タオルを洗って干した時。顔を洗った後。ふと目に入る、IKEUCHI ORGANICの黄色くて細長いタグ。これを見ると、「あぁイケウチのタオルだな」となぜか安心する――そんなひとは多いはず。

オーガニック960

さて、このIKEUCHI ORGANICのシンボルともいえる、ロゴやコーポレートカラーのデザイン、いわゆる「CI(コーポレート アイデンティティ)」を担当したのは、ロングライフデザインを掲げるD&DEPARTMENT代表のナガオカケンメイさんです。

ナガオカさんは、仕事を引き受ける上で「一生付き合いたいと思うひと・会社かどうか」がとても大切だといいます。

そんな風にナガオカさんを惚れ込ませたIKEUCHI ORGANICの魅力は、一体何だったのでしょう? CIの枠を越えて、社名変更にまで携わったナガオカさんに、お話を聞いてみます。

ナガオカケンメイさん

ナガオカケンメイ

デザイン活動家・京都造形芸術大学教授・武蔵野美術大学客員教授。1965年北海道室蘭生まれ。2000年、東京世田谷にてロングライフデザインをテーマとしたストア「D&DEPARTMENT」を開始。2009年より旅行文化誌『d design travel』を刊行。また、2012年より東京渋谷ヒカリエ8/にて47都道府県の「らしさ」を常設展示する、日本初の地域デザインミュージアム「d47 MUSEUM」を発案、運営している。

IKEUCHI ORGANICとの出会いは、タオル「オーガニック 120」

── ナガオカさんが、IKEUCHI ORGANICに出会ったのはいつですか?

ナガオカ D&DEPARTMENT創業時の2000年頃、店でイケウチのタオルを扱いたいと思ったことが始まりです。

D&DEPARTMENTは「ロングライフデザイン」をテーマにしているお店。「どんなタオルがいいかな?」と自宅で嫁とふたり、タオルというタオルをすべて使ってみた時期がありました。その結果、すごく気に入ったタオルがイケウチだったんです。

ナガオカケンメイさん

ナガオカ タオルのことは、全部池内代表に教えてもらいました。だからこれは後から知ったことなんですが、普通のタオルは店頭に並んでいるときが一番ふわっふわらしいです。その手触りに感動してみんなタオルを買っていくんだけど、洗うと基本的にはちょっと変わっちゃう。

一方イケウチは、店側からいわせると、正直店頭映えはしない商品なんだけど(笑)。使い込んでいけばいくほど、なぜかどんどん状態がよくなっていくんですよね。

当時はそんなからくりは知らなかったけれど、最初の手触りだってぼくらはもちろん好きだったし、使っても品質がそんなに落ちなかったというか。値段も手頃だしこれはいいタオルだなということで、D&DEPARTMENTでの取扱を決めました。商品に惚れ込んだのが始まり、といったところでしょうか。

イケウチのタオル

「なんてフットワークのいいひとだ」。池内代表を好きになった

ナガオカ 商品ではなくて、実際に経営者の池内さんと出会ったのは、D&DEPARTMENTでの取扱を始めてからしばらく経った頃だったと思います。

愛媛県に仕事で行く用事があったから、会いたいと思って連絡しました。そうしたらすぐに「迎えに行くから一緒に飲みましょう」と言ってくれて。2軒くらいハシゴした。サシ飲みですよ、いきなり(笑)。

でも、こんなフットワークが軽いひとがいるんだなと知って、すごく嬉しくなった。

池内さんは、D&DEPARTMENTがイケウチのタオルを創業当時から取り扱っていることを知ってくれていました。意気投合して、以後プライベートでも親しく付き合うようになった感じです。

ナガオカケンメイさん

一緒に成長していきたいと思ったから引き受けた

ナガオカ そうしているうち、池内さんから「ロゴのデザインをお願いできないか」と相談されました。じつは最初は断ったんです。その頃、今治は町をあげて今治タオルのブランディングにがんばっていた時期だったから、僕よりも適任がいると思って。

ナガオカケンメイさん

── でも、池内さんは「ナガオカさんがいい」と。

ナガオカ そう。「長いこと、イケウチのタオルを取り扱ってくれていることに感動しているし、何よりこれから一緒に成長していけそうだと感じている。イケウチもD&DEPARTMENTに何か言うし、D&DEPARTMENTもイケウチに何か言う。そんな関係性が築けそうだから頼みたいんだよ」というようなことを言ってくれました。

じゃあやってみましょう、という流れでロゴデザインの仕事を引き受けることに。ただし、ひとつだけ「イケウチさんもD&DEPARTMENTの仕事をしてください」という条件を出しました。当時から、僕もクライアントとは長く、継続した関係性が作りたいという明確な方針を持っていたんです。

そして結果として、ロゴデザインにとどまらず、会社全般のブランディングを考えるCIという形で、関わらせてもらうことになりました。

D&DEPARTMENT
D&DEPARTMENTの一号店である奥沢の店舗。開店前の誰もいない静かな時間の様子

「池内タオルという名前に、限界はないか?」社名変更の提案へ

ナガオカケンメイさん

ナガオカ ロゴやコーポレートカラーを考えるにあたって、改めて本社工場や染色工場「インターワークス」を見学させてもらいました。すると、製造の工程や想いを深く知るうち、イケウチは「タオルメーカーの域を超えている」と思うようになって。

