語るを聞く

【ぼくらの学び】やってみてどうだった? 〜編集部フルメンバーの振り返り:後編〜

灯台もと暮らしの特集【ぼくらの学び】は、編集部員それぞれの奥底から湧き上がる疑問を深掘って考える企画です。企画開始から1年を経る5月、編集部全員で振り返りを行うことに。この記事は後編です。

くいしん「このシリーズほど深く刺さったものはない」

伊佐 満を持しての、くいしんさんの学びの話ですね。

【妖怪を学ぶ】は、以前すでに振り返ったことがあるので、今回は【ジョブチェンジを学ぶ】の話をしましょうか。

妖怪を学ぶ・編集部員

伊佐 実際にやってみてどうでしたか?

くい 【ジョブチェンジを学ぶ】は、当たり前かもしれませんが学びが多かったです。

このシリーズほど自分の身の回りの友人に深く刺さったものってほかになくて。簡単に言うと転職相談がたくさん来るようになりました。

だから、転職について相談できるひとって意外に身近にいないんだなって気づきましたね。

カツセマサヒコ

伊佐 へー!

立花 いないのか。

伊佐 実際に迷っているひとから、聞かれることが増えたんですね。ジョブチェンジャーとしての立ち位置の確立……。

立花 それって、背中を押してほしいってことなのでしょうか?

くい それもあるんじゃないですかね。背中を押してほしい、大丈夫と言ってほしい……。

伊佐 あ、そうそう。ふたりはどう思って見ていたの?

くい あっ、ジョブチェンジ未経験サイド!(むしろ立花さんはこの春からジョブチェンジしたひと?)

立花 私は第2回目に登場していただいたムラマツさんの取材に同行させてもらったのですが、その取材の前に、「なんでくいしんさんはこれをテーマにしたんですか?」と聞いたんです。

ムラマツヒデキ

立花 というのも最初は、どうしてこのテーマなのか不思議に思ったから。

くいしんさんは自分の生き方に対して、特に迷いや問題意識、恐れとかを持っているようには見えないのに、どうしてあえてジョブチェンジを学びたいのかな、と。

伊佐 なるほど、そっちですね。

タクロ 僕も同じ気持ちでした。くいしんさんが今ジョブチェンジしたい!ってものすごく思っているようには見えなかったので。

くい うん。それというのは、#0にも書いたのですが、「ジョブチェンジする生き方だっていい」と誰かに認めてもらいたかったからなんですね。

くいしん

くい それに、これまで続けてきたことを辞めて別のことを始めるのはもったいないとか、大変だ、と思うひとが多い中で、異業種への転職を選べれば、選択肢がグッと広がるんです。

伊佐さんの書籍『移住女子』の話じゃないですけど、東京なら東京とか今住んでいる場所にずっといるのではなくて移住という選択肢もあるよねって考えられたら、生きていく上で選択肢が増える。それと一緒の感覚です。

立花・タクロ (深く頷く)

立花 あと余談ですが、私がジョブチェンジの記事を通して感じ、学んだことは「人生やるか、やらないか」なんだという、至極当たり前かつシンプルなことでした!

タクロ まさにgood job.

伊佐 私はジョブチェンジをした側の人間なので、毎回前のめりで読んでいました。

立花「私はアートで救われるか?」「そして誰かを救えるか?」

伊佐 では、次!【ぼくらの学び】シリーズ最多の本数を誇る、立花さんの【アートを学ぶ】ですね。

立花 知りたさ、学びたさの切実具合が本数に表れている……。

相馬千秋さん

伊佐 立花さんは4月から暮らしの拠点を北海道下川町に移しました。で、この学びの話って、これからの転職以降の生活に直結する内容ですよね、きっと。

立花 はい。

伊佐 どうでした? アートという自分のほんとーーーーーーうに奥底から湧き上がってくる興味関心をテーマに取材をしてみて。

そういえば、このテーマを追って海外にも行っていましたね。1ヶ月くらい、イギリスへ。

立花 はい。アートは、わたし自身、興味関心があるのにどう向き合えばいいのか分からず、ずっと逃げてきたジャンルだったので、思い切り感がすごかったです。

取材を通して学んだことは、アートは異質なもの、ほかと違うこと、もの、ひとの受け皿になると信じているのですが、アートという切り口で「違うものを理解したい」という気持ちがわたしの中にあるのだと気がつきました。

というのも、違うものを理解するのが、少し苦手だから。アートという媒介を通したら受け入れられるのに、素の状態だと斜に構えがちというか疑り深いというか。チキンだから……。

