「灯台もと暮らし」編集部・くいしんは、これまでに何度か異業種への転職を経て、今に至ります。

編集部が、自身のこれからの暮らしを考えるために、理想の暮らし方の先輩や知識人に疑問に思っていることを学びにいく特集「ぼくらの学び」。僕の第二弾のテーマは「ジョブチェンジ=異業種への転職」です。

このテーマに決めてからしばらくして、編集部の立花から「なんでテーマを“異業種への転職”にしたんですか?」と質問されました。

「くいしんさんは、上手くジョブチェンジできて今があるのだから、なぜ改めて学ぶ必要があるのか、疑問だったんです」と立花は言いました。「そりゃそうだな」と思い、考えてたどり着いたのは、「ジョブチェンジする生き方だって、いいものだよね」と、誰かに認めてもらいたかったのかも、という気持ちです。

転職をする際には「これまで自分がしていたことの延長にある仕事を」と考えることが多いと思います。

そんな中で異業種へ転職した方々は、なぜリスクがあることをわかって異業種への転職を選んだのか? どうしてもやりたいことがあったのか? そしてその選択はよかったのか、または他人に勧められるようなものではないのか──これからの暮らしを考える上での仕事観、ジョブチェンジ観を、様々な方へうかがっていきます。

今回は、導入部に当たる「#0」として、同じく異業種への転職経験者である編集長・伊佐知美とくいしんの、対談記事をお届けします。

2度ジョブチェンジしている伊佐

編集部対談・伊佐×くいしん

くいしん(以下、くい) 今回「ジョブチェンジ=異業種への転職」というテーマでぼくらの学びをやるにあたって、僕自身もそうだし、伊佐編集長もまったく別の業界から今の編集業に転職をしたひとなので、まずは編集部自らがジョブチェンジについて語ってみたいなと思い、お時間をいただきました。

伊佐知美(以下、伊佐) はい!

くい 改めてですが、伊佐さんはこれまでにどんなお仕事をしてきたんでしたっけ?

伊佐 最初は新卒で三井住友カードというクレジットカード会社で営業をしていました。いわゆる金融系ですね。

くい ふむふむ。

伊佐 そのあと、講談社の広告部でアシスタントをしていました。そして個人でライターの仕事をするようになって、今に至るという感じです。

くい じゃあ「金融系の営業」「出版社の広告部のアシスタント」「ライター・編集者」ですね。

伊佐 そうですね。2度ジョブチェンジしています。

くい 営業は自分がつくったものを売るわけではないから、自分でものをつくりたいとか文章を書きたいとか考えて今に至るんですか?

伊佐 んー、営業時代は、そこまで考えている余裕はなかったですね。会社を出るときに、エレベーターで無意識に泣いたことありますもん。急に涙がこぼれてきた(笑)。

くい 目の前の仕事を一生懸命やっていたんですね。

伊佐 ですねぇ……。で、結婚を経て専業主婦をやっていたら、それこそ自分で何かをつくりたいという気持ちが沸いてきたんです。家にいても、消費するだけ。世界とのつながりが薄くて、かなしい。そんなふうに思っていましたね。

くい 出版社にはもともといきたかったんですか?

伊佐 そうですね。じゃあどう生きていきたいかって考えたときに「やっぱり書き仕事と旅を中心にしたい」と痛烈に思ったんですね。「私、それがあればほかになにもいらない」と。私は昔から、ずっと出版社での仕事に憧れてました。だから三井住友カード時代も、せめて会報誌を作る部署に行けたらいいなってひそかに思っていたくらい。

くい ちなみにそれってどういう点に憧れているんですか? トレンドを追いかけていて、流行のものはなんでも知っていて、カッコいい!みたいな感じですか?

伊佐 まさにそんな感じですよ(笑)。私は女性誌にめちゃくちゃ憧れを持っていて。よく読んでいたし、本屋の女性誌コーナーが今でもめちゃくちゃ好きです。あの、きらびやかでおしゃれな世界がギュッと詰まっている感じにグッときます。

さらに転職回数が多い編集部くいしん

下を向き物思いに耽るくいしん

伊佐 くいしんさんも転職が多いんですよね。

くい そうですねぇ。ざっくり経歴を解説すると、高校を卒業して、お笑い芸人見習いとして4年弱くらい活動して。そのあと中古レコード屋さんの店員になったんですけど、数ヶ月ですぐに音楽雑誌の出版社への就職が決まったんですね。次に、個人でライティングの仕事をもらったりもしつつ、この頃に少しだけ自分のウェブサイトをつくったりしつつ、そんなことをしているうちにだんだんやりたいことがはっきりしてきて、それが「俺はウェブサイトをつくるんだ!」ということでした。

じつはウェブ業界に入るときにすでに「メディアがいいかな、制作がいいかな」って少しだけ迷っていて。どちらもやりたいことではあったんですけど、編集だけじゃなくてウェブのあれこれを学びたいなと思って、ご縁のあったウェブ制作会社に入社しました。

伊佐 それが前職でしたっけ?

