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選りすぐりの民藝の逸品「大分県の小鹿田焼」|民藝のある暮し 手しごと

世田谷区の尾山台駅にある「民藝のある暮し 手しごと」では、日本各地の選びぬかれた民藝の良品を気軽に買うことができます。今回はスタッフの堀田純子さんに、「これぞ、おすすめ」という民藝の逸品を教えていただきました。

「小鹿田焼」に見る、手しごとの良さ

小鹿田焼の湯のみ
小鹿田焼の湯のみ

今回おすすめしていただいたのは、大分県日田市の小鹿田地区にある、10軒の窯元で焼かれている「小鹿田焼(おんたやき)」です。飛び鉋(とびかんな)という技法が代表的で、これを見て「あ、小鹿田焼ですね」と言われる方も多いそうです。里の成り立ちは、享保年間までさかのぼります。豊臣秀吉の朝鮮出兵の折、朝鮮から連れて来られた陶工の子孫が、山を超えた先の小石原村(福岡県)で小石原焼を開窯。その小石原から陶工を招き、技法を伝授されたのがはじまりです。

「今回この焼き物を選んだポイントは、今やこれほど手をかけている窯は小鹿田焼くらいだからです。陶土にする土を山から取ってきたら唐臼で砕いて水簸(すいひ)(*1)し、それを捏ねる……という陶土づくりの工程から機械に頼らずに行われています。」

機械を取り入れて、簡単に大量にものづくりしようとする世の中の流れと一線を画しているのが小鹿田焼なのです。

(*1)水簸:土粒子の大きさによって水中での沈降速度が異なるのを利用して,大きさの違う土粒子群に分ける操作。陶土を細粉と粗粉に分けたり,砂金を採集する場合などに用いる。(引用:Weblio辞書

小鹿田焼の大鉢
小鹿田焼の大壷

小鹿田焼には大壷もあります。

「大きな陶器(=大物)は、卓越した技術がないと、つくることができないんです。昔は大きな甕にお水を貯めたり、暮らしの用途がありました。でも今はこんなに大きな甕や壷があってもどういうふうに使えばいいかわかりません。ですから、お店に注文が入ることも滅多にありません。必然的に大物に職人が取り組む機会が減ってしまうのです。」

職人が焼かなくなれば、技術は衰えて大物をつくれなくなる。それはつまり、大きい陶器を焼く文化自体がなくなるということです。

そういったことも踏まえ、「民藝のある暮し 手しごと」をオープンさせた故・久野恵一氏は、たとえすぐに売れる見込みがないとしても、技術の継承のために「これは」という職人には大物を注文するようにしていたそうです。

こうして継承されていく手仕事の素晴らしさを、小鹿田焼から感じ取ってみてください。

お話をうかがった人

堀田 純子(ほった じゅんこ)
「民藝のある暮し 手しごと」スタッフ。休暇を使って訪ねた沖縄や山陰など、旅先でその土地その土地の手仕事に心惹かれ、当時雑誌などに名前を出しはじめていた故・久野恵一氏の主宰する「手仕事フォーラム」に参加したのがきっかけでスタッフとなり今に至る。久野氏亡き後もその教えを胸に、日本の手仕事文化を守り伝える「担い手」となるべくスタッフ一同で奮闘中。

お店の情報

民藝のある暮し 手しごと
住所:東京都世田谷区等々力4-13-21 等々力市川ビル1F
TEL:03-6432-3867
営業時間:11:00〜19:30
定休日:火曜日(祝日を除く)
最寄り駅:東急大井町線尾山台駅から徒歩3分
公式サイトはこちら

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小松﨑拓郎

ドイツ・ベルリン在住の編集者 / フォトグラファー。茨城県龍ケ崎市出身、→ さらに詳しく見る

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