お元気ですか? 緊急事態宣言下の日本とおなじように、ぼくが住んでいるドイツも規制措置下の生活が続いています。四六時中、窓際で過ごしているわけですが、ここから街を眺めているだけでもさまざまな出会いがあります。これはドイツ・ベルリンで生活する筆者が、窓際で記した日記です。(小松﨑)
5月17日(日)
日差しが眩しく、18時を過ぎたが、窓際にいると眩しすぎるくらい強い日差しが続いている。これまでベルリンで確認されたコロナウィルスの感染者数は6,447名。ベルリンでは、金曜日から再び市民がレストランやスナック、バー、カフェで食事できるようになった。ベルリンの知人達とビールを飲みに行こうと話している。
5月16日(土)
晴れ今日の雲は分厚い。ベルリンのコロナウィルスのこれまでの感染者数は6,428名。今日は、我が家でもベルリンの友人とお昼からオンライン飲み会をしていた。外のベンチでも女性2人が瓶ビール片手に語り合っている。土曜日は通りに駐車している車がなくなっている。家族や世帯がどこか車で出かけているのだろう。家ゴモリからだんだんとどこか外に出かける気分になってきたのかもしれない。
5月15日(金)
雲ひとつない快晴。通りを行くおじさんは、瓶ビールを拾いあつめて自転車の後ろカゴを山盛りにしている。お酒を飲む人が多くなるであろう金曜日に拾い回っているのだろう。あの瓶ビールは、スーパーの回収容器にいれると、レジでデポジット(前払金)を返金してもらえる。この瓶ビール集めは、おじさんの厚意かもしれないし、節約のためかもしれない。飲料容器のデポジット制度は、自然とゴミが再生されていく仕組みになっている。
5月14日(木)
これまでにベルリンで確認されたのは感染者数は6,342名。今朝、カートに乗った幼い子どもたち6人と2人の女性が通りを横切っていった。保育園や幼稚園が始まったのだろう。夜10時半を過ぎると向かい側のアパートで電気がついているのは数件しかない。ベルリンの人々の就寝は早い。そのかわりに朝も早いのだが。
5月13日(水)
晴れているようで曇り。空全体にうすく雲がかかっている。ベルリンで確認された感染者数は6,338名。18時4分、隣の家から焼いた魚の香りが漂ってくる。もう夕食の準備をしているようだ。この時間帯、窓際から見えるベンチには若者4人が集まって話している。雲の表情が刻一刻と変わるのも空を眺めていて楽しい。ツバメたちがぐるぐると八の字を描くように、向かい側のアパートの空を飛んでいる。まるでお祭りをしているかのようだ。
5月12日(火)
雲ひとつなく青空が見える。ベルリンでこれまでに確認されたコロナウィルス感染者数は6,294名。朝9時ごろ、音楽を聴きながらランニングしている女性たちが通りを駆け抜けていく。この20分位で6人は見た。通りを行き交う人たちはよく犬と散歩する。シベリアンハスキーと自転車に乗って散歩してる男性、犬と彼女と散歩する男子。今日は向かいの通りにあるベンチの脇に、赤いバイクがずっと朝から夜まで止まっている調べると、ベルリンとミュンヘンで展開しているシェアリングサービスの電動スクーターだった。公共交通機関ではない手段で移動する人も増えているのだかもしれない。
5月11日(月)
雨。気温は8度。急に寒くなった。ベルリンで確認されたコロナウィルスの感染者数は6,269名。急に温度が下がり、雨まで降っている。通りを歩いている人たちのほとんどが、ジャケットを着て帽子をかぶっている。フードでどんな表情をしているのか窓から眺めてみてもくみ取ることができない。日本人だったら傘をさして通りを歩くだろうが、ここではフードが一般的。ドイツは天気が変わりやすく、1日のあいだに曇り、雨が降り、晴れることを繰り返す。たしかにフード付きのジャケットが必要だ。
5月10日(日)
雨ときどき曇り。ベルリンのコロナウィルスの感染者数は6,261名。今朝は向かい側にある黄色いアパートの4階のバルコニーで女性がながながと日光浴している。夕方頃は雨が降り人々もなかなか通りには出てこなくなった。外を眺めて執筆していると、生活には水と電気がもっとも大切ではないかと思った。書きながら水をがぶがぶと飲み、書くためには電気が欠かせない。通りに見慣れないキャンピングカーが駐車している。ドイツの方が室内が広く豊かな作りのように思えた。
5月9日(土)
雲ひとつなく晴れている今朝は、向かい側のアパートの上空をツバメが飛んでいる。庭にも、バルコニーにも、公園にも、とにかく土曜日のお昼は外で過ごす人々ばかり。ある家では、おじいさんとおばあさんと息子が、庭で飲み食いしながら歓談している。公園で過ごしているのは、最寄りにキャンピングカーを駐車して、芝生でくつろぐ家族、フリスビーをして遊ぶ若者、爆音を流してダンスをする女の子たち、ひとりギターをひくおじさん、読書をするおじさん、なにもせず椅子に腰掛けるおばさん。野鳥たちがさえずっている。ゆっくりと流れる時間を誰もがたのしむ光景は、いつになっても衝撃を受ける。贅沢とは、時間を浪費することなのだろう。
