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【移住女子】先輩に聞く!移住女子の心得10ヶ条-新潟 佐藤可奈子&宮城 島本幸奈の場合-

私と地域の未来をつくり、繋いでいく。【移住女子】特集、はじめます。

移住したいと思ったら、何を、どう準備すればいいのでしょう。家はどうする、現金はどれくらい用意すれば足りるのか、果たして友達はできるのか……? 物理的な問題以外にも、気持ちの面でたくさんの不安が生まれます。

そんなとき、頼れるのが移住実践者の先輩たち。男性とはすこし違う目線で悩んだり、また楽しんだり、毎日を満喫しているように見える「移住女子」の先輩2人に、移住する前の準備、移住してからの暮らしについて、ざっくばらんに聞きました。

佐藤可奈子さん

佐藤 可奈子:新潟県十日町市

香川県生まれ。28歳。当時は海外支援の分野で働きたいと思い、立教大学法学部政治学科に入学。在学中に当時6件13人だった新潟県十日町市の池谷集落の農業体験に参加。卒業後、集落に移住して就農。水稲、さつまいなどを栽培。14年には27歳で全国最年少の女性農業委員に就任。移住女子フリーペーパー『ChuClu』編集長として、里山での魅力ある生き方を発信。新潟日報にて「きぼうしゅうらく」、全国農業新聞にて「一粒万倍」を連載中。雪国農業が生む、目に見えない大切なものをつなぐ。

島本幸奈さん

島本 幸奈:宮城県石巻市

1991年千葉県君津市生まれ。震災がなければ、名前も聞いたことなかったし、来ることもなかっただろう宮城県石巻市での移住生活も6年目になっちゃいました。漁業をカッコよくて、稼げて、革新的な「新3K」を目指す、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンに立ち上げから関わり、海と共に生きる男達の中で紅一点、情報発信や個人向け販売、交流イベント、担い手育成事業などに携わり水産業の魅力を全国に発信している。自分が感じた漁師たちのカッコよさと彼らのつくる海産物の美味しさの感動を、ひとりでも多くの人に届けるために日々奮闘中。

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[1] 何歳で、どこに移住した?

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佐藤可奈子(以下、可奈子) 大学3年生だから、20歳かな? 移住先は、宮城県石巻です。

島本 幸奈(以下、幸奈) 私も、20歳になってすぐでした。

可奈子 すごく若かったこともあって、本当に右も左もわからない状態で新潟県十日町市の池谷集落という地域へ移住しました。今、移住6年目。いろんなひとに助けてもらって、生きています(笑)。

[2] 移住先の地域との出会い、きっかけはどう探す?

移住女子の佐藤可奈子さん

可奈子 たまたまだったかも(笑)。私はもともと、海外で働きたい、平和を考えたいという気持ちが強くて、大学時代は発展途上国の支援について学んだり、難民支援のサークルに所属したりしていました。

その活動を通して知った、「特定非営利活動法人ジェン(JEN)」という団体が、中越地震の復興ボランティアプログラムを組んでおり、それに参加したのが一番最初の池谷集落との出会いです。池谷で暮らすひとたちの素晴らしさ、生きる力強さ、そして、そのひとたちを育んでくれた農業に触れたくなって、何度も通ううちに移住しようと思うようになりました。

幸奈 私も、偶然です。東北にボランティアをしに行こうと思って、ウェブで調べて出てきたのが、石巻でした。

私は千葉県出身で、移住前の住まいは君津市。ここから勤務していた浦安市にあるホテルの結婚式場へ、毎日通勤していました。東日本大震災の当日も、そこでいつも通り働いていて、披露宴を担当していました。でも地震があった3月11日からの4日間は、私自身も家には帰らず、そこのホテルで働きながら、避難者の方の対応をして過ごして。5日目以降は、ホテル自体が1ヶ月間の休業期間に入りました。

すると、感覚がまったく変わった自分に気が付きました。私は何もしてなくていいのかな、というような気持ちになって……。「私は今生きているんだから、できることをしておきたい」と思って、東北へボランティアに行くことを決めました。

震災がなければ、石巻という場所を、知らずに生きていたのかもしれないと思うと不思議です。

[3] 知り合いはどうやって増やせばいい?

