かっこよく生きたい――憧れる大人の背中を見て、1人の女性は宮城県石巻市へ、もう1人の女性は新潟県十日町市へ移住しました。移住女子と呼ばれる彼女たちは、若くしてなぜ移住することを決心できたのでしょうか? 彼女たちが憧れる生き方、そして移住先の地域の魅力を聞きました。

島本幸奈さん

島本 幸奈:宮城県石巻市

1991年千葉県君津市生まれ。震災がなければ、名前も聞いたことなかったし、来ることもなかっただろう宮城県石巻市での移住生活も6年目になっちゃいました。漁業をかっこよくて、稼げて、革新的な「新3K」を目指す、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンに立ち上げから関わり、海と共に生きる男達の中で紅一点、情報発信や個人向け販売、交流イベント、担い手育成事業などに携わり水産業の魅力を全国に発信している。自分が感じた漁師たちのかっこよさと彼らのつくる海産物の美味しさの感動を、1人でも多くの人に届けるために日々奮闘中。

水沼真由美さん

水沼真由美:新潟県十日町市

1994年生まれ。神奈川県横浜市出身。法政大学現代福祉学部。地域づくりに興味を持ち、勉強をしていく中で、大学の講義でもらった移住女子のフリーペーパー『ChuClu』をきっかけに、にいがたイナカレッジの長期インターン生として新潟県十日町市に移住。地域のお母さんたちの直売所「千年の市じろばた」を拠点に地域の食材を使用した加工品販づくりや販売に加え、田んぼや畑の農作業を通して6次産業を勉強中。十日町の人や移住女子の先輩に支えられながら移住ライフを楽しみながら奮闘中。

  • 2016年9月オープン! オンラインサロン「移住女子のローカルライフラボ」こちら

大自然の恵みをいただきながら暮らす場所

新潟県十日町市のお米

島本幸奈(以下、幸奈) 私たちが暮らしている地域のことって、お互いじつは知らないですよね? はじめに自分が暮らす地域についてお話しましょうか。真由美ちゃんは、新潟県十日町市のどんなところが好きなの?

水沼真由美(以下、真由美) 中山間地と呼ばれる十日町市の好きなところは、四季がはっきりしているところ。春はツクシやフキノトウのような山菜をはじめ、命が芽吹いていることを実感できます。小さな種が、ぐんぐんと大きく育つ夏。そして実りの秋。冬には雪があるからこそ、おいしい山菜、野菜、お米ができるんです。大地が潤う、という言葉が似合う地域です。

移住者も地元の方も、次の世代のためにがんばって働いている。明るいひとたちがたくさんいます。

幸奈 褒めちぎりますね(笑)。

真由美 はい!(笑) 幸奈さん、宮城県石巻市の魅力はいかがですか?

幸奈 石巻市の主幹産業は漁業です。港は活気がありますよ。海だけでなく山と隣合わせの地域だから、山菜はもちろん、梅、栗、柿、クルミも採れる。山や川、海と自然の循環でつながっているということです。山のミネラルが川になって海に流れ出ると、ミネラルは栄養素になって海産物がおいしくなります。事実、世界三大漁場の金華山沖(きんかさんおき)があります。

石巻市の主幹産業は漁業
宮城県石巻市

真由美 自然が豊かな証拠ですね。

幸奈 石巻市は自然が豊かでありながら、中心部の地域は栄えていて、ぎゅっといろんなものが集約されています。仙台市に行くにも1時間かからないということも、ちょうどいい。

あとはやっぱり太平洋側は晴れるところも好きです。東京はオフィスに入れば、1年を通して雨でも晴れでも天候は関係ないかもしれないけれど。海がある地域の魅力は、晴れた日の朝日と夕日がすごく綺麗なところです。東日本大震災があったけれど、変わらない景色があるんですよ。

真由美 太陽からパワーをもらえるのに日の光を浴びないなんて……、もったいないですよねぇ。

憧れる大人がいるから移住しました

新潟県十日町市
新潟県十日町市

幸奈 移住した経緯について話しましょうか。

真由美 私が十日町市に移住したきっかけは、大学で学んでいる社会福祉の講義でいただいた移住女子のフリーペーパー『ChuClu』(チュクル)を読んだことにあります。素敵な女性が地域でいきいきと活躍している姿を見て、衝撃を受けました。こんな女性になりたい! って思いました。

それから新潟はもちろん、岩手から沖縄まで、ときにはスウェーデンやフランスにも行く機会に恵まれたのですが、海外まで旅してもやっぱり、『ChuClu』で見た移住女子の方々みたいな女性になりたいという気持ちが頭から離れなくて。大学を休学し、休学期間中に「にいがたイナカレッジ」でインターンを始めて、十日町市に移住しました。

水沼真由美

真由美 というのが、私が移住する経緯ですね。次は幸奈さんの番ですよ。石巻市に移住したのはどうしてですか?

幸奈 きっかけは真由美ちゃんと一緒です。自分で将来のことを選択できるタイミングで、背中を追いかけたくなる大人に出会えた場所が、今住んでいる石巻市でした。憧れる大人が石巻市にいるから、移住したんです。私だって「かっこよく生きたい」って思いますもん(笑)。

真由美 わかります(笑)。幸奈さんにとっての、かっこいい大人ってどんなひとですか?

