1990年代から継続してオーガニックコットンの商品を扱い、その道を貫いてきた池内計司さんに、聞いてみました。

「オーガニックやエコという言葉が広く親しまれるようになって、ご自身がずっと信じてきたものが世の中に浸透して『やった!』という気持ちはありますか?」

その答えは「それはあんまりないんです。自分が“いいね”と思うものを“いい”って言ってくれるお客さんが増えていくのが嬉しいだけなんです」。

池内さんは1983年から「IKEUCHI ORGANIC」(当時の「池内タオル」)の代表を務め、2016年に代表取締役社長の座を現社長の阿部哲也さんに譲ります。

そのとき池内さんが思ったのは「(経営は自らの手から離れ)これでもっと、ものづくりに専念できる」ということでした。

オーガニックやエコの押し売りをせず、まず自分がつくりたいものを徹底的にこだわってつくり、お客さんにていねいに届けていく。

それが池内さんのものづくりです。

(以下、池内計司)

1953年創業、1983年代表に就任するまで

  • 1953年2月、現代表・池内さんの父である池内忠雄さんにより創業。輸出専用工場(指定保税工場)として、タオル生産を開始したのが始まり。
  • 1969年2月12日、法人化して「池内タオル株式会社」に。当初はドイツを始め、ヨーロッパ市場を中心に展開。
  • 1973年2月、創業20周年工場を設立。
  • 1983年2月4日、池内さんが代表取締役に就任。

池内さん1

池内 計司(いけうち けいし)
1949年、愛媛県今治市生まれ。1971年一橋大学商学部を卒業、松下電器産業(現パナソニック)に入社。1983年池内タオルに入社し、2代目代表取締役社長に就任。2014年に社名を「IKEUCHI ORGANIC」に変更。2016年に社長から退き、同社の代表に。「オーガニック120」や「風で織るタオル」の生みの親。社内外からの信頼も厚く、みんなに愛されるイケウチのシンボル的存在。大のビートルズ好きとして有名。好きなタオルは全部だけれど、「オーガニック960」のバスマットが最近のお気に入り。

IKEUCHI ORGANICの創業は1953年、今年(2017年)で64年目です。始めたのは父なんですけど、父も自分の親の工場から独立したので、代々、機織り屋(はたおりや)さんです。

子どもの頃からオーディオに興味があって、大学受験のときに国立を受けて、私立も受けるから入学費を親から預かっていたけど、そのお金がもったいないから払わなかったんです。国立に通ればいいやって。受かったあとに親父に「(この余ったお金)使っていいよね?」って言って秋葉原でパイオニアのオーディオを買いました(笑)。それくらいオーディオマニアでした。

大学を卒業して、松下電器に入って、ステレオ事業部で「テクニクス」ブランドのプランナーを約12年していました。ビートルズが好きで、松下で働くなら、ステレオ事業部以外で働くことは考えていなくて。

代表の執務室の一角にあるオーディオ
池内代表の執務室の一角にあるオーディオ

その頃はまだタオルの仕事をしたいなんていう気持ちは全然ありませんでした。今思うと父親はすごく不愉快だったと思いますよ。ただ、そのうちに松下で経験したことを、池内タオルで活かしたいと思うようになって、退社を決意しました。

ところが池内タオルへの入社を目前に先代が急逝してしまって。いきなり「私が会社を引き継ぎます」と宣言して社長になったものの、経営に関するノウハウもなかったんです。もっといいものをつくりたくて「僕こういうタオルつくりますから」って言っても、最初は理解されなくて……会社のみんなはしらけてましたね(笑)。

当時の池内タオルの評判は決してよくなくて、ほかのタオル会社から見たら「こんなのタオルじゃねえ」っていうようなタオルだったみたいで……うん、こんなこと今ふと、久しぶりに思い出しましたよ。

業界でも「変わったやつが今治に帰ってきた」って評判で(笑)。先代から引き継いで最初は何もわからなかったわけだけど、周りは周りで「あいつしようがないな」っていろいろ教えてくれたりしましたね。

「オーガニック120」ができた1999年

  • 1999年、オーガニックコットンにこだわった自社ブランド「IKT」を設立。
  • 2003年1月、小泉純一郎首相(当時)の工場視察、施政方針演説「がんばる」というテーマにて紹介される。同年5月、ニュースステーション(テレビ朝日)で特集され、「風で織るタオル」と命名される。
  • 同年9月、全国一斉発売。
  • 2003年9月、主要タオル問屋の倒産により、民事再生法適用申請。2004年2月、民事再生計画認可。池内さんは当時を振り返り「あの頃の記憶はほとんどない」と言う。
オーガニック120
オーガニック120

1999年に、オーガニックコットン100%のタオル「オーガニック120」を出すんですけど、当時は売上のほとんどがOEM(※他社ブランドの製品を製造すること)で。OEMだけをやっていても差別化ができないので、オリジナルブランドをつくらないといけない状況でした。

そこでオーガニックコットンを使ったタオルをつくりたかったのですが、当時オーガニックコットンを使ったタオルの色は、生成りが主流でした。他の会社がやっていることを真似してやるつもりはなかったので、きっちり色を付けてタオルとして完成度の高いモノを作ろうと。今治を代表するようなものを出したかった。