移住女子の島本幸奈さん

幸奈 ボランティアがきっかけだったから、同じく現地に入った方々との交流があったというのが大前提ですね。

でも移住を決めるときって、頼れる存在がいるかどうかは、すごく大きいですよね。レンジャーものだったら、きっとこのひとは赤レンジャーなんだろうなという方に出会えるかどうか、というか。

可奈子 赤レンジャーって表現、分かる!

幸奈 あとは、婦人部のすごくチャキチャキした、お母さん?

可奈子 いるんですねぇ、どの地域にも(笑)。

幸奈 あはは(笑)。ご縁なんだとは思いますが、赤レンジャーに出会えると、かなり強いというか、自分自身も強くなっていけるんじゃないかなって、思いますね。知り合い作りに限らず、これはいろんなことに影響がある話かも。

可奈子 そうかもしれませんねぇ。私は、知人を増やしてから移住をするという流れだったんですが、そのときもそういえば、赤レンジャーさんにすごく助けていただきましたねぇ。

たとえば、飲み屋のお母さんとかかな? 十日町市はすごく小さな地域だから、「移住者がきたぞ!」という情報はすぐ回るんですね(笑)。そうすると、まず向こうが私のことを知ってくださる。

その中で、飲み屋のお母さんが、お店に居合わせたひとを「このひとはここに住んでいてね」とかって紹介してくださったり、「田んぼの手入れならこのひとが得意でね」とか、いろいろなひとをつなげてくださって。

新潟に通うたびに、徐々に知り合いや友達が増えていった記憶があります。

幸奈 うんうん。

[4] お金はどれくらい持っていけばいい?

宮城県石巻市

幸奈 お金かあ。今だったら、東京で暮らすためにお金をどれくらい持っていけばいいかの方が悩むかも(笑)。

可奈子 敷金礼金でまず10万円はかかるだろうし……地域へ移住するときよりも「東京で夢を叶えるぜ!」というときの方が、たくさん貯金しなきゃってなるかも。移住したとき貯金というか、お金は用意しました?

幸奈 うーん、じつは私、震災直前の3月の時点では、どのみち会社を辞めて、世界一周に出ようかなと思っていたんです。だから旅用の資金というか、現金の用意はありました。

可奈子 お〜なるほど。私は卒業と同時に移住したので、全然、貯金が……何千円とかで(笑)。でも、最初に住んだのが集落のNPOが管理する分校だったんですね。その建物の管理人になって、県外からの農業体験の方を受け入れたり、当時任意団体だったNPOのお手伝いをしたりする代わりに、家賃や光熱費がゼロ、その上月5万円をいただけるというありがたいお話で。

だから最初は、その5万円の中でやりくりしていました。でも、今「どれくらい現金を用意していけばいいですか」って聞かれたら……たとえば月5万円の生活費が12ヶ月で60万円ですよね。それくらいがいいかな。ただ私は頂き物も多かったので、余裕を見て100万円くらいでしょうか。

幸奈 それくらい必要かもしれないですね。でも移住後の現金収入のハードルが高いわけじゃないから、スムーズに地域に入っていけた場合は、それなりに移住1ヶ月目からお給料がもらえる場合もありますよね……?

可奈子 それはたしかに。ゼロから起業する場合とかだと、また違う心配がいるかもしれないですが。でもやっぱりその場合でも、目安として100万円くらいって、私は答えるかな?

[5] 家探しは、どうすればいい? 一軒家 or アパート問題

新潟県十日町市

可奈子 家探しかぁ。私は、分校のお話をいただけたのでこの選択肢にはないのですが、一軒家かアパートか……。ただ、私の暮らしている地域には、そもそもアパートがないんだよねぇ。一人暮らし用の家が本当に少ないし、家賃が高い。意外と一軒家のほうが、家賃が安いことが多い気がしますよ。

幸奈 うんうん、分かります。私も、じつはこの質問の選択肢にないんです(笑)。震災復興のボランティアで入ったので、テント暮らしから始まりました。半年くらいそこで暮らしていると、周りでそのうち良い布団をもらって帰ってきたりとかするひとも現れて。

可奈子 テントに?

