突然ですが、この文章を読んでいるあなたは「八百屋さん」で買い物をしたことがありますか? 世代によっては「そういえば、スーパーしか、ないかも」と思う方も少なくないかもしれません。
「僕、八百屋さんで買い物するの初めてです!」
お野菜を買ってそんなふうに伝えてくれた青年がいたんだと、嬉しそうに語ってくれたのは「坂ノ途中soil」で3年半働いている谷口ゆかりさん。
「なんのお店だろう?」とたまたまお店の前を通りかかった青年が、玉ねぎを買ってくれて、「美味しかったから」とまた来店してくれた。今回取り上げる、小さな八百屋「坂ノ途中soil」は、そんなお店です。
「坂ノ途中soil」はなぜ生まれたのか
野菜提案企業「株式会社坂ノ途中」の運営する坂ノ途中soilがあるのは、京都駅から近鉄線で一駅の場所にある東寺のほど近く。坂ノ途中はこの京都のsoilの他に、東京都内に「坂ノ途中soil ヨヨギ garage」「坂ノ途中soil キョードー」の2店舗を運営しています。soil(ソイル)とは、英語で土壌のこと。
環境負荷の小さな農業で育てられたお野菜を全国にお届けするのが、坂ノ途中の仕事です。現在はインターネットを利用した定期宅配サービスが主たる事業のひとつである坂ノ途中が、なぜ、費用も手間もたくさんかかる店舗を複数持つのでしょうか。
それには、ある理由が。
お野菜の定期宅配事業を拡げていく中で、坂ノ途中が取り扱うお野菜の量や種類は増えていきました。ただ、その結果、本当に栽培面積が小さかったり、収穫量が少量不安定だったりする提携農家さんのお野菜を扱うことが徐々に難しくなっていきました。
「新規就農者のスタートを支援することで、環境負荷の小さい農業を行う農家さんを増やしたい!」という想いがあるにも関わらず、それを実現できないんじゃないかと危機感を覚えた坂ノ途中は、「少ししか収穫できなかったお野菜でも販売できる、小さな八百屋さんを営もう」と思いつき、今に至ります。
お野菜だけじゃなくルームオイルやバッグまで
お店に入って驚いたのは、その商品ラインナップ。お野菜だけかと思いきや、加工食品はもちろん、調味料やクッキー、コーヒーや海苔、ルームオイルやバッグまで、たくさんの商品が店内に並んでいました。
「扱っているものは、まず、提携農家さんから届く旬のお野菜ですね。一般的な市場さんにあまり出回っていない、珍しい野菜もたくさん並びます。あとは、おもに調味料やお茶などの加工品、生活雑貨なんかもあります。
最近では直接『扱ってくれませんか』と、お問い合わせをいただいて、仕入れさせてもらっているものもあるんです。たとえばこちらは、海苔漁師さんから直接ご連絡いただいたもの。有明海でとれた一番摘みの、とても美味しい海苔なんですよ。お客様にはそういうご縁や生産者さんのストーリーを含めて、興味を持って試してくださったりする方も多いです。お店に立って商品のストーリーを伝えながら販売するのは楽しいですよ」(谷口さん)
また、上の写真は提携農家さんがつくった「青大豆」。京都府綾部市の、空気のきれいな畑で育てられました。自社商品やコラボ商品、坂ノ途中がセレクトした他社の商品が並ぶ坂ノ途中soilは、毎月450点以上の商品を扱っているそう。
美味しい野菜を取り扱うsoilだからこそ、素材そのものの味を活かしたシンプルな調理が似合うのかも。調味料やほかの品物もなるべく環境に配慮した材料やつくり方のものを揃えています。
お客さんは主婦の方が多い
お客さんの層は、40代から60代の主婦の方が多いそう。お子さんやお孫さんに美味しいものを食べさせてあげたい、とお野菜を購入される方や、健康に気を遣ってsoilを探し当て、遠方からお越しになる方も多いんです。1割が男性。9割くらいが女性。9割のうちの、2割くらいが若い世代の方。