会議で「タオル」と「オーガニック」という言葉が頻繁に出てきた時に、オーガニックというコンセプトの方が、ブランドとして遥かに勝っているように感じたんです。「これはタオルってことを言わない方がいい。オーガニックに関する総合ブランドになっていったほうがいいんだろうな」と。

少し話は変わりますが、石川県の輪島に桐本さんという漆職人がいます。彼は輪島の産地を牽引している人物。独自の輪島塗、漆塗りに対する価値観を持っています。で、そんな彼の作品を周囲は「キリモト塗り」とか「キリモト式輪島塗」とかって呼んでいる。

これに沿って考えると、池内さんのやっていることはまさに「池内式オーガニック」。だから、社名を「IKEUCHI ORGANIC」に変えないかと提案しました。「池内タオルという名前に、限界を感じることはないか?」と池内さんに聞いたんです。

── 結果、池内さんは快く承諾してくれた。

ナガオカ そうです。正確にいうと、池内さんの頭のなかには、僕が提案する前からオーガニックに関する総合ブランドになっていくというイメージがあったんだと思います。事実、彼は社名変更後すぐに、タオル以外の衣料品やベビー用品、オーガニックソープの開発にも積極的に取り組むようになりました。

太陽と地球をイメージしたロゴと、オーガニックのタグ

ナガオカ 具体的なCIの作業は、タオルのタグを取り替えることからはじめました。なぜかというと、池内さんが、それまで化学繊維で作っていたタグを、別の素材のものに変えたいと言っていたから。タオルメーカーは数あれど、タグまでオーガニック素材で作っている会社は、日本でイケウチだけだと思います。

オーガニック120
タグ部分もオーガニック素材で作られている、現在のIKEUCHI ORGANICのタオル

ナガオカ 色は、太陽をイメージしました。ロゴは、地球をイメージしています。案外、普通ですよね(笑)。でも、僕は個性的すぎないロゴがいいと考えていました。

「I」って商標がとりづらい文字です。でも、それもあえて選びました。なぜかというと、イケウチは自分たちのためじゃなくて、未来や世界のためにオーガニックを追求している共同体、NPOなんかに近い会社だと思っていたからです。

じつはこの「I」の横棒の部分は、まっすぐのラインじゃないんです。地球の球体から割り出した「I」だから、ものすごく拡大すると円に沿ったラインになっています。

── 地球。

ナガオカ みんながその中に、含まれているというような意味合い。これ、もしかしたら池内さんにプレゼンしていない部分かもしれません。でも僕としては、そういうことを考えて、何百パターンもアイディアを出して現在の形にたどり着きました。

IKEUCHI ORGANIC 株式会社 IKEUCHI ORGANIC 株式会社

「オーガニックアキュレシー」それは、精密なオーガニックか?

ナガオカ 企業のブランディングに携わる際、コンセプトを後世にまで伝えるための「ブランディングブック」というのものを作ります。イケウチの場合は、そこに「オーガニックアキュレシー」という言葉が刻んである。それはApple社でいうところの「think different」みたいなものです。

何か新しいことをするときや、判断が必要なときに、「それは精密なオーガニックか?――つまり、お客さまに胸を張って説明できるものか?」ということを問いかけようという行動指針として記しています。

ナガオカケンメイさん

ナガオカ そして、その想いは会社の随所に反映されている。たとえば、僕が監修したイケウチの実店舗デザイン。

スレンテスの什器に、商品ごとのタグを置いているのですが、そのタグはあえて固定していません。だから、お客さまがタオルを手にとって見た際、ちょっとしたことですぐにズレてしまいます。

するとそれを、「あ、これ曲がっているな」となぜかお客さまが気がついて、無意識にでも直してくれる。あんまりやりすぎると店員と間違えられますが(笑)。そういうお客さまの「参加意識」が生まれやすい空間を作るのも、ひとつの「オーガニックアキュレシー」だと考えています。

東京ストアの店内

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同じ「IKEUCHI ORGANIC号」という車に乗って

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ナガオカケンメイさん

ナガオカ 僕は「IKEUCHI ORGANIC号」という車に、一緒に乗っている感覚がすごくあります。運転手は池内さん、助手席に阿部社長、後部座席に僕や社員さんたち、のような。

しかもそれは「お前乗れよ」という強制的ではまったくなくて、「僕たち、この車に乗っていたい!」と自ら思ってしまうような感じ。だからともに喜ぶのはもちろん、「今はどっちに向かって走っているんだろう?」「道、間違えてないかな」とかって心配したくなったりもする。

そういう風にみんなに思わせることが、池内さんは天才的に上手いんだと思います。彼のことは、僕も好きだし、従業員もきっと好きだし、関わったひとみんなが好き。

デザインもタオルも、作ったり、やって終わりというものじゃないといいなと思っています。D&DEPARTMENTの観点からいうと、今度池内さんと一緒に、愛媛県の内子という地域にD&DEPARTMENT店舗を作ろうとしていたり。

こうやって、仕事でありながらも仕事の枠組みを超えて、互いに顔の見える、「一緒に生きていこう」と思い合えるような関係性を続けていきたい。そうしたら、ロングライフデザインも持続可能な社会も、楽しく一緒に、目指していけるんじゃないかなと思っています。

■D&DEPARTMENTの詳細はこちら

取材時のオフショットと、D&DEPARTMENT奥沢店の様子

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(この記事は、IKEUCHI ORGANIC株式会社と協働で製作する記事広告コンテンツです)

文章:伊佐知美
写真:タクロコマ(小松﨑拓郎)

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