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【宮崎県小林市】「わたしが一番のファン」。夫婦の信頼関係からつくられる玉光園のキノコ

「できる人が、できることをすればいい」。

それが夫婦として、そして会社として大事にしている価値観だと、宮崎県小林市で多品種キノコ栽培を行なう玉光園の営業部長・古川博子(ふるかわひろこ)さんは話します。

博子さんは、玉光園の2代目・古川喜一朗さんとの結婚を機に小林市に移住。玉光園のキノコの話題になると話が止まらなくなるほど、キノコへの想いに溢れる女性です。

そのキノコ愛の背景には、相手の仕事への全幅の信頼と、お互いに無理なく相手をカバーし合える夫婦の支え合いがありました。

小林の「名水百選」によって作られる、玉光園のキノコ

ーー 玉光園では、いま4種類のキノコを栽培していますよね。初めから多品種のキノコをつくっていたのですか?

古川博子(以下、博子) いえ、最初はえのき栽培だけでしたね。

先代がえのき栽培を始めたのが35年くらい前なのですが、その当時はキノコって値段が高かったんです。でも、大きい工場が増えると価格も下がり、1品目だけを作り続けるのは難しくなりました。

それでも先代のときは、お鍋のシーズンである冬限定でブラウンえのきを作るだけでした。

その後、現社長が福岡の専門学校から戻ってきたときに、お客様のニーズの高いものを出していこうということで、エリンギ、ぶなしめじを加えた現在の4種類になった、という流れです。今は試験的に黒あわび茸の栽培もしているので、実質5種類になりました。

ーー 玉光園で扱うキノコの特徴ってなんですか?

博子 一番は、小林の水を使っていること。

キノコは約9割が水分なので、水質って本当にだいじなんです。このあたりの水はすべて「名水百選」に選出されたもので、水道の蛇口をひねればミネラルウォーターが出る環境。ただ、水道水はどうしても、塩素などキノコ作りには必要ない成分が入っているので、玉光園では井戸を掘って専用の地下水をくみ上げています。

おもしろいのは、長野で良いキノコを作っている農家さんと、全くおなじ菌床(きんしょう)の配合でキノコを作ったとしても、おなじようなキノコにはならないこと。なぜなら、長野と小林ではおなじように自然豊かな場所でも水と空気が違うから。

実際、ほとんどのキノコ農家では、菌床の配合に大きな違いはあまりないのですが、栽培環境の違いが影響します。だから、水と空気がだいじという意味では、キノコも人間も一緒なんだなあと思ってます。

ーー 同じ作り方でも場所によって全然違うものができるっておもしろいですね。そういう話はどうやって知るんですか?

博子 直接やりとりがあるお店の人たちから教えてもらうことが多いですね。うちは市場出荷しているのはえのきだけで、それ以外のキノコは欲しいって言ってくれるところだけに出荷するんです。飲食店や直売のお店、宮崎県内だけでなく県外でもご縁があって繋がったお店とはやりとりをしています。しっかりこだわって作っているからこそ、直接顔が見える相手とやりとりがしたいという思いからです。

もちろん、スーパーで100gのえのきをしっかり売っていくっていうのも、すごく大事なことですよ。ただ、レストランのような、顔が見える相手に直接意見を聞くことが、市場に出すえのきの品質向上にも繋がっていくというイメージでしょうか。レストランでどういうお料理に使ってもらっているのかを聞いて、スーパーのお客さんに提案したりすることで、玉光園のキノコの美味しい食べ方をしっかり伝えていけるんです。

毎日のルーティンを続けることが、一番難しい

── 玉光園ではどんな想い、キノコ作りをしているのですか?

博子 すべては、「美味しいキノコ」を作ることに尽きます。

キノコ作りは、本当に毎日、同じ工程を繰り返すことが最高の美学なのではないでしょうか。うちの社長は、音だけで工場内の機械の不調が分かるんですよ。それくらい、おなじじことを毎日続けてるんです。

毎日決まった時間に作業を始めて、決まった時間に作業を終えないとデータがとれないので。同じ材料を詰めて、同じ時間に窯のスイッチを入れて、同じ時間に窯出しをする。その工程を毎日繰り返さないと、良いキノコをつくることはできないんです。

社長は、普段は冗談も言うしすごくおもしろい人なんですけど、仕事のときは必要以上に会話をしない厳格さがあります(笑)。でもそういったルーティーンを忠実にこなしていくのが、一番難しく、けれども一番美味しくなる秘訣なんです。私はいつも、社長の後ろ姿を見ながら「やっぱりすごいな」と思ってます。

ーー 同じ作業とは言いつつも、前日や当日の天気や湿度によって栽培環境は変わってくるじゃないですか。けれども毎日同じ条件になるように、その都度、微調整をしている。まさに職人ですね。

博子 夏場と冬場でも、キノコの出来に違いがあるんです。

部屋にキノコが満杯の状態で栽培する冬場と比べて、夏場は数が少ないので、キノコがしっかり呼吸する。すると、どうなるかというと、キノコの嵩(かさ)が大きくなるんです。なので、嵩が大きくなりすぎないように調整したり。

「キノコは工場製品なので、台風の被害を受けないから良いよね」なんてこともよく言われるんですけど。停電になると一大事ですし、夏場の電気や温度の管理はすごく大変なんです。

生産者でありながら、一番の理解者でもある

ーー 博子さんは喜一朗さんとご結婚したことで、小林に移住してきたとお聞きしました。元々、キノコは好きだったんですか?