幸奈 特定のこのひと、というわけではないんだけど、いつも全力で楽しみながら仕事をしているひとたちですね。石巻市には、そういうひとたちがたくさんいます。

真由美 海の男たちですね。

石巻の漁港

石巻市のフィッシャーマン

幸奈 海の男たちはかっこいいですよ。船の上で仕事をしている姿が、ダントツでたくましくて、頼りになります。

真由美 かっこいい大人たちを見ると「自分はこうありたい」という理想像を持てるから、前向きな気持ちになれますよね。

一方で憧れの対象になる大人たちって、もしかしたら日本全国にいるかもしれないし、そういう大人たちと同じ暮らしを他の地域でできるかもしれないですよね。なのにどうして、幸奈さんは石巻市を選んだのですか?

幸奈 「人生は運と縁と恩だよ」ってあるひとに言われたことがあります。私が初めて石巻市に来たのは、震災復興ボランティアがきっかけです。ほんの少しの支援でも「ありがとう」と、誰かが喜んでくれることがうれしくて、私自身が感謝することでした。

島本幸奈さん

真由美 ボランティアをしに行ったら、被災した方々に対して感謝の気持ちを持てた。互いに恩があるんですね。

幸奈 ここで運と縁と恩が3つ、たまたま揃ったんだと思います。真由美ちゃんだって他の場所でも良かったのに、どうして十日町市が移住先だったの?

真由美 私は『ChuClu』をつくった移住女子の方々と同じフィールドに立ってみたいという気持ちが強かったので、新潟で暮らしたいと考えました。

幸奈 新潟といっても、中越には長岡市や柏崎市、いま暮らしている十日町市がありますよね?

真由美 十日町市に行ったときに、地域のお母さんたちが「ぜひ!早くおいで」と歓迎してくれたんです。そのときに、私のこれからの人生でこの機会を逃したら、少し世代の上の方と働けることはないかもしれない……、「先輩から地域の暮らしを学びたいなら、今がチャンスだ」と思ったんです。十日町市に移住したいという若者を、明るく受け入れてくれることを実感できたことも、ここを選んだ決め手でした。

新潟県十日町市

幸奈 なるほど。私が石巻市に移住することを決めたのは、地域で暮らすひとたちと「一緒に生きていきたい」と思ったタイミングです。「移住したい」と思う直感的な気持ちが積み重なったから、実際に行動に移したといういきさつで。移住を決めるまでに、1年半から2年間くらいはかかりましたけれど。

真由美 環境を大きく変えるのだから、移住には不安がつきもの。簡単には決断できないことですよね。でも、移住というステップがあったから、それぞれが次のステージに進めているんだと思います。

移住が私を次のステージへ

島本幸奈さん

幸奈 これから真由美ちゃんは大学に復学するんだよね。なにかやってみたいことはありますか?

真由美 私はあと2年間在学予定です。社会福祉と農業に焦点を当てて勉強していくつもりです。2015年4月から1年間十日町市で暮らしながら、社会福祉と地域学に関して生きた学びを得てきたので、今度はこの分野でいろんな事例がある土地に行ってみて、技術や手法を学びたいです。

ゆくゆくは障害者の方と一緒に働くための仕組みをつくったり、うつ病の方が心と身体を休める場所として受け入れる場所をつくってみたり、社会福祉と地域学の側面からできることをしていきたくて。十日町市で盛んな農業を切り口に、新しい社会福祉の形を探っていけたらいいなぁ。

水沼真由美

幸奈 うずうず、ワクワクしていますね。

真由美 十日町市で暮らして、現場に出る楽しさを知りましたからね。勉強できる期間もすごくうれしいけど、これからもどんどん現場に出て行って、自分の仕事をつくりたいです。

幸奈さんがやってみたいことはなんですか?

幸奈 水産業の情報を、記憶に残るようなインパクトのある形で発信していきたいです。唐突な質問だけど、海苔(のり)ってどうやってできるか知っていますか?

真由美 海苔……、岩にくっついているイメージです。

幸奈 それは天然の岩海苔ですね。養殖の海苔は、牡蠣の殻に果胞子(かほうし)をつけて、海苔養殖漁場で育てています。顕微鏡で海苔の成長の様子を、漁師さんたちは毎年夏の終わりに確認しているんです。

海苔はお茶みたいに育ちます。葉が伸びたら摘み取って、刈り取り、すごく細かく砕いてから機械で板状にしていきます。でも、こんな工程を経て海苔がつくられていることは、知らないひとの方が多いです。

真由美 養殖に手間をかけているんですね。これからは、海苔を大事に食べたいと思います。

幸奈 海苔をつくる過程のように、本当は一つひとつの水産物が家庭の食卓に届くまでの工程を、みんなが知ることができるような発信をしたい。漁師さんたちは愛情を込めて海苔や魚を育てたり、身体を張って漁に出たりしています。食卓に海産物が届くまでのストーリーを知ると、さらにおいしいと感じられます。そう私が実感したからこそ、自分がいろんなひとに伝える機会を増やしていきたい。

島本幸奈さん

真由美 つくるひとと食べるひとがちゃんとつながっていけたら、お互いが幸せになれると思います。

幸奈 ですね。真由美ちゃんと話していたら、後輩にいい背中を見せられるようにがんばりたくなってきました。

真由美 がんばりましょう! 良き先輩になることが、私たちの次のステージかもしれませんね。

つくし

(この記事は、にいがたイナカレッジと協働で製作する記事広告コンテンツです)
(一部写真提供:Funny!!平井慶祐・水沼真由美)

2016年9月オープン! オンラインサロン「移住女子のローカルライフラボ」はこちら

img_entry

【移住女子】特集の記事一覧はこちら