5月8日(金)
今日は第二次世界大戦の終わりを告げる日であり、ナチスの支配から解放を記念する日でもある。暖かくなった昼間から、向かい側にあるマンションからは大音量の音楽と、人々が騒ぐ声が聞こえてきた。夜23時になっても、宴は続いている。外で人々が話している声が寝室まで聞こえてきた。お隣さんのカップルは、バルコニーで夕食を楽しんでいた。
5月7日(木)
今日は雲ひとつなく晴れた。ベルリンで確認された感染者数は6,203名。毎日外の小鳥たちを眺めているだけでは寂しいので、彼らの餌を用意したが、小鳥たちが食べに来てくれる気配はない。向かい側のダークブラウンのおうちの屋上には、つがいの鳩が暮らしている。鳩も求愛の時期らしい。街灯の上にとまっている2匹は、雄がお辞儀をするように雌に近寄っていく。なかなか雌には受け入れられず、追いかけ回している。さて、どんな時に相手は受け入れてくれるのだろうか……。動物たちは種を保存することに命を使っている。
5月6日(水)
快晴。ベルリンの感染者は6,143名。街を掃除してくれるオレンジ色のユニホームを着た作業員の方々5人がベンチに座って休んでいる。15時35分、瓶ビールを片手に乾杯!昼間からビールを飲んでいる風景は上野の赤ちょうちん街を思い出す。街の歩道や道路がいつも綺麗なのは彼らのおかげだ。警察の方々も3人で通りを歩いている。取り締まりを強化しているのだろうか。向かい側のアパートの屋上にいるアムゼルという黒い小鳥が求婚している。屋根の上を前かがみになり、尻尾を90度に高く上げて、もう1匹のアムゼルに迫り寄っていた。緊急事態でも恋は始まる。
5月5日(火)
晴れ。雲のない青空が広がっている。木々の葉がわらわらと動くほど風が強い。ベルリンの感染者数は6,042名。スーパーに買い物から帰ってきたと思われるおばさんが、見慣れないカートで食材を運んでいる。キャンプに使うような取っ手付きの4輪の布張りのカートの中にたくさん買い込んだ食材を入れていた。夕方に為ると、カラスに餌をあげるおばちゃんが現れた。ドイツにも鳥に食べ物を与える人がいるようだ。連休中は、妻の仕事が立て込んでいる。在宅ワーカーが増えれば、仕事に集中する人も増えているかもしれない。
5月4日(月)
天気は曇り、黒々とした雲が空を覆っている。ベルリンで確認されたコロナウイルスの感染者数は5,607名。東京が20度を超える日が続いているのに対して、ベルリンは12度と肌寒い。人々はジャケットを着てきたりウルトラライトダウンを羽織って過ごしている。我が家から見える通りを歩いている女性2人組も、ジャケットにマフラースタイル。家庭内暴力によるベルリン警察への緊急通報が増加しているそうだ。3月中旬以降、週に390の電話があり、3月16日から4月19日まで、警察官は1,580件のミッションに出向いたそうだ。これまでの悪い要素を助長するような影響が出ているのかもしれない。
5月3日(日)
雨も降ったが、昼にはお日様がでて暖かい。日向ぼっこ好きのドイツ人が街にでている。コロナウイルスの感染者数は6,004名。窓際から見えるベンチに3人組の男の人たちがタバコを吸いながら座っている。右手には夫婦らしき男女が、手に持った書類を見ながらベンチに腰掛けて話している。これまではベンチにひとりで座ってゆっくり休んだりしている人が多かったが、だんだん一緒に行動しているのが目につくようになった。ぼくは在宅期間中のトレーニングで、確実にロックダウン前よりも筋力が向上している。
5月2日(土)
朝は曇りがかった晴れ。ベルリンで確認されたコロナウイルスの感染者数は5,943名。6月1日からテーゲル空港が閉鎖することになった。市民が利用するテーゲル空港、シェーネフェルト空港ともに利用者が通常の1%に満たなかったという。今後ドイツから日本に飛ぶ場合、シェーネフェルト空港を利用することになるだろう。古いテーゲル空港は、これを機に閉鎖されるかもしれないと言われている。今日ははじめてペットショップに出かけた。日本のペットショップと比べると、ドッグフードやウサギ用のお菓子が膨大にある。彼らが住むハウスも巨大だ。日本ではリスやハムスターの飼育環境にプラスチック製のケージをよく見かけるが、ドイツでは流木などの木材を入れるようだ。
5月1日(金)