博子 じつを言うと、キノコは好きだったわけではないんです。

ただ、結婚する前に小林に遊びに来たとき、お母さんがすき焼きを作ってくれたんですね。そこに、収穫したてのキノコを入れてくれて。食べてみたら、もう全然違うんですよ。「うわー!美味しい!」って感動しちゃって。そしたらお母さんが、「あんたが来るからよー。冬場のキノコは食べるもんじゃない、売るものよ」って言うんです。えのきは、冬場はどんどん売ってお金にするもの。なので、冬場はお客さんが来たときにしか食べないという話を聞いて、驚きましたね。

いざ仕事が始まると、ものすごく大変でした。毎日は同じ作業の繰り返しだし、朝は早いし、当時はいま以上に工場が古くて機械が少なかったから、人が手を動かさないといけない。でも、「そりゃ美味しいよね。こんだけ手をかけてんだから!」って思ってました。

キノコって、どこでも安定して食べられる素材なので基本的に美味しいんです。でも、私は「玉光園のキノコが美味しい」と言われたいんですよ。それだけ、うちの社長や先代、お母さんが一生懸命つくってきたのを見てきたので。

ーー 生産者であると同時に、一番のファンでもある。

博子 私が一番、玉光園のキノコが好きだと思います。味の違いが分かるほど、よく食べています。やっぱり、お客さんに「美味しいですよ、食べてみてください」と提案するためには、自分たちがしっかりその味を分かっていないとダメですから。

採れたてをそのまま食べるので、スーパーで並んでるものとは少し違いますが、一番美味しい状態と製品化した状態のものを両方食べて、どのくらい違いがあるのかはチェックするようにしています。エリンギってよく風味があるなんて言われますけど、収穫したてのエリンギって風味がないんですよ。美味しいお水でつくったキノコは、えぐみも少なく、食べやすいんです。うちのエリンギは、エリンギ嫌いの子どもでも食べられますからね。

ーー もしかしたら、生産者というより、一番の理解者という立ち位置の方がしっくりくるのかもしれませんね。

博子 一番美味しい状態を知っていて、一番美味しい食べ方について日々考えているのはきっと私ですね(笑)。とにかく、いろんな人に玉光園のキノコを食べてほしいんです。うちでは加工品もつくっているのですが、それも宮崎県以外の人にも食べてほしかったから。

今年3月には、元公邸料理人の地井潤シェフとともに「きのこソース」を開発したのが注目を集めました。このソースはシェフの監修のもと、私の夏をすべて捧げて出来上がったものです。

小林市の事業の一環で地井シェフが玉光園のキノコを見に来たことがきっかけで生まれた「きのこソース」。シェフのいとこが古川さんの子どもが通う学校の先生で、玉光園のきのこをよくシェフに送っていたという偶然のご縁もあったそう

「できる人が、できることをすればいい」という夫婦の関係

── お話を聞いていると、喜一朗さんは職人気質の方なのかなと思うのですが、一方で博子さんはものすごく高い熱量で玉光園の魅力を伝える役割をしていて、とてもバランスが良い関係に見えます。

博子 うちは、家でも会社でも「できる人が、できることをすればいい」という考えなんです。私の手が回らないときは、夫がご飯を作りますし、洗濯も掃除もします。でもそれは、しないといけないからしているんじゃなくて、「できる人がすればいい」と考えているからなんです。

キノコの栽培を社長である夫ほど極めることは、私にはできません。でも、私のようにキノコへの想いを人に熱く伝えることは、社長にはできないんです。

今になって気づいたのですが、私がこうしてキノコの魅力をさまざまな場所を回って伝えることができているのは、社長が従業員たちとしっかりキノコを作ってくれているという、土台があるからだと思います。私が私のできることだけに集中できるのは、みんなが私のできないことをやってくれているからなんです。

ーー 今後、どんなふうに玉光園のキノコを広めていきたいですか??

博子 キノコって、スーパーには定番商品として並んでいるからいつでも安定的に食べられて、冷蔵庫にあったらとりあえず安心するようなポジションだと思うんです。体に良いイメージは持たれてると思うんですけど、どんなにヘルシーでも美味しくなかったら続かないじゃないですか。

だからこそ、苦手な人にもうちのキノコを食べてほしい。玉光園のキノコへの愛を一人でも多くの人に伝えていきたいです。

うちは多品種を扱っているので、「この間食べた玉光園のキノコが美味しかったから、次は別のキノコを買ってみようかな」というように、玉光園を入り口にいろんなキノコを好きになってもらえたらいいなと思っています。

古川 博子(ふるかわ ひろこ)

福岡県出身。夫の古川喜一朗さんと結婚を機に小林市へ。有限会社 玉光園にて営業部長として販路拡大、きのこソースの開発などを手がけている。

(この記事は、宮崎県小林市と協働で製作する記事広告コンテンツです)

文/早川大輝
編集/小山内彩希
写真/土田凌

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早川 大輝

1992年生まれ。フリーランスの編集・ライター。日常的にメモを残すのが癖で、淡々と何かを記録することが好き。生活の中心はテレビドラマ。

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