編集部が自身のこれからの暮らしを考えるために、理想の暮らしをしている先輩や知識人に話をうかがう連載【ぼくらの学び】。本シリーズはその発展形。“学び”を深め、学んだ対象を“つくる”。「灯台もと暮らし」編集部・くいしんが2017年にもっともハマったもの……サウナ。最近ではサウナに行くだけでは飽き足らず「サウナをつくりたい」という気持ちが芽生えてきたんだとか。サウナ文化を広め、最終的にはサウナをつくりたい。それが【サウナをつくる】連載です。

2017年、一部の人々の中で大流行していたサウナ。そんな中で登場したのが今回取り上げる「サウナイキタイ」というサービスです。

サウナイキタイとは、日本中のサウナの基本情報が集まったサウナ検索に特化したデータベースサイト。「サウナってこんな楽しみ方もあるよ。こういうところに着目するとおもしろいよ。こんな施設があったよ」と、サウナー(サウナ好きのこと)たちの気持ちが集まって、みんなのサウナライフがちょっぴり豊かになることを目指すサイトです。

「サウナイキタイ」チーム

あり

1990年生まれ、兵庫県出身。web企業でデータ分析やリコメンドエンジンの開発を行う。サウナイキタイでは主にバックエンドの開発を担当。ホームサウナは武蔵小山清水湯、外気浴や休憩スペースが充実しているサウナが好き。去年の夏にフィンランドへ旅行してから、日本でも当たり前にプライベートサウナに入れるようになる日を夢見る。

かぼちゃ

1988年生まれ、大阪府出身。web制作会社で働きながら個人でも複数のwebサービスを立ち上げる。サウナイキタイではデザイン、フロントエンド、マガジンを担当。ホームサウナはマルシンスパ、サウナ室でよく三角座りしている。高温で湿度のあるサウナ室と溢れる水風呂、1日中だらだらできる施設が好き。

ゆかりさん

ゆかり

1990年生まれ、栃木県出身。サ道がきっかけでサウナの魅力に気付く。サウナイキタイでは、フロントエンドなどを担当。よく行くサウナは、都内の銭湯サウナ。外気浴スペースがあるところが好き。最近は、サウナストーブとサウナ室での熱の伝わり方に興味を持っている。

ひぎつねさん

ひぎつね

1991年生まれ、神奈川県出身。定時後のサウナ、ボドゲをたのしみに生きる。サウナイキタイでは開発を担当。ホームサウナはスカイスパ。最近「どこのサウナに行くか」で旅行場所を決めていることに気がついた。

そんなサウナイキタイチームに、サービスへの想いと共に「自分たちがサウナをつくるとしたら、どんなサウナをつくりたい?」という妄想を語っていただきました。

旅館の水風呂が枯れていた悲劇をもとに「サウナイキタイ」をつくった

「サウナイキタイ」チームのみなさま
「サウナイキタイ」チームのみなさま

── 今日は【サウナをつくる】というテーマでお話をうかがいたいのですが、最初に「サウナイキタイ」ができた経緯を聞いてもよいでしょうか。

あり サウナの情報が、データベースとして集まっているサイトってじつはあんまりなくって。サウナ好きはみんなツイッターでおすすめのサウナとか、ここの水風呂の質がいいとか、そういう情報をツイートしているんですけど、まとまってはいなかったんです。

地方に行ったときとか、サウナ施設じゃなくて旅館にあるサウナだと、なかなか探しても見つからないことに不便さを感じていて。

大きなきっかけのひとつは、あるとき旅館に泊まりに行ったんですけど。予約サイトにはサウナも水風呂もあるって書いてあったのに、行ったら水風呂が枯れていて、なかったんです。サウナ施設はさすがに水風呂を重視しているんですけど、旅館だと水風呂の重要性を理解していない場所もあるんです。「サウナから上がったらあると思っていた水風呂がない」という悲劇をなくしたかった。

かぼちゃ 悲劇(笑)。行ったら水風呂があった形跡しかなかったんですよね。

撮影は埼玉県草加市にある「草加健康センター」で行った
撮影は埼玉県草加市にある「草加健康センター」で行った

草加健康センターでインタビュー

あり そういうサウナの情報がきちんと集まったサイトをつくりたいと考えていて、ひとりでつくり始めていたんですね。そんなときに、かぼちゃさんと出会いました。初めて会ったときに、一緒にサウナに行ったんですけど、僕はサウナイキタイのもとになるつくりかけのサイトがあったので、見せたんです。「すげえ!」って褒めてもらえるかなみたいに思って見せたんですけど──。

かぼちゃ じつは僕もその頃、同じようなことを考えていて、僕も僕でつくりかけのサイトが手元にあったんです。それでふたりでサイトを見せ合って。

あり 「ええええっ!」ってなりましたね。そこからふたりで一緒にやろうという話になっていきました。

草加健康センターにあった花

── ゆかりさんとひぎつねさんは、その後、誘われたんですか?

