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「灯台もと倶楽部スペシャル 2015大忘年会 with岩手県遠野市で暮らすみなさま」を開催しました

「灯台もと暮らし」で、2015年最後に特集した地域の、岩手県遠野市。そこには、馬との暮らし、かつての里山を取り戻そうと立ち上がる人々の暮らしがありました。

馬と暮らす持続可能な里山の未来、馬搬して切り出した遠野の木材で、築年の古民家を再生してゲストハウスにする取り組み、子どもを産み、育て、遠野の地で育まれていく命の循環……そこには、灯台もと暮らしが描いてきた「これからの暮らし」のヒントがありました。
引用:【告知】12/18「灯台もと倶楽部スペシャル 2015大忘年会開催! with岩手県遠野市で暮らすみなさま」を開催します!

同年の12月18日に、特集でご紹介した「風土農園」の伊勢崎さんご夫妻や、「N-S」の松田成人さん、「カーゴ・カルト」の高橋強さんといった「遠野のキーパーソン」をお招きして、イベント「灯台もと倶楽部」を開催しました。

「灯台もと倶楽部」とは

灯台もと倶楽部

自分を変えたい、暮らしを変えたい。同じように変わりたいと思ったひとに、出会いたい。私の今日を変えるために、私たちは出会って、話をして、同じ場を共有して、次に進める場をつくりたいと思いました。

「灯台もと倶楽部」は、「気がついたひと」を迎えて、倶(とも)に楽しむ場。美味しいお酒とごはんがつなぐ、これからの私たちの未来をつくっていく場です。

昔、毎日通っていた教室のように、日常でありながらも「私の明日を変える今日」に出会える場です。

灯台もと倶楽部、第1回の記事はこちら

はじめに:編集部からご挨拶しました

灯台もと倶楽部、佐野
編集長の佐野知美

はじめに編集部員から自己紹介&ご挨拶をさせていただきました!

まずは編集長の佐野からはじまり立花、タクロコマ……さいごに代表の鳥井です。

灯台もと倶楽部
編集部の立花実咲
タクロコマ
編集部のタクロコマ

灯台もと倶楽部

今回はイベントのスタートと同時に、飲みはじめる! なにせ忘年会ですから、肩の力を抜いて、お友達の家に訪れるような感覚になっていただきたいのです。

岩手県遠野市の食材を使ったフードとドリンクもご用意してくれたのは、移動式フード・ドリンクユニット「Uchila(ウチラ)」さん。ウェルカムドリンクは「飲むアップルパイ」です。

ゲストは農林業家、ファッションデザイナー、喫茶&バー店主

灯台もと倶楽部

それでは、イベントの要所や雰囲気がわかるお話を抜粋し、ご紹介します。

佐野 ではでは、遠野市のみなさーん! ご登壇いただけますか? みなさん、さっそくですが簡単に自己紹介からお願いします。

伊勢崎克彦(以下、克彦) ぼくは16代目の農家の息子です。古くから遠野に根付く、馬との暮らしを実践しながら、「風土農園」という名前で自然栽培の農業や、林業を営んでいます。

伊勢崎まゆみ(以下、まゆみ) 私は神奈川県の横浜出身です。克彦さんと結婚する2006年に移住して、9年経ちました。よろしくお願いします。

伊勢崎ご夫婦
左から、伊勢崎克彦さん、伊勢崎まゆみさん

高橋強(以下、強) 「カーゴ・カルト」という喫茶&バーの店主をやっている高橋強です。「空市」の運営や「遠野ゲストハウスプロジェクト」のお手伝いをしています。

カーゴカルト・高橋強さん
喫茶&バー「カーゴ・カルト」の店主・高橋強さん

松田成人(以下、成人) 「N-S」(ノース)っていうファッションブランドのデザイナーをしています。東京で20年仕事をしてきて、2013年に拠点を移して、東京の仕事を岩手でやっています。デザインだけではなく製作管理もするのですが、遠野に来たのをきっかけに縫製を地元の工場にお願いするようになりました。

「N-S」ファッションデザイナー・松田成人
「N-S」ファッションデザイナー・松田成人さん

克彦 これです、これ。「N-S」の、かっこいいでしょ。

 このTシャツも、なるくんの。

「n-s」の洋服をお客さんに見せるおふたり
手を広げてくるりと一周まわって、「N-S」の洋服を見せる強さん、克彦さん

佐野&会場 かわいい、かわいい!