幸奈 はい、テントに(笑)。時には畳をもらって帰ってきたりするんですよ。でもそれは、やっぱり全然参考にならないと思う……。

可奈子 ……参考に、なると思うよ?(笑) 。

幸奈 ならない(笑)。

[6] 挨拶の仕方を教えて!

池谷集落にて、佐藤可奈子さん

可奈子 挨拶の仕方ですか?(笑) 不思議な質問ですね。まぁ、会った人みなさんに挨拶は、日々しますよねぇ。最初の頃は、たしかにすごく、むずがゆかったこともありますが。

幸奈 地元の人たちからすると、「このひとはきっと、違う場所から来たんだろうな」ってなんとなく分かるじゃないですか。私も移住5年目になりますが、新しく移住してきたひとたちの雰囲気が少し分かってきています。そうすると、こっちから「こんにちは」って話しかけたくなります。

たぶん、向こうも気が付いているからこそ、たしかにきちんと挨拶しないと「なんか変な子来たよ」って噂になっちゃうかも(笑)。

可奈子 ふふふ(笑)。田舎では、仕事ひとつとってもテクニックではなくて、「そのひとすべて」に対する信頼が基本になる場合が多いと思います。私は日々の暮らしと仕事が密接な関係にあるので、「自分自身がそのまま商品」という意識が結構強いんですね。

幸奈 でも……頑張りすぎちゃうと辛くなっちゃいませんか?

可奈子 うん、時々しんどくなりますよ(笑)。挨拶はもちろん、みんなが知っている基本的なことができなくなると「私、ダメ人間なのかな」って思います(笑)。お天道様が見てる、という言葉が、すごく理解できるようになりましたねぇ。昔のひとは良い言葉を残してくれます。だから挨拶もね、やり方は人それぞれで構わないと思いますが、いろいろな面で、大切なんでしょうね。

[7] 運転免許ってやっぱり必要?

幸奈 あったほうが絶対。

可奈子 いいと思います。

可奈子・幸奈 即答で一致(笑)。

幸奈 やっぱりあった方が便利ですよね。

可奈子 荷物とかいただきものもあるので、車を運転できた方が便利ですね。

幸奈 そうですね。長靴やカッパ、救命胴衣、いただきものをしたときに困らないための、バケツと発泡スチロール……とか、いろいろ入っています。

可奈子 あー、わかります!(笑)いただきものを、保存しておく用の(笑)。

幸奈 でもこの間、ちらりと車を見た方に「20代の女の子の車じゃないね(笑)」って言われちゃって、冗談でもちょっと悲しかったです……。

可奈子 (笑)。

[8] 都会が恋しくなったりする?

可奈子 バツ(該当しない)かな。

幸奈 千葉県の実家は恋しくなります。1人暮らしが初めてのせいなのか、移住して初期の頃は、なぜか実家に帰ると体調を崩していました。安心するからなのかな。

可奈子 分かるかも。私は年に2度、お盆とお正月に実家に帰るくらいだから、そんなに帰省回数が多い方ではないんだけど。

幸奈 でも、都会が恋しくなるという感覚ではないですね。石巻は、15万人が暮らす地方都市なので、量販店や映画館が並ぶ繁華街は都心ほどではなくても、やはりあります。

私の暮らす場所には、いわゆる「地方」「移住」という言葉のイメージに近い田舎風景が広がっていますが、電車で30分も移動すれば「都会」という言葉から連想される便利さがあって、両面の恩恵が受けられる立地です。だから、いい地域に移住したかも、とは思います。

可奈子 そうですねぇ。良くも悪くも、今は都心も地域もあまり変わらなくなってきているのかも。私も長岡市という町が隣にあるので、車で30分から1時間ほど移動して買い物に行くことがあります。だからやっぱり、都心は恋しくならないです。

[9] 移住女子の買い物事情は?

