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【群馬県桐生市】ここから工芸文化を発信したい。ガラス作家が地元にかける想いとは

群馬県桐生市は、綿織産業で興った歴史ある街です。しかし、魅力は綿織物業にとどまりません。桐生でつくられるガラス器も、とても美しいのです。

繊細な色をあしらった作品を作るガラス工房「Merhaba」を設立したのは、地元群馬県桐生市にUターンした小林大輔(以下、小林)さんです。

地元の群馬県にUターンした理由とは

小林さんは美大に通っていた頃に彫刻について学び、卒業後に箱根のガラス工房に就職します。それから4年後、銀座の画廊で催した展示会をきっかけに、作品の販売を誰かに任せるのではなく、買ってくれる人に直接届けたいと思うようになりました。大学在学中から地元に戻って何かをはじめたいと思っていたこともあり、地元の群馬県にUターンを決意。2011年に桐生市でガラス工房「Merhaba」を立ち上げました。

「地元の群馬に戻ってきてみると、ガラス工芸に関する情報や環境が整えられていませんでした。自分自身が、少しでも地元から発信したいと思ったんです。

世の中の鍵を握っているのは女性

小林さんの作品は、赤や黄色、緑などの鮮やかな色使いが特徴です。ガラス市場の消費者は圧倒的に女性が多いため、女性目線での作品作りを意識しているそうです。

Merhaba

「ガラス作家をはじめた頃から、女性を意識して作品を作っています。消費だけに限定せず、世の中のものすべての鍵を握っているのは女性だと思うので(笑)。だから父よりも、母にプレゼントするものというイメージです。」

長期的な夢をうかがったところ、海外に自分の作品を出していきたいとのこと。なんでも、小林さんの作品はベネチアからの技法をベースに、小林さんご自身のアレンジを加えて作成しているようです。

「ベネチアの職人さんよりも、日本人の繊細さや、きめ細やかさが出せるんじゃないかなって思っています。逆輸入じゃないけど、自分が海外から得たものを出力していきたいですね。」

二人三脚でつくるパートナーの存在

小林さんは、今のご自身の状況を「自分の好きなことをやらせてもらえる環境と暮らし」と語りました。自分がガラス作家としての仕事をしていることに、自信を持つこと。そして家族や友達などの周囲の理解と助けがあったからこそ、作品づくりに打ち込めるのだと言います。

Merhaba

そして忘れてはならないのが、パートナーの存在です。大きなガラス工房では、常に複数人と働いているために忘れがちになりますが、個人でやるガラス工房では、二人三脚で作品作りをするパートナーの存在が非常に大きいと言います。

「ほとんどすべての作業をパートナーと行います。色をたくさん入れる場合、ただガラスを膨らまても色の伸び方が整わず、形が乱れて器として完成できなかったりします。そこでパートナーに吹いてもらっている間に、道具を使って挟みこむように圧力をかけて綺麗な形に整えていきます。」

Merhaba

また、縦に線が入るような色の器についても同様です。

「一瞬一瞬の呼吸がとても大事です。この取っ手が間違った場所についてしまったら、後で修正することはできません。ひとりはずっと竿を持ち、回し続けていなければならないので、もうひとりはパーツになるガラスを持っていたりします。ひとつのミスや、1秒の遅れが仕上がりに影響します。その時に持ってきてくれるガラスの硬さによってなど、一瞬の動作や判断で仕上がりは変わってくるんです。」

若い力を育てたい

二人三脚で作品を作っていくガラス作家にとって、パートナーはとりわけ大きな存在です。今のパートナーは、「Merhaba」の開業当初からの仲間。はじめはコップも作れない状態から小林さんが指導しつつ、一緒に作品を作り、今では自分の作品の販売や個展を開催しています。

「ガラス作家は険しい道です。しっかり技術を身につけていくためには、地道な努力を続けていく必要があります。でも、また若い力を育てていきたい。本当に今からやるぞ!っていう人を。

小林さんの作品を観ていると、長い年月の積み重ねによって生まれてくる色が、必ずあるのだろうと感じられました。

お店の情報

ガラス工房Merhaba
住所:群馬県桐生市新里町新川2062
電話:0277-74-5558
営業時間:10:00~18:00(20:00まで開いている時もあります)
休業日:木曜定休
公式HP:http://merhaba.jimdo.com
公式Facebook:https://www.facebook.com/glassstudioMerhaba
※営業時間、休日は変更があります。詳しくはお問い合わせ下さい。
※募集中!ガラス工房Merhabaでは、ガラス作家を目指す人を募集しています。興味を持った方は、ぜひmerhaba201@gmail.comにご連絡ください。

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取材協力

日本百貨店 公式HP:http://nippon-dept.jp

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探求者

小松﨑拓郎

ドイツ・ベルリン在住の編集者。茨城県龍ケ崎市出身、→ さらに詳しく見る

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