成人 あらかじめ紹介するように仕込んでたみたいになってるけど、ぼくは何も仕込んでないですよ(笑)。

遠野ゲストハウスプロジェクトって?


(引用:遠野ゲストハウスプロジェクト from Tohoku tresen on Vimeo

佐野 遠野ゲストハウスプロジェクトは、成人さんや強さんも関わっていらっしゃるんですよね。

成人、強 はい、そうです。

克彦 2015年の10月にクラウドファンディングをはじめた遠野ゲストハウスプロジェクトは、たくさんの方にご支援いただきました。ぼくが仲間たちと取り組んでいることは、古民家を改修して、人が生きる循環を体験できるゲストハウスをつくること。

佐野 みなさんも、ゲストハウスの構想のきっかけが知りたくなりますよね?

会場 (うんうん、と頷く)

克彦 ぼくはパラグライダーが大好きで。空を飛びながら遠野の綾織地区を眺めてみると、田んぼと山が、水で繋がっていることがわかったんですね。今日、みなさんが飲んでいる水も、必ずどこかの山の水です。

だから遠野ゲストハウスや綾織地区のある川の上流を、農薬まみれにしたり、生活用水で汚したりしたら、下流の地域に住む人は不利益を被る。川の上流に位置する里山に住む人は、里山を守らなければいけません。そして都市の人も恩恵を受けているから、山・川を大事にしたいと思うんです。

たとえば100人で農業する地域で、機械で作業を効率化して、5人だけで農業が成り立ったと仮定します。農村は農作物を作るだけの工場ではありません。地域で農業に従事する人が少なくなれば、もっというと、新しい仕事を求めて遠野から都会に人が出てしまえば、農業に関係するお祭りなどの伝統的な文化がなくなってしまうんです。だから規模の大きな農家さんよりも、小さな農家さんがたくさん増えると、里山の自然や文化、人の営みは循環すると考えています。

まゆみ 夫は結婚する前の付き合っているときから、「綾織を、山を豊かにしたい」とずっと言っているんです。でも私は東京で暮らしているとき、その土地への愛着はなくて。だって、その場所が嫌になったら引っ越せばいい。そんな気持ちでいたから、地域でお祭りがあっても部外者でした。

伊勢崎ご夫婦

まゆみ ところが土地に入って暮らすと、地域に対する思い入れが強くなります。成人くんも、強くんもそうだよね。川が汚れていくのは気になるし、森が荒れていくのは嫌。人の暮らしは山に支えられていて循環しているのだから、自然環境が悪くなれば、必ず自分たちにその影響が返ってきます。

克彦 同時に、田舎には山もきれいな水もあるけれど、地域の自然資本を最大限活用できていないんですね。だからこそ、かつての遠野暮らし……つまり遠野の文化を継ぐことで、古くて新しい農山村の地域ができたらと思って活動しています。そのひとつに、遠野ゲストハウスプロジェクトがあると。

佐野 遠野という地域や克彦さんたちの活動に興味を持つ方々に、お集まりいただけたわけですが、特集の反響を感じることはありますか?

まゆみ 私たちの活動を具体的に言語化してくれたことで、支えてくれる方々が増えてきました。共感の環が広がっていると、肌で感じています。

克彦 誰でも参加し、活躍できる遠野での活動を「田んぼと山が川でつながる、勝手に公共事業」とぼくは掲げています。だからみなさんも遠野に来て、役者になってほしい。ここで「食に関わる仕事がしたい」とか、「バレエや劇をやりたい」とか、なんでもやれば、できるんです。ひとりでも多く、この土地に来てくれたらと思っています。

じゃんけん大会で、遠野ゲストハウスに泊まれる賞も

灯台もと倶楽部ー遠野

トークセッションを終えると、懇親会とじゃんけん大会がはじまりました。

じゃんけん大会の優勝者は、「遠野ゲストハウスに行ったら泊まれるチケット」をプレゼント! 準優勝は「遠野特集の取材先をご案内してもらえる賞」でした。

掛田せんべい
玄米煎餅
掛田米
掛田米

さらに3、4、5位の方には、克彦さんとまゆみさんが丹精込めて育てた、できたての玄米餅をプレゼント!