島本幸奈さん

幸奈 買い物……そういえば、通販ってしますか?

可奈子 します!

幸奈 私、あんまりしないかも。

可奈子 私はめっちゃしますね。すごく本が好きなんですが、残念ながら近くに大きな本屋さんがないんです。今はamazon見ながら「ポチっ」としちゃいますね。でも、それくらいかな、通販は。

幸奈 本かぁ。あ、でもそういえば、みんなで一緒に「お取り寄せ」はします(笑)。海産物はすごく豊富なんですが、柑橘系などの果物とか、瀬戸内海あたりから取り寄せて分けたりはしますね。

可奈子 それは楽しそう! 私も今度みんなでやってみようかな。あとは、買うものって、変わりましたか?

幸奈 変わりました! ちゃんと、誰かの手で作られた、長く使えるものを選びたいなって気持ちが強くなりました。

可奈子 変わりますよね。私は、前よりもいいものを買うようになりました。お金はないはずなのに。ゴアテックス(WLゴア&アソシエイツ社の商標名)の防水透湿性素材のものを選ぶとか、性能ももちろん重視しますけれどね。

幸奈 ふふふ(笑)。ゴアテックスを採用したpatagoniaやmont-bellのウェアを、やっぱり私も買いました。

可奈子 何か生産されたものを受ける側から、自分が作る側に変わったことも大きく影響しているのかもしれませんね。なんかすごくこう……同じようなところに立っている人を、応援したくなるというか。

産む苦しみというか、何かをつくって世の中に届けるという大変さを実感したからこそ、誰かの手でつくられたもの、時間や手間暇がかかっているものを大切にしたいなぁと思うのでしょうね。

可奈子 それこそ、石巻のお母さんたちが、手編みでつくったクラッチバッグ!

幸奈 「Beyond the reef(ビヨンドザリーフ)」

可奈子 あれ、1万8千円くらいするんですね、税込みで。でも、「ポチっ」としちゃいましたもん(笑)。「あ、お母さんたち頑張ってる、ポチっ!」って。

幸奈 ふふふ(笑)。なんかうれしいです。

[10]「”移住女子はモテる”って本当?」

可奈子・幸奈 モテる?

幸奈 それは分からないですが、地域は嫁不足、というのはあるかもしれません。

モテの話で言うと……石巻の漁師の方のように、やはり自然の中で闘いながら働いてるひとって、生きる力がすごく溢れている。だから、すごく強くてかっこいいなと感じます。陸の上と、海の上だと印象が違ったり(笑)。もちろん、スーツをピシッと着て、バリバリと働くかっこよさもあると思うのですが、いま、私が目の当たりにしているかっこよさは、ちょっと土臭い感じはあるけれど、人間らしいというか。

可奈子 わかります、すっごく。自分の体を使って、何かをつくっているひとや、働いてるひと。生きる強さを持っていると、それだけで信頼できる(笑)。不思議ですね。

私たちがモテるかは分からないですが、地域にかっこいいひとは、結構いるのではないでしょうか(笑)。

幸奈 ですね。

可奈子 私も、頼もしくなりたいなぁ……。って、変な終わり。まとまりがないですが、大丈夫ですか?

幸奈 もし、続きが聞きたいなぁという方は、唐突ですがまた別のどこかでということで……(笑)。

可奈子・幸奈 移住したいと思うひとの、何か参考になる話があればいいのですが。ありがとうございました!
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(この記事は、にいがたイナカレッジと協働で製作する記事広告コンテンツです)
(一部写真提供:佐藤可奈子・Funny!!平井慶祐

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伊佐 知美

旅するエッセイスト、フォトグラファー。1986年生まれ、新潟県出身。世界中を旅しながら取材・執筆・撮影をしています。→ さらに詳しく見る

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【移住女子】「人生は運と縁と恩」憧れの先輩の暮らしを追いかけて-新潟 水沼真由美&宮城 島本幸奈- 【移住女子】「田舎はユートピアじゃない」。でも私たちは、今の暮らしが大好きです-福岡 畠山千春&新潟 栗原里奈 -

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