ここで暮らす大人たちの目は、どのひとも、少年少女のようにきらきらしています。
いっしょうけんめい、汗水を流しながらもくもくと稲刈りをしたり、山に入ったり、川へ魚を取りに行ったり、野生動物や草木を愛でたり。暮らしを支えてくれる、あふれる恵みに感謝しながら一日一日をつむいでゆきます。
彼らには働かなければ、という切羽詰まった焦りはなく、仕事がある自分たちの暮らしを、思いきり楽しんでいるように見えるのです。
高知県嶺北地域には、そんな真面目に遊ぶ大人たちが、たくさん暮らしています。
「“好き”を仕事にする」こととは、また少し違う自由さと生きる強さで、自分たちの暮らしを自分たちの手で、地道にこつこつと積み上げています。
その生業の幅も、地域やひとによってさまざま。
あるひとは田畑に種を蒔き、季節の移ろいに合わせて野菜やお米を育てます。
またあるひとは、今までの嶺北地域になかったような、新しいデザインのカフェやお店を構えます。
筆一本、その手ひとつで作品をつくりあげるひともいれば、パートナーや仲間たちと、チームワークを武器に生業を築いているひともいます。
仕事をするということは、社会的面目やプライドでぶ厚くなった鎧を着て戦うこと、だけではありません。
自分の足で立ち、足元に広がる大地への感謝を忘れず、工夫をこらして好奇心旺盛に生きていく暮らし。仕事はそのうちの、大切な日常のひとつです。
まじめで本気な大人の遊びは、仲間を集め生業になってゆく。それを体現している、高知県嶺北地域の、本山町、大豊町、土佐町、大川村で暮らす、大人たちの背中を追いかけて。
大人が本気で遊び、暮らす町・高知県嶺北地域特集、続行です。