いつもと暮らし

【今日の一枚】あのお茶の木は、私がお嫁に来たときからあったよ|高知県土佐町

高知県嶺北地域・土佐町の暮らしを届ける「今日の一枚」。家族で土佐町に移住してきた鳥山百合子さんは、毎日、この地で採れたお茶を淹れるのが楽しみだといいます。

土佐町へ移住したばかりの頃、お米や野菜をつくることが「当たり前」であることには驚きました。そのうえ、お茶まで自家製であることを知ったときは、まさにびっくりぎょうてんしました。

高知はお茶の産地。ちょうど田植えの頃が、お茶摘みの季節です。

今年出た新芽の先から三枚目の葉までを「一芯三葉」(いっしんさんよう)といい、それを手でひとつひとつ摘んでいくのです。そして、摘んだお茶の葉を、そのままの状態で炒って乾かすと「玉緑茶」になります。

作業の方法がいろいろあるのも興味深く、家の大きめの鍋で炒るひと、お茶専用の大きな釜で炒るひともいるし、揉むのも、手で揉むひと、機械で揉むひともいます。乾かすのも天日で干す、機械で乾かす、など家庭によってさまざまです。玉緑茶の他にも、はぶ茶、よもぎ茶、びわの葉茶、どくだみ茶……我が家は、特にきし豆茶がお気に入りです。

山の中を歩いていて、藪の中にお茶の木を見つけたときは、まるで宝物を見つけた気持ちになります。近所のおばあちゃんは田んぼの畦に生えている木を見ながら、「あの木は、私がお嫁に来たときからあったよ」と教えてくれました。木の周りは丁寧に草刈りされ、大切にされていることが伝わってきます。

夕ご飯の後、毎日お茶を淹れるのも楽しみです。「玉緑茶」は、お茶を入れた後のでがらしも、「一芯三葉」のまま。そのでがらしを3回分くらい集めておいて、佃煮にしてもおいしいです。捨てるところがありません。

きっと、お家それぞれのお茶が、今日も飲まれているのだろうなと思うだけで、なんだかゆたかな気持ちになってくるのです。

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高知県嶺北・土佐町のこと

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鳥山百合子

2011年に神奈川県から土佐町へ移り住む。3人の子どもの母。NPOれいほく田舎暮らしネットワークで働きながら、家族で食べるお米と野菜をつくっている。山の暮らしの知恵を学び、それを自分自身の身につけながら、次の世代へも引き継いでいけるように、「書くこと」「記録すること」に取り組んでいる。

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