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【花屋】西荻窪 blue water flowers - 水のように暮らしに寄り添って -

西荻窪の女子大通りを歩いていると、白い看板が目に入ります。

ガラスの扉かから溢れ出るくらいの鉢植えが、不思議な雰囲気を醸し出す「blue water flowers」。ここは、小さな個人商店がひしめき合う西荻の一角のお花屋さん。薄暗い店内からちらちらと漏れるランプの明かりを頼りに、そーっと入ってみましょうか。

blue water flowers, 西荻窪

ゆらゆら揺れるライトに照らされた花たち

お店に入るとすぐに、両脇と上からたくさんの花が。背が高い男性であれば、少しかがまないと頭をぶつけるかもしれないくらいの高さまで、お花とLED照明で作られたランプやドライフラワーの花束が下がっています。

blue water flowers

お花屋さんと言うと、鉢植えや生けてある花を見ながら回り、常に下を見ているような印象ですが、ここ「blue water flowers」は違います。もちろん足元に束ねて生けてあるお花もたくさんありますが、見たことのないお花がひしめき合い、一見無造作に置かれているのでは? と思うほど雑多な雰囲気です。

「レイアウトやお店のコンセプトを、特にガチガチに固めているわけではないんです。好きなように好きなお花を集めていたら、こんなふうになりました」と笑って話すのは店主の猪又さん。

西荻窪,blue water flowers

もともとサラリーマンとしてお勤めをしていましたが、会社で働く生活がなんとなく肌に合わず、お花屋さんに転身。生まれ育った西荻で、お店をオープンしました。

「もともとぼくの母が生花が好きだったり、父が庭いじりを定期的にしていたりして、ずっと植物が近くにありました。それに、ものづくりが好きだったから、花とものづくりが重なって、このお花屋さんを開くことにしました。」

blue water flowers

近くで見ると、手作りであることが分かるライト。花の種類によって、同じ色合いの明かりでも、こんなに違うのかと思わされるほど妖艶だったり優しかったりといろいろです。そして、天井を見上げたり、ぐるりあちこち見渡すと「あ、こんなところにも!」という発見があります。

「整然とお花を並べるのもいいんですが、何があるかすぐ分かってしまいます。でもそれだとつまらないというか、せっかくならお花との出会い方から楽しんで欲しいと思っています。」

西荻窪,blue water flowers

「お店の中にいると、外を歩いている人の声もよく聞こえてくるんですが『ここ何屋さん?』という会話をしている方も、いらっしゃいますね。でも、それでいいと思うんです。興味を持って入ってきていただけるきっかけになれば、最初はお花屋さんだって分からなくてもいい。」

ヒントは「水」の在り方

独特の空気を醸し出す「blue water flowers」。決して短くはない店名にこめられた想いをうかがうと、暮らしに寄り添う「水」にヒントを得たと、猪又さんはいいます。

西荻窪,blue water flowers

「水ってかたちがあるようで、無いものですよね。器や容物にあわせてかたちを変えます。そういう、どんな場面にもすぐにスっと馴染むことのできる水のような存在に習って、お花もいろいろな暮らしに柔軟に溶け込む存在になってほしいと思って、waterという単語を入れました。」

ホテルでの修行をしたり、現在でもアレンジメントを請け負っている猪又さんだからこそ、特別なことがない日常の暮らしから、晴れの舞台のお花の存在感も常に意識するのだと思います。植物はもともと人間には身近な存在ですが、暮らしを彩るものとして、多様な場面でも活躍できる、ある種の演出家なのかもしれません。

写真は勝手に撮らないで

お花がひとつひとつ目立つというよりは、お店の雰囲気が明かりと花の存在感によって作り出されているという印象の店内。だから、お店を見て回るのは、ちょっとした宝探しのようです。

西荻窪,blue water flowers

魔法使いの家みたいですね、思わず口走ると、猪又さんは「ありがとうございます」とおっしゃってから続けました。

「こういうお店のレイアウトだと、珍しがって写真をたくさん撮るお客さんもたくさんいらっしゃいます。好きだなとか、いいなって思って下さるのはうれしいんですけど、無断で写真をたくさん撮って、すぐ帰ってしまわれるとちょっと残念ですね……。」

西荻窪,blue water flowers

「ぼく自身、個展を開いたり、作品づくりの意識を持ってドライフラワーをつくったり、花を生けたりしていることもあるので、勝手に写真を撮られるのは、頭の中を覗かれているような気持ちになってしまうんです。」

きれいなものを見ると、ついついカメラを向けたくなります。スマホが普及している今なら、誰でもすぐに高画質の写真を撮って、いつでも公開できます。

けれど、お花との出会いは一期一会。せっかくならカメラ越しのお花ではなく、生で愛でることを楽しんでみてはいかがでしょうか。そして、もしどうしても写真を撮りたい場合は、猪又さんやお店のスタッフへお声がけくださいね。断りを入れれば、快くOKしてくれるでしょう、そして、お花のこともいろいろ教えてくださいますよ。

お店の情報

blue water flowers
住所:東京都杉並区西荻北3-16-2
電話番号:03-5372-4466
営業時間:10:30~19:00
定休日:木曜日
公式HP:blue water flowers公式サイト

blue water flowers, 西荻窪

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探求者

立花実咲

1991年生まれ、静岡県出身の編集者。生もの&手づくりのもの好き。パフォーミングアーツの世界と日常をつなぎたい。北海道下川町で宿「andgram」をはじめました。→ さらに詳しく見る

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