それで「ISO14001(環境マネジメントシステム)を持ってる唯一のタオル会社がつくるオーガニックタオル」という形でデビューさせたんです。でも、最初は決していい反響ばかりというわけではないんですよ。ただ、会社としては割と資金が豊かな時期だったので東京ビックサイトの展示会に出展したり、ロサンゼルスのショーに出展したり、積極的に露出できている状況ではありました。

1999年から、「最大限の安全と最小限の環境負荷」というコンセプトは18年間言い続けています。ただ、その頃僕がよく言っていたのは「オーガニックコットンだから地球にやさしいでしょ」ってメーカーがいうのは間違ってるということ。地球にやさしいのは高いのに買ってくれるエンドユーザーです。つくっている僕らは環境を商売にしてるだけなので、だったら自分たちも環境負荷を下げないといけない。2002年から本社工場や事務所の電力を100%風力発電でまかなって、環境負荷を下げることを考えていきました。

2003年、民事再生法適用申請

池内さん2

全体の売上の7割を担っていたタオルハンカチを作っていた問屋さんがあったんだけれども、その会社が倒産しました。これをきっかけに、自社ブランド一本で生きていく決心ができたんです。

その頃は銀行取引ができないので、注文があっても手元にお金がある分しか作れないんですよ。そうすると持ってるお金でモノ作るしかないので、売り先をセレクトするって言ったらおこがましいんだけど、自分たちのことをより理解してくれるお客さんを優先していくしかなかったわけです。

もちろんたくさんの方に迷惑をかけたことではあるんだけど、今振り返れば、お金がなかったことはすごくよかったと思いますね。その間に自分たちが限られた選択肢の中で、商品の魅力を磨いていけたから。

2014年、ナガオカケンメイさんによるブランドリニューアル

  • 2014年3月1日(創業60周年)、IKEUCHI ORGANIC株式会社に社名を変更。同年3月、「IKEUCHI ORGANIC TOKYO STORE」を、同年9月「IKEUCHI ORGANIC KYOTO STORE」をそれぞれオープン。
  • 2015年6月、「IKEUCHI ORGANIC FUKUOKA STORE」をそれぞれオープン。同年12月7日、業界で初めて食品工場の安全基準である「ISO22000」を取得。
  • 2016年4月、京都市が選ぶ「これからの1000年を紡ぐ企業」に認定。
  • 2016年6月、阿部哲也さんが代表取締役社長に就任。

池内さん5

IKEUCHI ORGANICという名前は、最初ブランド名の案だったんですよ。その案のプレゼンテーションを見て、そのまま進めればよかったんだけど、僕が「だったら社名を変えよう」と言い出したんです(笑)。そうしたら商品製作のやり方ももちろん変わったし、商品だけじゃなくて、会社のメンタルもオーガニックにしたいよねなんて言いながら進めていきました。

ブランドリニューアルをお願いしたナガオカケンメイさんとの出会いは、もともと「ロングライフデザイン」をテーマにした活動団体「D&DEPARTMENT(以下D&D)」が2000年にオープンしたときに「池内タオルを扱いたい」とオファーをいただいたことがきっかけです。正直、その時点ではD&Dって全然何かもわかっていなかったんだけど、本社地が世田谷区の奥沢で。僕は新婚時代に奥沢で生活していたので、懐かしいなぁと思って契約したんです(笑)。

池内さん4

そこからお付き合いが始まって、一緒にお酒を飲むようになって。一緒にお酒を飲んで盛り上がったらもう友だちだから。僕の中では、直感でしたけど、ナガオカさんに依頼するしかなかった。だからこそ、ナガオカさんだったらダメなところがもしあってもダメって、言えるだろうなと。まぁ、言っても聞いてくれないんですけどね(笑)。

出来上がったものを見て、ナガオカさんから出てきたものは全部信じようって思っていました。会社にとって大きな変化だから、トップがおかしいなんて言っていたら絶対に浸透しないでしょう。でもね、正直僕は最初ピンと来ていなくて(笑)。

「あっ、いいな」と思えるようになったのは1年か2年経ってからです。それだけ時間が経って、ナガオカさんが言ってることがやっとわかってきたって感じ。ナガオカさんはもちろん最初からわかっていたんだろうね。

2016年、社長交代

IKEUCHI ORGANIC代表の池内さんと社長の阿部さん

じつは僕としては、会社名から「イケウチ」を外してもよかったくらい。でもナガオカさんが外してくれなかったんですよ。「IKEUCHI ORGANICの阿部社長です」って、なんとなくおかしいのかなと思って。大きい会社だったらわかるけど、中小零細企業で社名と社長の名前が違うのはどうなんだろうと当初は思っていました。

阿部社長と僕は、性格は正反対。だから頼んだんですよ。同じ性格だったら、自分がやればいいことだから。やっぱり、変わっていかないといけないので。僕が「それはあかん」っていちいち言っていたら、変わらない。

エコとかオーガニックって単語が世の中的にも浸透して、信じていたものが世の中に溢れてきて嬉しいかって聞かれることがあるけれど、それはあんまりないんですよ。自分が「いいね」と思うものを「いい」って言ってくれるお客さんが増えていくのが嬉しいだけ。それだけなんです。

(この記事は、IKEUCHI ORGANIC株式会社と協働で製作する記事広告コンテンツです)

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