には「インターネットでひとと知り合うなんて怖くないの?」と思うひとが多いかもしれません。
ただ、今回あった話のようにひとのつながりが可視化されてコミュニティ化していると、「このひとは友人の◯◯の知人なんだ。同じコミュニティのひとなんだ」とわかったりします。
そうなると、まったく素性の不明なひとではなくなるので、声をかけて、一緒に話す機会をつくれることもあります。それが、メディアが発展していくきっかけになるんです。
さて、鳥取メディア研究部は講座を聞くだけではなく、参加者も自らの手を動かして「学び合う」という精神を大切にしています。
講座のあとは、平山さんと「鳥取マガジン」編集長・都丸司さん、「とっとりずむ」の編集長・さっけーさんとのトークセッションを経て、ワークショップを行いました。
トークセッションとワークショップの様子
鳥取メディア研究部、第4回は9月23日(土)に開催します!
ゲスト講師は、プロブロガーのイケダハヤトさん。
情報を効果的に届けるコツを学びます。
(この記事は、日本財団と協働で製作する記事広告コンテンツです)