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【宮崎県小林市】「幸せになる方を選びましょう。自分の人生だもの」ヨガインストラクター 小川奈央

日本からアメリカへ渡り、青春時代を過ごした後、日本へ戻ってきた小川奈央さん。東京で十数年働いたあとはインド、タイと渡り歩いて小林市へたどり着きました。

現在、ヨガインストラクターとして働く小川さん。人生の歯車が噛み合った瞬間から、転がるように動き続けた小川さんの、これまでと今をうかがいます。

「このアパートを出たらどこへ行ってもいい。私は自由なんだ」

── 私、今日は個人的にも小川さんにお話をうかがうのを楽しみにして来ました。

小川 奈央(以下、小川) そうなんですか? どうして(笑)?

── 私もヨガをやっているのですが、小川さんはインドも行ったことがあると聞いて……私もインドへ行ったことがあり、共通点が多かったため、なぜ小林市にたどり着いたのか、すごく興味があったからです。

小川 そうなんですね。インドは現地に行くと大好きになるひとと、大嫌いになるひとで分かれると聞きますが、私は大好きになりました。

── 私もです。小川さんは小林市在住歴で言うと、今どれくらいなのでしょうか。

小川 2016年の3月から、この借家で暮らし始めたので、まだ数ヶ月ですね。今は自宅や小林市内のお店などのスペースを借りて、ヨガの教室をやっています。

── ヨガはいつから始められたのですか。

小川 東京で暮らしていた頃から始めました。最初は、「運動不足の解消になるかな」くらいの気持ちで、会社の近くにあったスポーツジムの、週1のヨガのクラスに行ってみたんです。

初めて受けたレッスンの最後に、シャバアーサナという仰向けに寝転ぶポーズがあるんですが、そのポーズ中にあまりに気持ちよすぎて寝落ちしてしまったんですね。で、パッと目を覚ました瞬間、生まれ変わったみたいにスッキリして、そのあまりの心身の変化に、衝撃を受けたんです、「なんだこりゃ!」って(笑)。ヨガをやった後って、気持ちがとても前向きになるし、自分が今何をしたいかとか何を食べたいかとかハッキリ分かるし、五感がめちゃくちゃ冴えるんですよ。それ以来、ヨガともっと向き合いたいと思って、働きながらヨガティーチャーになるためのトレーニングを受けました。

── インドに行ったタイミングというのは、いつになるのでしょうか。

小川 ちょうどインストラクターの資格を取ろうと、ヨガ教室に通いつめていた頃に、インドで毎年ヨガの修行をしているという日本人の男性に出会ったんですね。初対面なのに、運命かと思うほど意気投合して、たった2日だったけれど、私と彼と共通の友人ですごく仲良くなったんです。その日から、ヨガの発祥の地でもあるインドを意識し始めました。

小川なおさん

小川 じゃあいつ行く?って具体的に考え始めたら「あれ、私が東京に居続けなくちゃいけない理由ってなんだっけ」って疑問が生まれたんです。実家や職場は東京にあったけれど、「じゃあもし会社を辞めて私がどこかに行ったとして、自分にとって何か不都合ってあるかな」と考えてみると、親も元気だし、特に不都合なことってないなと。

「私、住んでいるこのアパートを出たら、どこに行くのも自由なんだ」って思考が開けたというか、ある日突然ハッとしたんです。その次の日には、もう会社で「私、1月末で辞めます」って申し出ていました。

── 早いですね(笑)。

小川 会社に「辞めます」と伝えたのが、2014年の9月。それからはあっという間でしたね。インドのビザを取ったり、準備したりして、アパートの更新日に合わせて出発して。それが、2015年の2月のことです。

南を目指してたどり着いた小林市

── 歯車が噛み合ったように動き出したんですね。インドに渡ってヨガの修行をしてから、どんなふうに小林市にたどり着いたんですか?