「口コミやご紹介でご来店くださる方も多いですが、たまたま通りがかって、お店を表から見てかわいいと思って入ってきてくださる方もいて。お野菜を購入してみたら『美味しかったんです』と言って常連さまになってくださったりとか」(谷口さん)
普段は宅配で坂ノ途中のお野菜を食べているお客さんが、京都旅行のついでに足を運んでくれることも少なくないんだそうです。
売れ筋商品はなんですか
中でも特に売れているものは、どんなお野菜なのでしょうか。
「わたしたちは“じゃがたまにんじん”と呼んでいるのですけれど、それはスタンダードなお野菜、『じゃがいも』『玉ねぎ』『にんじん』のことです。最初にお店を訪れたお客さまは、まずこの3つのお野菜を買われていくことが多いです。お野菜と加工食品は、売れ行きで言えば半々くらい。
ありがたいことに、こういう商品はないかな?とお客さまからのリクエストをいただくことも多いです。常連さまの声から、定番になった商品も多くって。たとえばくず粉とか、麦茶とか、小麦粉もそうですね。お客さまから『有機の小麦粉が欲しい』という声をいただいて、探して仕入れました。ご要望をいただいた場合は、できる範囲で揃えるようにしています」(谷口さん)
ここ数年のオーガニックの環境を取り巻く変化
谷口さんはsoilで働かれて、3年半。この間に世の中的には、どんな変化があったのでしょう。
「やっぱり『食が基本』という意識は世の中でも高まっているように感じます。食べるものって、自分たちの身体をつくっていくものですし。わたし個人としてはもっともっと、オーガニックの食材が手軽に手に取れる環境が広がるといいなぁって思います。お買い物に来てくださるお客さまも、近くにあったらいいのにっておっしゃる方も多くって」(谷口さん)
お客さまのお買い物の変遷を見ているのが楽しい
同席してくれた広報・倉田優香さんは都内の店舗「坂ノ途中soil ヨヨギ garage」「坂ノ途中soilキョードー」のスタッフでもあります。倉田さんと谷口さん、おふたりで語ってくれたのが、お客さまのお買い物の変遷を見ているのが楽しいというお話。
「はじめは、スーパーの買い物済みの袋をさげていらっしゃる方も多いんですけど。何度か来るうちに、だんだんだんだん、野菜はうちにシフトしていかれて、スーパーで買うのはお肉だけになっていくんです(笑)。『今日は何が美味しいですか?』とかって聞いていただけると『うれしい!』と素直に思います」(倉田さん)
さいごに
先に書いた通り、「soil(ソイル)=土壌」。
もちろんその単語は、お野菜を育てる土地を意味しています。けれど、筆者は、それだけではなく、日々の暮らしの土壌をつくる、土台を整えるような意味合いもあるんじゃないかなぁと感じました。
東京都内には、代々木公園近くに「坂ノ途中soil ヨヨギ garage」が、そして世田谷区経堂駅近くに「坂ノ途中soil キョードー」があります。
日々の暮らしの中で、「美味しい野菜が食べたいな」とふと思ったら、ぜひ寄ってみて欲しいお店です。
冒頭で、「坂ノ途中はなぜ、費用も手間もたくさんかかる店舗を複数持つのか?」という話について書きました。
広報・倉田さんは「お店での小さな積み重ねが社会変革につながる」と言います。お店に訪れる方々がsoilと触れ合うことで、少しずつ世界をいい方向へ変えていくのかもしれません。
小さな八百屋「坂ノ途中soil」
住所:京都市南区西九条比永城町118-2(九条大宮下る、3軒目)
電話番号:070-5347-0831
営業時間:11:30〜18:00
定休日:毎週火曜日&毎月第2月曜日(その他のお休みは夏季8/14~16年末年始12/30頃〜)※2017/11/12より、毎週日曜日も定休日に変わります
公式サイトはこちら
(この記事は、株式会社坂ノ途中と協働で製作する記事広告コンテンツです)