営みを知る

【群馬県桐生市】この町から世界へ。松井ニット技研がマフラーに込める想い

お父さんも、お母さんも、おじいちゃんも、おばあちゃんも。もちろん私も、従兄弟にだって、そうみんなに贈りたい。

モノクロばかりを手に取る冬、春が待ち遠しくて、首周りをぱっと明るく照らすマフラーをひとつ選ぶ。今みたいな、春を待つばかりの最後の冬の季節がきたとしても、このマフラーだけは手放せなくて。

先に、コートを脱ぎ捨てる。

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世界に認められた桐生発の逸品

2015年で創業から108年を数える松井ニット技研の製品は、ニューヨーク近代美術館、通称MOMAのミュージアムショップのスカーフ部門で5年連続売り上げ総数1位を記録したこともある世界で人気の商品です。

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定番は毎年新しい配色で作られるマルチカラーのマフラー。スーツを着ることが多い会社員の方々も、「顔周りがぱっと明るく見えて印象がいい」と好評です。

一見意外に思う色の組み合わせも、着用してみると違った印象を与えてくれます。

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群馬県桐生市の工場にて

松井ニット技研の信条は「一に色、二に柄」。

まだ日本人の大半が和服を日常的に着ていた時代から、色と柄をモノ作りの中心に据えてきた彼らは、トレンドカラーはもちろんのこと和洋東西問わず絵画などの芸術からアイディアのヒントを得るのだと言います。

「一番嬉しい瞬間は、これは綺麗だと思える配色のニットが出来た時。一番苦しい瞬間も、美しい配色を考案している時だね。」

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配色の美しさに惹かれて商品を手に取るのは簡単。それを超えて、松井ニット技研のニット製品が人々に繰り返し使用され続ける理由は、その肌触りのよさ、あたたかさ、そして何より柔らかさにあります。

柔らかさを生み出す秘訣は、編み出す速度。日々手入れを続けて使用する低速ラッセル編み機は、最新編機に比べて5分の1の速度でしかニットを編むことができないのだそうです。ゆっくりと丁寧に編むことで、最新編機では出せない空気を含んだ柔らかさを持ったニット製品が編み上がります。

「カタンカタン」と静かに強く、築100年の木造建築の自宅兼職場の屋根の下で、彼らは今日もゆっくりと糸を編み続けます。彼らのモノ作りは、時を経ても大切にしているものが変わらないから、愛されるのかもしれません。

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たまに振り返ってみたくなることはないだろうか。「今、自分が使っているモノは、一体誰が、どうやって作ったモノなのだろう?」と。

できることなら、大量生産、大量消費、大量廃棄までもが叫ばれるこの時代において、何か思い入れのあるモノを手にしたい。

どこかで誰かが心を織り込んで作ったものを、大切にしたい気持ちと共に身にまとう。

そう思う気持ちが少しでもある人は、ぜひ松井ニット技研の製品を手にとってみてほしい。一度触れれば、自分のためだけではなくて、大切な人に贈りたいときっと思うはずだから。

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マルチカラーストライプリブマフラーの一例

お店の情報

株式会社 松井ニット技研
住所:桐生市本町4丁目甲85番地
電話番号:0277-46-4183
公式HP:http://matsui-knit.shop-pro.jp/

松井ニット技研の商品が買えるお店

日本百貨店 公式HP:http://nippon-dept.jp

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取材協力

日本百貨店 公式HP:http://nippon-dept.jp

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伊佐 知美

旅するエッセイスト、フォトグラファー。1986年生まれ、新潟県出身。世界中を旅しながら取材・執筆・撮影をしています。→ さらに詳しく見る

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