小川 インドに出発してからは、東京に戻るつもりはあまりありませんでした。直前まで働いていた会社は7年間勤めたし、もう東京は卒業だ、と思って。

1ヶ月半インドでヨガの修行をしてから、その後タイで1ヶ月半暮らしてタイ古式マッサージ師の資格を取りました。日本に戻ってきたのは、2015年5月で、それから国内で移住先を探し始めて。

小川なおさん

小川 私は両親の仕事の都合で、9歳から14年間、ずっとアメリカのカリフォルニア州に住んでいたんです。そういう環境だったこともあり、日本で暮らすにしてもあったかい所がいいなぁと思っていました。南へ行こうと決めて、四国と九州に絞って、タイで出会ったイタリア人の彼と一緒に、次に暮らす場所を探しに2週間くらい旅をしました。でも無計画に回ってしまったので、あまり目処が立たずにその時は東京に戻って来て。彼は一旦イタリアに帰らなければならなかったので、私だけで次の候補を探している時に、小林市を見つけたんです。ここでやっと、小林市が登場します(笑)。

── なるほど! どうやって小林市を見つけたんですか?

小川 宮崎県内を巡るなら、どこかを拠点にしたほうが楽だろうなと思っていたら、小林市のお試し移住滞在を見つけたんです。何人で泊まっても、3LDKの部屋に1日1,000円で宿泊できるんですよ。

── 安いですよね。私も宿泊させていただきましたが、広くて快適でした。

小川 「コレだ!」と思って、小林市に2週間宿泊して、宮崎県内をいろいろ見て回りました。でも、結局小林市にしたのは、生活するイメージが一番しやすかったのが、ここ(小林市)だったからです。

インドとタイと小林市の共通点

── 小川さんが感じた小林市の良さは、どんなところですか?

小川 水がきれいで、温泉がかけ流し。野菜も有機栽培の美味しいものがすぐ手に入れられ、食べられるということですね。地元で育った方にとっては当たり前のことだけれど、私からしてみたら「なんて素晴らしいの!」って思う。

あと、暮らしているひとたちが素敵なひとが多いということ。2015年の10月に宮崎を回って、2016年の1月に彼氏に「小林市で家探してくる!」って言って一人でもう一度小林市に来ました。その時に今住んでいる家を見つけたんですけれど、2回目に訪れた時に「おかえり」って言ってくれるひとたちがいて。前回私がいたのはたった2週間だったのに、2回目来たら「おかえり」って言ってくれるなんてすごいなぁって。

── 嬉しいですよね。

小川 2回目来た時には、知り合いや友達もでき始めていたから「よし、小林市に移住しよう」と決めました。今ヨガの教室をやらせてもらっている「Evillage(イーヴィレッジ)」っていうレストランも、その時に声をかけてもらったうちのひとつです。他にも、「菜の花作業所」という所でも、「レクリエーションの日があって、いつもは体動かすスポーツをやっているんだけど、雨の日だと外に出られないからヨガを教えてくれない?」って気軽に頼んでくれて。

── どんどんチャンスを与えてもらえるんですね。

小川 そう。私、特に営業活動とかしているわけではないんです。東京だと、ヨガをやっているひとも多いし貸しスタジオも高いから、売上ベースで考えなきゃいけない。でもここでは、純粋にヨガを楽しんで欲しいという気持ちで、「ヨガを教えているんです」と話すと、「じゃあ誰々さんちで、こういう形でできるかも」とか「このひとに聞けば場所を貸してくれるかも」とか、話が自然に広がっていくんです。人々の自由でシンプルな考え方とか雰囲気が、インドやタイと似ているなぁって感じます。

── 具体的にどんな空気感が似ていますか?