灯台もと倶楽部ケータリング

お客さんと会話する様子

イベントフード/ケータリング提供は「MOMOE」代表の稲垣晴代さん。 カーゴカルト・高橋強さん todai-motokurabu-tono (19 - 25)_ 灯台もと倶楽部ケータリング

遠野の食材をふんだんに使ったケータリングとともに、みんなでわいわい、お話ができました。これから遠野で、どんな暮らしがはじまるのでしょうか。

「灯台もと倶楽部」のゲストの方々も、参加してくれたみなさんも、そしてぼくら編集部も、これからの暮らしを考え、次なる一歩を踏み出すきっかけになったのではないでしょうか。

フード・ケータリング提供

  • からだも“おいしい”ごはん、つくります「MOMOE」代表 稲垣晴代さん

フード・ケータリング「MOMOE(ももえ)」

フード・ケータリング「MOMOE」のレシピ本「常備菜のっけ弁当」と「サラダみたいに作る、楽しむ ピクルス&マリネ」
フード・ケータリング「MOMOE(ももえ)」稲垣さんが出版している本「常備菜のっけ弁当」「春夏秋冬」

ケータリング

ドリンク提供

  • 移動式フード・ドリンクユニット「Uchila(ウチラ)」 荒川萌さん、飯泉友紀さん

移動式フード・ドリンクユニット「Uchila」

お話をうかがったひと

伊勢崎 克彦(いせさき かつひこ)
岩手県遠野市綾織地区で農薬や化学肥料に頼らない自然栽培という農法で米や豆を育てる。農業と並行して、冬は山に入り、切った木材を馬で引き出す「馬搬(ばはん)」の技術を学びながら、豊かな水を田畑に運んでくれる命の源である山を良くする活動もする。どちらが欠けても成り立つことができない“食と自然”。馬と共に、地域の資源を最大限に活用した「自然を生かした暮らし」を目指す。
「風土農園」ブログ:フウドの日々暮らし

「風土農園」伊勢崎 まゆみ(いせさき まゆみ)
神奈川県横浜市生まれ。都内のアパレルメーカーで販売兼デザイナーとして活動中の20代のとき、友人に会いに訪れた岩手県遠野の景色に魅了され、9年前に東京から移住。16代続く農家へ嫁ぎ、夫と共に『風土農園』として、無農薬・無肥料の自然栽培で米と豆作りを始める。四季を通して、農家の暮らしの中からつなぎ、築き、生まれた発酵食の豊かさや自然の中にあるもので暮らす“生きる力”を知り、「暮らしの文化」を外に内に伝えていくべく活動中。

designer:松田 成人(まつだ なるひと)
ヴィンテージショップ「go-getter/ゴーゲッター』にてバイヤーとして働きながら、「mister hollywood」の立ち上げメンバーとしても務める。2004年8月独立しその後、古着の卸を開始。2005~6年A/W collectionより「digital diverse」としてブランドをスタートさせる。 2008~9年A/W collectionよりカジュアルライン「analog diverse」もスタート。2009~10年A/Wcollectionより会社設立に伴い、ブランド名を「N-S」へと変更し、ラインを1つにまとめ、スタートさせる。

高橋 強(たかはし つよし)
昭和51年遠野生まれ、38歳。遠野高校卒業。20歳の時にワーキングホリデーでオーストラリアに1年ファームステイ後、アジアを中心に旅をする。1999年に「カーゴカルト」のマスターとして前店主に拾われる。当時はカーゴカルトはアジア雑貨&喫茶で営業していたが、後、カフェ&バーとしてリニューアルして営業するように。現在に至る。

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小松﨑拓郎

ドイツ・ベルリン在住の編集者。茨城県龍ケ崎市出身、→ さらに詳しく見る

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