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【京都・坂ノ途中】「メコンオーガニックプロジェクト」ラオスから、世界にメッセージを届けたい|安田大志

「ラオスって、どこだろう?」

そう感じるひとが、もしかしたら大多数かもしれません。

ラオスは、東南アジアのタイやベトナム、中国やカンボジアに隣接した、メコン川流れる内陸の国。

京都に拠点を置く坂ノ途中が、海外で有機農業を広める事業の舞台として、現在もっとも力を入れている土地でもあります。そしてこの記事を書いている私(伊佐)も、最近また訪れた大好きな土地。

ラオスには何があるの? そこで坂ノ途中は、何をしているの?

この記事では、2016年に始まった「メコンオーガニックプロジェクト」についてご紹介します。

メコンオーガニックプロジェクトとは

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「メコンオーガニックプロジェクト」とは、坂ノ途中がラオスで展開している事業の名前です。現在取り扱っているのは、3種類のラオス産のコーヒー。「ラオスの森コーヒー」と、「ラオスのティピカコーヒー」と、「カスカラコーヒーチェリーティー」、それらを材料に使ったおやつ「コーヒークッキー」「コーヒーチェリービスコッティ」です。

メコンオーガニックプロジェクトは、ラオスの深い森の中おいしいコーヒーをつくることを通して、環境負荷の小さい農業を実践する山岳少数民族の人たちの伝統的な暮らしを支え、失われつつある豊かな森を、未来につなぐプロジェクトです。(公式サイトより抜粋)

事業が始まったきっかけや込められた想いを、メイン担当者の安田大志さんに聞いてみます。

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安田 大志(やすだ たいし)

大阪大学法学部卒。学生時代から坂ノ途中でアルバイトを始め、2016年にそのまま新卒入社。メコンオーガニックプロジェクトの起案者であり、主担当。ラオスと日本を行き来する日々。

以下、安田大志

僕たちは、簡単にいうとラオスでコーヒーを育ててもらい、販売しています。育てるのは村の人たちですが、あれこれ品質向上のお手伝いをしています。単に品質の良いコーヒーを育ててほしいというよりは、「森を育てていってほしい」という思いの方が近いです。

ラオスは、今でもそうですが、「オーガニック」という言葉がとくに意識されないほど、もともと自然に近い状態で農業を営んできた国。伝統的な農法は焼畑農業です。

焼畑農業がどんなものかというと、以下の通り。

一度森を焼いて、草木が蓄えていた養分を土に還し、それで野菜を育てて、3年ほど農地として活用します。次第に地力が落ちてくるので、畑を数年間休ませます。その間にまた別の土地に移動して、森を焼いて……と、ぐるぐるサイクルを回して成り立たせている農法です。

けれど、近年人口が増え、近代化が進み、ラオスの人たちも現金を稼がなければいけない状態になりました。そのほか、行政により焼畑ができるエリアが限定されるといった事情も重なり、土地活用のスピードが上がってしまって、十分な休耕期間を確保するのが難しくなってしまったんです。すると、作物が育たなくなるし、表土がむき出しの期間が長くなって、土壌が痩せていきます。農地を休ませるというのは、焼畑農業においてとても大切なことなんです。

安田大志さん
安田大志さん。取材は安田さんが日本に滞在している間に、本社近くの京都鴨川にて行った

そこで僕たちが現地の農家さんと一緒に取り組んでいるのが、持続可能性のある農法として近年注目されている「アグロフォレストリー」という農法です。アグリカルチャー(農業)と、フォレストリー(林業)を組み合わせた造語で、その具体例は地域によって大きく異なります。が、つまりは農業や林業、ときには畜産業を切り離して考えることなく、共存させながら生産していこう、という取り組みです。

「メコンオーガニックプロジェクト」の場合は、森の中でコーヒーを育てています。今後は、コーヒーを育てるための日陰をつくるシェードツリーとしてフルーツを育ててみたり、合間にマメ科の植物を植えてみたりと、ひとつの土地から多種多様な収入を得られるような仕組みがつくることで、森を切り開くことなく生産者さんの所得を長期的にみて安定させるができないか、挑戦していく予定です。

坂ノ途中のラオスメコンオーガニックプロジェクト

森の中でのコーヒー栽培は、一般的なコーヒー栽培より時間や手間がかかりますが、日陰で育てることで果実がじっくり熟すぶん、美味しくなります。木々は強すぎる陽ざしや寒波からコーヒーの木を守る役割もはたしてくれるんです。

品質の高いコーヒーを届けるため、完熟の実を選び、手摘みし、丁寧に乾燥させ……農家さんと一緒に考え、一緒に改良を重ねています。土地を有効活用しつつ、環境負荷が小さく、伝統的な暮らしを守っていけるような農業を、普及・展開していきたいという想いで取り組んでいるんです。

今まで捨てていたモノを、活かそう

カスカラコーヒーチェリーティー

僕たちが販売している商品の中に、「カスカラコーヒーチェリーティー」というものがあります。けれど、これはコーヒーではありません。

コーヒーは身近な飲み物ですが、「コーヒーの実が赤い」という事実は、まだまだ知らないひとが多いように感じています。

赤い実から種を取り出して乾燥させ、焙煎して抽出したのが、普段飲み物として触れているコーヒーの正体です。さて、では赤い果肉の部分はどうしているかというと、基本的には捨てるだけ。もしくは畑に蒔いて養分として活用したりもします。また、コーヒーを洗った水と一緒に川に流してしまい、水を汚してしまうことも問題になったりします。

でも、この果肉の部分、じつは食べるとすごく甘くておいしいんです。傷みやすいため、産地以外で流通することは珍しいのですが……。その赤い果肉の部分を乾燥させて、お茶にしたのがカスカラコーヒーチェリーティーです。