伊佐 「チキンだから……」。こわいもんねぇ、違うものは。私はそうでもないけれど。

立花 そうですね……。でもものすごく惹かれるものでもあるという。

【アートを学ぶ】の取材や対面している時間、その後の記事を書いている時間は私にとって本当に学びの連続だったのですが、宮城さんの取材は特に印象に残っています。

宮城聰さん

立花 理由は3つ。アーティストである宮城さんに、はっきりと「ぼくは演劇に救われた」と言っていただいたこと、上記で述べたような感じの、自分自身が演劇やアートに惹かれる理由が取材を通じて腹落ちしたこと、そして同時に多くの人に読んでいただけたこと……。

この記事が、大きな分岐点だった気がします。

タクロ アートというそれまで関わりがほぼなかった世界に触れて、僕も学びました。

オイボッケシ・菅原直樹さん

タクロ 菅原さんは、記事の中で思いやりで日常を演じる必要性を説いていて、あぁたしかに僕らはどこでどんな場所でも顔を切り分けてやや演じているので、俳優って素晴らしいな、僕も見習おうと思いました。

くい 僕は、めっちゃ切実だな、と……(笑)。

自分がここまで切実なテーマを扱えるかと考えたら、難しいなぁって思いました。もっと抽象的にするしかなくなっちゃいそう。

伊佐 へぇ。みんなアートという話題を通じて、何か違うことを見つめたりするきっかけにもなったみたいね。

ちなみに私が思っていたのは、「私は学びシリーズやってないけど、【かぐや姫の胸の内】ってある種これだったんだー」ってこと。国内外の女性の取材を通して、自分自身の未来を考えていた。

灯台もと暮らしのかぐや姫の胸の内

伊佐 ちなみに【ジョブチェンジを学ぶ】も【アートを学ぶ】も、まだ続きの記事がこれから公開されるので、乞うご期待ですね。

「みんな、次の学びの記事は何ですか?」

畑中明宏

タクロ 「ムーミン谷」「徳川家康」「写真」「本当に暮らしたい街ってどこだろう?」あたりです。

伊佐 (徳川家康。私もいま江戸は気になるんだよね)

タクロ 徳川家康すさまじいです……。

くい 徳川家康かぁぁぁー!

立花 ちょ、ムーミンかぶった。

伊佐 立花さんもムーミンって言っていましたね。

タクロ 今後、編集部のみなさんがストーリー要素を含んだものを書いていくことが(きっと)あると思うので、その時のために学んでおこうと。一緒に学びましょうー!

立花 私は、「トーベ・ヤンソン(ムーミン)」「縄文時代」「アメリカ史」、そして「北海道」を学びたい!

北の大地にはミステリーがいっぱいです。

くい 僕は、「ジョブチェンジ」の延長で「ジョブホップ」をやりたいですね。同職種内での転職回数が多い、というパターン。僕の中ではこのふたつは、微妙にテーマというか問いが違うんです。

あとは「聞き上手に学ぶ」というやつ。ぼくらの学びってじつは二軸あると思っていて、「自分の仕事のスキル」にダイレクトに活かせる【写真が上手い人に学ぶ】のようなテーマと、【子育てと仕事を学ぶ】あるいは【ジョブチェンジを学ぶ】のような生き方に寄ったテーマ。

だから、今度は前者の仕事のスキルっぽいことをまっすぐやってみたいなと思います。自分がインタビューをうまくなりたいと思ったときに、聞き上手の人に話を聞くというやつ。

伊佐 いいですね。私も2017年後半戦くらいから、自分の学び記事をやっていこうかな。

現時点で興味があるのは「多拠点居住」「繊維」「ご当地コスメ」「モノ作り」「ヨガ講師への道」あたりですかね。

あと「セカンドハウスのファーストハウス化」「島購入」「暮らしとカフェの融合」「DIY」……。

くい ……?

伊佐 (笑)。ではでは、今日でゴールデンウィークもおしまい。みんなゆっくり休めましたかね。

何かを学ぶって楽しいよね。ではこれにて、振り返り記事、おしまいです。

アイキャッチ画像引用:【妖怪を学ぶ#4】東日本大震災から5年半。畑中章宏が語るシャルル・フレジェ『YOKAI NO SHIMA』『シン・ゴジラ』ポケモンGOのつながり|灯台もと暮らし

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伊佐 知美

旅するエッセイスト、フォトグラファー。1986年生まれ、新潟県出身。世界中を旅しながら取材・執筆・撮影をしています。→ さらに詳しく見る

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