ベルリンは晴れときどき曇り。夏のような強い日差しが入ってくるが、ドイツではめずらしく冷たい風もふく。春風だろうか。ベルリンで確認されたコロナウイルスの感染者数は5,821名。我が家の目の前にあるベンチには、スーパーのカートを持って帰ってきている大柄のおじさんがいる。きっと家まで持ち帰るのだろう。17時がすぎるとようやく日が隠れてくれた。日差しが強すぎてまぶしく、仕事ができなかった。ベンチのほうを見ると、幼稚園生くらいの兄弟、黒人の男の子も、キックスケーターに乗っている。幼稚園から小学生のはじめは、キックスケーターがステータスなのかもしれない。
4月30日(木)
曇りと通り雨。ベルリンで確認されたコロナウイルスの被害者数は5,821名。昨日よりもまた100名に満たないほどの感染者が増加している。おやつの時間、通り雨で窓を閉めざるを得ない。ポツポツと窓を打つ雨音がする。ボコん!と大きな音がしたので交差点の近くを見ると、家の目の前で自転車をこいでいるアジア系の女性が、交差点を曲がる車にはねられた。はねたピンク色のシャツを着た女性は、声を荒げて車から出てきた。幸いにも、はねられた女性に怪我はなさそうだ。歩行者の通りに出て、近くで事故の様子を見ていたおばさんを含めた3人で話し合っている。15分ほど立ち話をしたあとに、救急車がやってきた。女の子は歩いて救急車に乗車し、消防車の人たちは運転手の女性に事情を聞いている。さっきまで怒っていた強気な女性も、胸に両手を当てたりおでこに手を当てたり……まいっているようだ。技術は人を便利にするけれどリスクも大きい。
4月29日(水)
雨空は灰色久しぶりに空気が湿っている。ベルリンで確認されたコロナウイルスの感染者数は5,738人。今日からすべてのお店でマスク着用が義務化される。東洋の人間としては、臆せずマスクをして外を歩ける。マスクをつけることはこれまで重病人だと見られて差別のきっかけにもなりえた。心配性の妻はほっとしているようだ。雨あがりは日本の梅雨のようなしっとりした空気感。我が家の目の前にある公園の木に紫陽花のような花が咲いていることに気づいた。ドイツは日本よりも夏が来るのが早い。もしかしたらこの4月下旬ごろから梅雨に当たるのかもしれない。今日は午前中から夕方ぐらいまで、男女ペアの警察官がベンチに休みにくる。警備を強化しているのだろうか。
4月28日(火)
ベルリンは少し雲がかってているが晴れている。ベルリンのコロナウィルスの感染者数は5,677名。緊急援助の援助をしているベルリン投資銀行が、申請の受付を一時停止している。詐欺師によって支援金を受け取るという詐欺が発生している。こういったことがこのあと世界中でおこってくるのだろう。それにしてもドイツで暮らす人たちは、ひなたぼっこが大好きだ。半袖や長袖のシャツ1枚でベビーカーを押す夫婦が多くなってきた。向かい側にある黄色いマンションの屋根上に鳩たちが住み着いている。17時25分、茶色い革ジャケットを着た、足をひきづって歩いているおじいさんがやってきた。彼は通り沿いに落ちているものをなんでも拾う。なにかゴミらしきものを右手で丁寧にふいては、しげしげと眺めている。それはお皿のような白い円形のものだが、彼はそのまま左手に持ち帰っていった。
4月27日(月)
ベルリンのコロナウィルスの被害者数は5,644名。窓際から見える公園のベンチに男性が横たわって昼寝している。街をゆく人たちは、スカートや半袖。春の装いになった。通りを歩くお年寄りがやっとマスクをするようになった。15時をすぎると、ベビーカーを押して歩いている親が本当に多い。保育園から子どもを連れて帰る時間帯なのだろうか? ぼくは今日も家で過ごしている。妻はリビングでヨガをしている。寒暖がはっきりするドイツでは、日本で暮らしていた頃以上に四季を感じている。春の芽吹きはほっと気持ちを和らげてくれる。ドイツで暮らす人たちは、すこし油断しているように見える。
4月26日(日)
ベルリンは雲1つない、快晴だ。夜には三日月が見える。今日は1日中家で過ごしたから、外はどんな状況か窓からしか伺うことができない。大音量の音楽をかけながら自転車で走り去る若い男の人たち。道端にたたずむタバコを吸う男性。マンションの向かい側のバルコニーで、長い時間をかけて男性が日向ぼっこしている。誰かと一緒に自転車で通りを走っている人が増えたように思う。自転車屋は忙しくなるだろう。我が家は映像編集の仕事の追い込みだ。僕はというと、この間の編集ミーティングで話題に上った「100分で名著」という番組の「生きがい」の回を観た。誰を隣人として考えることができるのか?家族や友人、関係のある人だけなのだろうか?出会った人、目にした人は、すでにあなたの何者かではないのか?という問いかけには、ハッとさせられる。