小川 インドやタイでは「こうしたい」という希望を言うと、カチッと決まったルートや方法を勧められるのではなく、ひとのつながりを紹介してくれたり、アイディアをくれたりするんです。日本で暮らしているとどうしても、ABCDの順番に事を進めなくちゃいけないけれど、インドやタイではAやBはスキップして、突然Dを始めたりする。彼らは「結果できるんだからイイじゃん」っていうスタンスで、私はそういう姿勢がすごく好きなんです。

小林市も、みなさんすごく勤勉なんですけれど、いい意味でシンプルで、何をするにも話が早いんです。「この部署を通して、誰々の許可を待って……」とか回りくどいことはせず、話をしたら叶うかもっていう希望を持てる感じで、その雰囲気がすごく好きなんです。

ヘコむこともあるけど、それも自分

── 小川さんの、その行動力というか、エネルギーやモチベーションはどこから生まれるんですか?

小川 んー……でもやっぱり、移住して来てまだ間もないので、気分が落ち込むことはありますよ。そのイタリア人の彼も、両親のケアをしにイタリアに帰ってしまってここに住んでいるのは私一人ですし……彼は小林市よりももう少し都会的な暮らしの方が好きみたいで、意見が合わないし一緒に暮らせないしで、モヤモヤしていた時期もありました。

小川なおさん

── その停滞期からはどうやって脱したんですか?

小川 素直に、(気分が)落ちていたときはレッスンをお休みしてリフレッシュの旅に出たり、誰かに思い切って頼ったり、感情を押し殺さずに大泣きしたりしていました。今までは、誰かに甘えたり人前で泣いたりするなんて、絶対できなかったけれど。

── 小川さん自身が、少しずつ変わり始めているんですね。

小川 こっちに来てからは、考え方もちょっと健康的になってきたなって感じます。東京で暮らしていた時は、落ち込んだら違うもので気分を紛らわそうとしていたんですよね、ショッピングをしてスッキリ!とか。でもそれって根本的な解決になっていなくて、本人が気づかないうちにストレスが蓄積されて体調を壊したりしてしまう。

でも今は必要以上に自分を責めたり、一人でなんとかしなくちゃ!って焦ったりすることは少なくなりました。

── そこまで変わりつつあるのは、どうしてだと思いますか。

小川 小林市のひとたちが、あまりにも素だからかなぁ。こっちが恥ずかしくなるくらい、大きく構えてくれているひとが多くて。たとえば気分が落ち込んでヨガのレッスンができなくなった時も、誰も責めないし、戻って来たらそれも自然に受け入れてくれて。だから私も気を張らず、いい意味で気楽でいられるのかもしれません。

小川なおさん

小川 前は、何かを選ぶにも、「自分も周りもハッピーになるにはどうしたらいいの?」と考えて動けなくなってしまっていたんです。でも、全員がハッピーになる方法なんて、もしかしたらないかもしれないし、それもやってみなくちゃ分からない。だったら、周りの誰かのためではなくて、自分がハッピーになる方、自分を犠牲にするのではなくて自分を好きでいられる方を選ぼうって思うようになりました。この感覚は、ヨガを始めたからこそ、だんだん分かってきたことでもあります。

人間なんて誰でもいつでも、突然落ち込んだり元気になったりするものだと思います。だから私も、落ち込むことはあっても自分を責めない。また回復するまで、じっと待つ。小林市では、そういうサイクルで暮らしていられるから、楽チンなんだと思います。

(この記事は、宮崎県小林市と協働で製作する記事広告コンテンツです)

お話をうかがったひと

小川 奈央
東京都出身、アメリカ在住歴14年都内企業で勤めるかたわら、ヨガと出会い2015年に東京を卒業しインドへ。その後タイでタイ古式マッサージを学び、2016年より宮崎県小林市へ移住。ヨガインストラクター、タイ古式マッサージセラピスト。Sankalpa主宰。

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立花実咲

1991年生まれ、静岡県出身の編集者。生もの&手づくりのもの好き。パフォーミングアーツの世界と日常をつなぎたい。北海道下川町で宿「andgram」をはじめました。→ さらに詳しく見る

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