昔から脈々と続いてきたもの。伝統、文化、技術、想い。風土や慣習と呼ばれるようになって久しい、音や指先の感触だけで受け継がれてきた日々の暮らしの、諸々のこと。
日本のはじまり、島根の地。
かつて鉱山町として栄えた山のふもと、島根県大森町という地域に「株式会社 石見銀山生活文化研究所」、アパレルブランド「群言堂」を営む企業は、静かに本社を構えます。
最寄り駅であるJR山陰本線大田市駅から車で約15分、観光名所である出雲大社まで約1時間半。
人口400人余りの小さな町は、限界集落と呼ぶにも及ばず、もしかしたらここは「限界」なのではと思われたその土地に松場登美さんが嫁いだその日、「草の種は、たとえ落ちたところが岩の上であっても、そこに根を下ろさなければならない」と言われたのは、今から35年前のことでした。
ブラハウス、群言堂、登美、根々、Gungendo Laboratory。古民家再生、飲食店経営、コスメ、酒造り。元気カレンダー(*1)に、We are here プロジェクト――。
洋服の会社と呼ぶには少し手広く、実態とたしかな輪郭が掴みづらい、不思議な会社。
夫婦2人で始めた小さな仕事は、今や150人を超える企業へと成長し、日本全国に30店舗ほどを持つまでに至りました。
(*1)元気カレンダー:1991年より、毎年大森町民の集合写真を撮影し、カレンダーにしている。
大森町に息づく、根のある暮らしを重ねる日々。同時に「この町で暮らす人がつくるならば」と手に取る人が、ゆっくりと、けれどたしかに日本各地へ増えていく。
「私たちの会社は、事業よりも先に、人と想いから始まった」と彼らは言います。
その姿は、まさに「石見銀山生活文化」の研究所。
積み上げたものは、形になった。
「道半ば」と言いつつも、もしかしたらすでにひとつの時代を築いたのかもしれない会社。
けれど、たとえば次の100年、どう生きるかを考える時が来たならば。
これから何をするのか。何を見るのか。誰がやるのか。誰が何を継いでいくのか。
それとも、みんなでやるのか。
変わっていくものも受け入れよう。
流行よりも、時代性を肌で感じて。
一人ひとりが自分の言葉で、「群言堂」を語る時。
「今、私は何を継げるか?」【島根県石見銀山・群言堂】特集、はじめます。
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