カスカラコーヒーチェリーティー

味はコーヒーとまったく異なります。ちょっぴり酸味があって、言ってしまえばクセのある味。ジャスミンティーなどの部類に近いでしょうか。ミルクと一緒にチャイのように飲んだり、ジンジャーやシナモンなどのスパイスと組み合わせたり、炭酸水で割ってソーダで飲むのもおすすめ。

繰り返しますが、おいしいんですよ、コーヒーの実の部分って。「フルーツとしてのコーヒー」って僕たちにとっては新感覚のもの。捨ててしまうのは本当にもったいない。それに、捨てていた部分を商品にできたら、現地の人々の新しい収入源にもなります。

「メコンオーガニックプロジェクト」のうち、どれが一番おいしい!とかって言うのは難しいんですが、馴染みのあるコーヒーだけでなく、「余すことなく原料を活用する」というコンセプトで現地のひとと一緒に企画・開発したカスカラコーヒーチェリーティーの存在は、ぜひより多くの方に知っていただきたいなと思っています。

今は、フルーツとしてのコーヒーをもっと身近に感じてもらうために、クッキーや、ハーブティの開発もすすめています。

僕が発展途上国に携わって生きていきたいと思った理由

安田大志さん

プロジェクトのメイン担当者は、僕です。でも言ってしまえば大学を卒業したばかりの若造。だから、僕に事業を任せてくれている代表・小野には感謝しかありません。

僕は小さい頃に父親の仕事の都合でシンガポールに住んでいたことがあって、旅行で訪れたカンボジアで忘れられない体験をしました。世界遺産のアンコール・ワットで、物乞いの子どもたちが、ワッと自分の周りに数十人寄ってきたんです。で、お金をくれというから、「どうしようどうしよう」と思いながらも、あげようとしたら、走り寄ってきてくれた父親に「何もわかっていないお前がお金をあげるんじゃない」と言われて。

「何が分かっていないんだろう?」「物乞いって何だろう?」「僕との違いが、そこにあるの?」。子ども心にいろいろなことが疑問に思えて、そこから貧困問題に関心を持ちました。

坂ノ途中のラオスメコンオーガニックプロジェクト

国連で活動したいと勉強して、入学したのは大阪大学の法学部国際公共政策学科。現場が見たいと、学業と平行して、インドのムンバイのスラムで、NPOの一員としてダンスを教えるという活動を数年続けました。そのときに現地で感じたのは、インドの発展の仕方は、どこかいびつだということ。

ムンバイはインド最大の都市です。農村部からひとがどんどん流れてきて、みるみるうちに人口が増えていく。農村から仕事を求めて、また移動する……という現状。でも僕はふと思いました。「農村部では何が起こっているのかな?」「どうしてみんな都心部に移動しなければならなかったんだろう?」と。

みんなが農村部で暮らせばいいとは思わないけど、故郷で家族と、豊かな自然と一緒に暮らしていく選択肢をもてていたとしたら、こんなにいびつな発展の仕方はしなかったんじゃないかなと考えたんです。

坂ノ途中のラオスメコンオーガニックプロジェクト

それからは農業に目が向いて、日本帰国後は、農業と発展途上国支援というキーワードで就職先を探しました。その時に出会ったのが、坂ノ途中代表の小野の講演会。

小野は僕の話を聞いて、「やってみなよ」と。その時すでに内定をいただいた企業があったのですが、坂ノ途中のフィールドでいますぐに僕の想いに挑戦できるなら、その人生を歩みたいと思って、入社させてもらうことを決めました。小野との出会いは、本当にありがたかったです。

ラオスから、世界にメッセージを届けたい。

安田大志さん

もちろんインドや、学生時代の渡航で好きになったミャンマー、きっかけとなったカンボジアなども大好きです。

ラオスで実現したいのは、ラオスが「発展途上国の新しい農業モデルのひとつになること」。

ラオスでこういった持続可能な農業、という看板を掲げてコーヒーを作ってきた社団法人やNPO団体はたくさんあります。ラオスはコーヒーベルトと呼ばれるコーヒー産地に含まれており、気候条件としてはコーヒーづくりにとても適しているんですね。

でも、つくったはいいけれど売り先がない。流通まで責任が持てない。そういう悩みを抱えて、泣く泣く撤退した例も多いです。僕たちはそうした、現地で活躍されている方々とともに力をあわせて、2012年から着手している「ウガンダオーガニックプロジェクト」の経験を活かして、買い取り・流通も含めて一緒に歩んでいきたいと思っています。

坂ノ途中のラオスメコンオーガニックプロジェクト

……とはいえ、なかなか販売は難しい(笑)。坂ノ途中の既存のお客さまには、ありがたいことに想像以上に受け入れてもらえている気はしていますが。やっぱり理想は「メコンオーガニックプロジェクト」のコーヒーをきっかけに、発展途上国の現状や持続可能な農業、坂ノ途中の取り組みなどに興味を持ってもらえるくらいの状態!

それにはまだまだだから、僕が旗振り役となって、坂ノ途中としてもっともっと頑張って広報しないとな、と思っています。そのためには、まずつくったもの──コーヒーが美味しくなければ。現地のパートナーや、協力してくださっているコーヒー屋さん、坂ノ途中のメンバーやお客さまに胸を張れる最高のコーヒーを目指して、これからも研鑽に励みます。

安田大志さん

(この記事は、株式会社坂ノ途中と協働で製作する記事広告コンテンツです)

文章:伊佐知美
撮影:小松崎拓郎
一部画像提供:坂ノ途中

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伊佐 知美

旅するエッセイスト、フォトグラファー。1986年生まれ、新潟県出身。世界中を旅しながら取材・執筆・撮影をしています。→ さらに詳しく見る

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