いつもと暮らし

【今日の一枚】いわがき「春香」が恋しいです。旬をあじわう島暮らしの日常|島根県海士町

3月から始まったいわがきの出荷が、終わりました。いわがき「春香」は海士町の特産品で、僕はその現場で働きながら撮影しています。

いわがきは産卵が近付くと、あのクリーミーな濃厚さとは違う、渋みのある濃厚な味になります。そして産卵が始まると水槽は白く濁ります。いわがきの季節の終わりは、見た目と味でわかりやすく変わるのです。

こうなると出荷が終わるため、もう、来年まで生のいわがきを食べることができません。大好きだからこそ、食べられなくなって初めて、寂しい気持ちになるのです。

だけれど。季節とともにある島の暮らしは、旬の食材を食べ続けることができます。

5月はよくアジが獲れたので、なめろうや南蛮漬けが食卓によく並んでいました。今頃は「イサキがおいしい」と、よく聞きます。僕はまだ食べていないから感想は言えないけれど、島のひとがそう言うのだから、今がおいしいのでしょう。

季節は巡り、旬は連続して、いつもなにかが食べごろを迎える島暮らし。

次にやってくる旬を探しながらも、来年のいわがきをすでに恋しく思っているのでした。

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太田章彦

1989年生まれ。海士町観光協会・マルチワーカー/写真作家。島根県出身。ビジュアルアーツ専門学校・大阪の写真学科を卒業後、祖父母の住む島根県浜田市弥栄町に移住する。そこで限界集落について作品制作を始め、「豊かさとはなにか」をテーマに作品発表(Nikon Juna21)。その後、島根県の隠岐諸島のひとつ海士町へ移住。「仕事」と「暮らし」と「写真」について考える。2015年6月にエプソンイメージングギャラリー「エプサイト」で個展「Stranger of islamd – 海士」を開催。

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