営みを知る

原宿リシュー・3Dラテアート職人のじょーじさんの挑戦

「ラテアートを武器にして世界に出ていきたい」そう語るのは、ラテアート職人の山本員揮(やまもとかずき)さんこと、じょーじ(@george_10gさんです(以下、じょーじ)。

じょーじとは、Twitter上のアカウント名のこと。苗字が山本だったために幼いころじょーじと呼ばれ、今に至るまでその名前で発信を続けているのだそうです。

ほぼ毎日ラテアートを作り、発信し続けるじょーじさんのTwitterフォロワーは今や15万人を超えます。SNSやブログという現代のツールを使いこなして自らの夢を叶え続けるじょーじさんが、今まさに取り組んでいるのがクラウドファンディングで資金を募って開店させた「原宿リシュー」を原宿で一番のカフェに育て上げること。

じょーじさんが出店するまでの経緯やラテアートに込める想い、そしてこれからの夢を聞きました。

じょーじさんとラテアートの出会い

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── じょーじさんがラテアートを作るようになった経緯を教えて下さい。

じょーじ もともと父親が料理人だったので、自分も自然と料理がしたいと思うようになっていました。実家は岡山県です。高校を卒業したら上京したいと思っていたので、18歳の時に東京でフレンチのお店で働き始めました。ラテアートに出会ったのはこの時です。

ラテアートが好きで、最初の頃は友達が来たらリクエストに応えてオリジナルの絵柄を描いたりしていました。喜んでくれるのが嬉しくて、いつしかそれをSNS上で発信するようになりました。

その時はTwitterではなくmixiでしたが、mixiは招待制のサービスなので、基本的には知り合いにしか拡散されません。もっとたくさんの方に見てほしくて、発信の場をTwitterに変えました。

俺が描いたラテアートを知らない人も見てくださるようになり、反響が大きくなると同時に「もっと仕事を本格的に頑張りたい」と思うようにもなり、活動の拠点を大阪に移しました。

── なぜ拠点として大阪を選んだのでしょうか?

東京だと、遊んでばっかりいたんですよ、俺。特に地元である岡山に近付きたいという気持ちがあったわけではなかったですね。むしろ、きちんとプロになってもう一度東京に帰ってきたかった。だから大阪を選んだというよりいつか東京に戻って、自分のお店を持つために移動しました

だから、今回のお店のオープンはやっと東京に戻ってこれたという感覚ですね。

もっとおもしろいことをしたい。もっと人を喜ばせたい

── 3Dラテアートを作り始めたきっかけを教えて下さい。

3Dラテアートを作り始めたのは、大阪のお店で働き始めてからですね。就職先はもちろんラテアートの修行ができるかどうかを基準に考えたので、大阪でもずっとラテアートの作成や発信は続けていたのですが、ある時から「もっとおもしろいことしたい」と思うようになって。

昔働いていた東京のフレンチレストランに、ホットチョコレートの上に泡立てたホイップみたいなのを載せるドリンクメニューがあって、その泡をラテの上に載せたら何かできそうだなと思ったのが、3Dラテアートを作り始めたきっかけです。

俺、同じことをしていると飽きてしまう性格だし「すごいね」とか褒められると、つまらなくなっちゃうタイプみたいなんですよね。喜んでもらえるのは嬉しいし、すべてのラテアートは本当に心を込めて作っています。でももっと上を目指したくなる。

ラテアートは女性に特に喜んでいただけるものだし、見た目はかわいいのかもしれないけれど、自分の中では格闘技みたいな、ある種スポーツみたいな意識があるんです。

── ラテアートが格闘技……ですか。

そうですね。食べ物や飲み物の美味しさは見た目が4割と言われますが、やっぱりまずは美味しいことが大切なので、時間との勝負になります。1時間かけてラテアートを作ることもできますけれど、そんなコーヒー誰も飲みたくないと思いますし、俺も作りたくないですね。

平面ラテアートは1〜2分、3Dラテアートを3〜4分ほどで作るのが今の基本です。

── 3Dラテアートは、世界中から反響がありました。

そうですね。反響は特に3Dラテアートを発信するようになってから大きくなった気がします。日本国内だけでなく世界中からTwitterにコメントをいただくようになったり、集英社さんから『みてカワイイ! つくって楽しい! 3Dラテアート! ! 』という本を出版させていただいたり。

ラテアート1本で勝負してみようと思って2014年1月に大阪のお店を退職してからは、有名な企業さんとコラボさせていただいたり、香港やマカオ、スウェーデンから実演の依頼をいただいたり、あとは体験教室のオファーなどがありました。

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ラテアートをきっかけに世界へ(2014年)

── 活躍が目覚ましいですね。

今回の「原宿リシュー」のオープンは、ラテアートを中心に活動を続けていた結果、巡り会えたチャンスだったんですよね。さっきも言った通り、東京で自分の店を持つのはずっと夢でしたから。 この場所に店を構えられたのも運がいいなとも思っていて。

原宿と言えば東京の流行の発信地ですから、ここで一番のカフェを目指したいなと思っています。

これからもラテアートと共に

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「原宿リシュー」の店内の様子


── じょーじさんが描くこのお店の理想像を教えてください。

来てくださった方の誰もが平等にこの空間を楽しめる店。例えば著名な方が来たとしても、気にせずくつろげるようなカフェでありたいなと思いますね。

ラテアートはもちろんご提供しますが、食事もできるお店ですから気軽に訪れて欲しいです。3Dラテアートはお店が混み合っている時はリクエストに応じることができないこともありますし……。


── じょーじさんご自身の夢についてはいかがですか。

俺はしばらくはラテアートを武器にして戦うと決めたんです。だから、いつか世界で勝負したい。既にラテアートをきっかけに海外に呼んでいただいたこともありますが、ラテアート職人としてニューヨークを目指したい

ラテアートとSNSで切り開いてきた自分の人生、まだまだやれることはあると思っています。根底にある想いは「人を驚かせたい、喜ばせたい」。これからもっと頑張りますよ。

気が向いたら、また是非お店に遊びに来てください。

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じょーじさん(左)と「原宿リシュー」を共に作り上げる同志・まっつんさん(右)

(トップ画像提供:山本 員揮)

お話をうかがった人

山本 員揮(やまもと かずき)(じょーじ)
@george_10g

お店の情報

原宿リシュー
住所:東京都渋谷区神宮前3丁目25−7 丹治ビル 2F
電話番号:03-5785-3144
営業時間:12:00-23:00 (Lunch 12:00-16:00)
定休日:不定休
アクセス:JR原宿駅竹下口から徒歩5分または明治神宮前駅から徒歩5分
公式HP:原宿リシュー公式サイト
※混雑時はリクエストにお応えできない場合もございます。詳細は店舗にてお問い合わせください。

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伊佐 知美

旅するエッセイスト、フォトグラファー。1986年生まれ、新潟県出身。世界中を旅しながら取材・執筆・撮影をしています。→ さらに詳しく見る

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