ゆかり そうですね。最初はちょっと手伝おうかなという軽い気持ちだったんですけど、いつの間にかリリースまで進んでしまいました(笑)。

ひぎつね いつの間にかサービスの開発合宿まで連れていかれましたよね(笑)。

かぼちゃ ふたりでやろうと意気投合したのは、サウナイキタイってあくまでデータベースサイトなんですけど。たとえば、飲食店で言えば食べログみたいに、評価を重視したサイトをつくる方向性もあると思うんです。

あり そうではなくて、あくまでデータベースサイトをつくりたいんですって気持ちはふたりとも一緒でしたよね。

かぼちゃ うん。それが合致したので一緒にできましたね。サウナを点数で評価してランキング化されるようなサイトにはしたくなかったんです。サウナって、個人によって好みが違うので、純粋にサウナを選べる楽しさを追求したかった。

ひぎつね 僕にとってはサウナ室そのものだけじゃなくて、休憩スペースが大切なんです。サウナを出たあとにどんなふうに過ごせるか、Wi-Fi環境があるかとか知りたくて。サウナイキタイは、それを検索できるサービスだったので、僕も手伝おうって思えました。

草加健康センターの水風呂

サウナのあとは外気浴
サウナのあとは外気浴

温泉にも入ります

理想の【サウナをつくる】妄想

── 今回は【サウナをつくる】という連載の取材でして。「サウナをつくりたい」と考えたときに、じゃあまずみなさんにとって理想のサウナってどういうものなのか、お聞きしたいです。

あり フィンランドへ行って、AirBnBでサウナのあるコテージを借りて、宿泊したことがあるんです。フィンランドと日本の大きな違いは、プライベートサウナが主流なところで。家族や恋人と一緒に入ってリラックスするためにサウナがあるんですね。

お借りしたコテージは、誰もいなくて、周りに森と湖しかない。朝になったら薪を拾って、その薪でストーブを焚いてサウナに入る。本当に最高にリラックスできた体験でした。だからやっぱり、日本でもプライベートサウナを持てて、湖畔に飛び込めたら最高ですね。

── 湖畔から飛び込むのはサウナー共通の夢なんですね。

あり 自然の中という文脈で言ったら、山奥とかにあるのもいいだろうなって想像しますね。気兼ねなくリラックスできる空間が欲しいです。

草加健康センターの名物「薬湯」
草加健康センターの名物「薬湯」

かぼちゃ 僕は、サウナ室で寝転びたいんですよ。でも日本の施設だと寝転んだらダメっていうところも多いし、ひとが多くてなかなか寝転べないです。なので、寝転べるサウナをつくれたらいいなぁって思いますね。

「自分がつくるとしたら」って妄想すると、めちゃくちゃ悩みます(笑)。今日の草加健康センターみたいな場所も好きだし、セルフロウリュできるような施設も好きだし。

プライベートサウナであれば、そのときの気分でサウナ室の熱さをコントロールできるといいですね。

ひぎつね スピーカーを付けて、好きな音楽を聴けるのもいいですね。ふつうのサウナ施設では自分好みにカスタマイズできない部分を、コントロールできるサウナがあったら嬉しいなぁ。

照明も調光ができるライトで気分によって明るさを調整できるとか。サウナ室に出窓のようなスペースをつくってキャンドルを並べるのも雰囲気が出てよさそうです。

あり サウナ室に大きな窓があって、ブラインドを付けて開閉できるようになっていて、外の景色をみて開放感を得られたら嬉しいですよね。天窓を付けて、星空を見ながらサウナを楽しめるとか。妄想が膨らみますね(笑)。

かぼちゃ ベンチも普段は座る前提なんだけど、レバーを起こすとS字状のサウナベッドになって寝転がれるとか。和風のサウナ施設もいいですね。サウナ室が畳とか、外気浴できるスペースが日本庭園とか(笑)。

ゆかり それいい(笑)。

女性の入れるサウナ施設はそもそも少ない

── サウナイキタイでこれからやっていきたいことってありますか。

ひぎつね 僕は、「サウナ飯」をやりたいです。サウナ上がりに食べるご飯のことなんですけど、サウナイキタイで、施設のご飯の情報も調べられたらいいなって……これは結構先になっちゃうと思います(笑)。

取材中1

ゆかり わたしはやっぱり、サウナを楽しむ女性がもっと増えて欲しいなと思っていて。女性がサウナに興味を持ったときに、サウナイキタイを見て「わたしもサウナ行ってみよ」って思えるようなサイトになったらいいなって思っています。

サウナ施設って、そもそも男性しか入れない、女性は入れない施設も多いんです。2017年に、普段は男性サウナ施設として営業している笹塚のマルシンスパさんがレディースデイをやってくれました。あと2018年に入ってからは、錦糸町のニューウイングさんも。

ふたつの施設どちらも、本当に自分史上最高のいいサウナで。サウナのセッティングもすごくこだわってくれて、温度高めにしてくれたりとか、水風呂も冷たくしてくれたり。

「男性はこんなレベルの高いサウナに、いつも入っているんだ!」ってすごく衝撃を受けました。

男性サウナについて語るゆかりさん

あり 女性にもサウナ文化が広まって欲しいですよね。日本にプライベートサウナがほとんどないのって、サウナが男性中心の文化だったからだと思います。フィンランドだと、老若男女みんなサウナに入るので、貸切温泉みたいな感じでサウナがあります。日本にプライベートサウナがないのは、女性や若いひとにサウナに入る文化があまりないからだと思うんですよ。

サウナイキタイがそうやってなんらかの形で、若者や女性がサウナに行くきっかけをつくれたら嬉しいなって考えていますね。

ゆかり 女性でもサウナを楽しめることは、私が約束します(笑)。

笑うゆかりさん

あり 今日の取材に向けて事前に、取材依頼書を送っていただいたんですけど。

── はい。お送りしました。

あり 「サウナは、現代のサードプレイス」って、書かれていましたよね。その言葉にすごく僕は納得して。家でも職場でもないけど、友だちと会うこともできるし、ひとりでこもって考え事とかもできる。

僕は、個々人が自分の好きな時間を過ごす場所としてのサウナが好きなので、いろんなサウナが日本にもっと増えてくれたらしあわせですね。

サウナイキタイチーム男性陣

文/くいしん
撮影/タクロコマ
撮影協力/埼玉県草加市「草加健康センター

 

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