くい そうですね。だんだんと自分がやりたいことはやっぱりメディアだなぁと思って、2016年4月から灯台もと暮らし編集部のひとになるというわけです。

伊佐 なるほど。

くい 伊佐さんは、最初にライターとして個人で仕事を請けるときに、何かハードルありましたか?

伊佐 全然ないですね。「あは〜、楽しい〜」みたいな感じでした。くいしんさんは転職するたびに不安とかないんですか?

くい それなりに不安もあります。でも、なぜどんどんジョブチェンジするかというと、自分のやりたいことに近づいていっているからなんですよね。これまで自分が仕事でがんばって得た知識やスキル、テクニック、人脈、その他諸々が、転職によって失われてしまう可能性って絶対にあるんですけど、そんなことよりもやりたいことやできることをどんどん伸ばしていく方向に動いていったら、結果ジョブチェンジを重ねていたっていう。

伊佐 それはよくわかります。私たちのような生き方をしていると「ひとつのことが長く続かないんじゃ」って思われてしまうこともあると思うんですけど、そうではなくて、やりたいことにだんだんと近づいていっているんですよね。

くい そうそう。少なくとも本人はそうやって考えています(笑)。

下のほうを見るくいしん

自らの選択を正解にするしかない

伊佐 私、三井住友カードは少なくとも3年間は続けようって思っていたんですね。でも、できなかった。「続けられなかったかー」みたいな気持ちがあって。でも今考えるのは、選んだほうを自分で正解にするしかないってことで。私はその時々でいちばんやりたいことを選んできて、時間が経つに従って幸せ度も自由度も高まっています。

同時に不安もあるけれども、転職はしてはいけないものではないと思います。むしろ、やりたいなら、やればいい。背負うものが大きくなると人は動けなくなっていくから、早ければ早いほうがよいことも可能性として高いですよね。

私自身は「あのタイミングで動いてよかった! 動いていなければ今なかったな!」という気持ちの方が大きい。でも私の場合は、異業種への転職は入り口が遠かったからこそかもしれないです。

くい 入り口が遠かった?

伊佐 私は新卒の採用で大手の出版社を受けたんですけど、最初から出版社に入れていたとしたら、転職はしなかったのかな?とも思います。その「(出版業界や書く仕事の入り口に)絶対に近づきたい!」と思っていたからこそ、今があると思います。進む中で「こっちがやりたいのかも?」と分かってきたし。

くいしんがWasei入社前に参加した嶺北合宿での一枚
くいしんがWasei入社前に参加した嶺北合宿での一枚

くい 現在お勤めの会社はいかがでしょうか?

伊佐 聞き方がおかしい(笑)。私にとっては、やっと見つけた好きなことができる居場所なので今度こそ3年以上働くんじゃないですかね。たぶん。

くい つまり今は、やりたいことを限りなくやりたいままにできているため、転職する必要ないよね、って話ですね。

伊佐 うん、そうですね。転職した先でやろうとすることは、きっとWaseiでできるから。私は自分が一番やりたかった書くことを仕事にできて、自分の好きなことを好きだといってくれる仕事仲間や読者、サロンメンバーや取材させてもらった方々に出会えて、楽しいし、好きなことの純度がどんどん増しています。

くい うんうん。いろいろそれらしい話もしたんですけど、僕の場合は「なんか適当にやっていたら自分のスキルを活かしやすい時代が来たかな?」みたいに勝手に思えたところがあるんですよ(笑)。

伊佐 なるほど(笑)。

くい 出版社にいて、ウェブ制作をやって、ウェブ編集をやれている今に勝手につながっていったわけです。だから、ひとつひとつのステップに悩んだり、右往左往するよりも、目の前のことを一生懸命やりながら進んでいけば、いつか勝手にいろんなつじつまが合うときが来るんじゃないかなって思います。

この連載で何が言いたいかって、僕自身、経歴がむちゃくちゃだからこそ、もうこれを武器にして生きていくしかないんです。だからこそ、取材させてもらう方々に「ジョブチェンジ最高!」という感じで証明して欲しい!(笑)。

伊佐 うむ。でも本当に、やらない後悔よりやった後悔のほうが好きです。

くい でも伊佐さんは別に「やった後悔」があるわけではないですよね?

伊佐 あはは(笑)。そうですね。ない。「やった後悔」ってあんまり聞いたことないから、やってみたほうがいいんですよ、きっと。

「やった後悔」はないことを語る伊佐とくいしん

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