語るを聞く

【松陰神社前】古書店 nostos books(ノストスブックス)中野貴志「会社の規模は大きくしたい。でも、最優先したいのは社員」(2/3)

ちょうどいいのは、きっと土曜日。【松陰神社前】特集はじめます

nostos books

「会社の規模は大きくしたい。でも、第一に優先するのは社員のこと」。

偽りのない言葉でこう語るのは、松陰神社前にある古書店「nostos books(以下、ノストスブックス)」のオーナーであり、株式会社NEU代表の中野貴志さん。

チームをまとめ、進むべき道へと舵を切る役割を担う中野貴志さんは、なぜこの姿勢を貫きたいのでしょうか? その原点は、20代から夢中で走ってきたバンドマンとしての体験にあるようです。

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中野貴志さん
中野貴志さん:nostos booksのオーナー、株式会社NEU代表

聞き手/くいしん
構成・写真/タクロコマ

「大きな目標を立てなければ動けない」というのはもったいなくない?

くいしん 前編ではお店づくりに欠くことのできない「仲間づくり」についてうかがってきましたが、ここからは会社やノストスブックスの未来についてお聞きしたいです。

中野貴志(以下、中野) 個人的にやりたいことは、あまりないかもしれないです。

くいしん 会社として新たにこの事業をやる、とかもですか?

中野 ……ない。ないですね(笑)。

くいしん 2店舗目をつくるとか。

中野 いやぁ、ないっすねぇ。ただ、会社はでかくしたいかな。

くいしん それはつまり、ノストスブックスと平行しておこなっているウェブ制作の領域で売り上げを伸ばして、会社を大きくしていきたいというイメージですか?

中野 ノストスブックス自体が当初のプランからだいぶ変化してお店単体でも十分運営できる体制が整いつつあるので、今後はその運営の経験をウェブ制作の方にも生かしていきたいと思っています。

ウェブデザイン会社という目線で見ると、自社事業として実際に日々店舗とECサイト運営をおこなっているということはなかなか他にない強みだし、そこに価値があるはず。

とはいえ、今のところ会社のビジョンみたいな明確なものはない。それじゃだめなんですけどね(笑)。

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くいしん 「会社のビジョンが明確じゃないとだめだ」というようなことですよね? 実際そうなんでしょうか。

中野 たぶん……「世界を変える!」みたいなことを言わないとだめでしょ(笑)。

中野貴志さん

つくる過程でおこなわれる話し合いこそ楽しい

くいしん ではちょっと話の方向を変えて、経営者としてのビジョンではなく、中野さん個人の喜び、嬉しいことってなんでしょうか?

中野 嬉しいこと。例えば自分たちが考えた企画をやって、お客さんのこういう反応があったとして、それがうまくいってもいかなくても、考えて反省して、気付きを得られるような話し合いがチームの中で常におこなわれていることがすごく楽しいんですよ。自分にはなかった感覚を得られるから、意見を交換することって結構気持ちいいのかなと。

くいしん 議論を楽しいと思えるのは、何かきっかけがありそうですね。

中野 これも、バンドをやってきたからでしょうね。たった1曲をつくるのだって、100%自分のやりたいことはできないじゃないですか。仮にギターのやつに「その曲調はダセえ」とか言われたら、ムカッとするかもしれない。

でも自分の満足度は20%くらいしかその曲になかったとしても、ああじゃない?こうじゃないの?ってメンバーと意見を交わして、実際に曲ができてライブをやって、観客と盛り上がれる。この一連の流れの中で、つくる過程でおこなわれている話し合いが、いちばん楽しい。

くいしん なにかをつくる過程が楽しいし、過程の楽しさが嬉しいことなんですね。

中野 そうですね。例えばですけど、自分が立てた仮説よりも社員の仮説が証明されるほうが嬉しいんです。

あとは話し合いの中で自分の意見に反対されるのも嬉しいですね。それでも「こういう理由があるから、こんなふうにやったらいいと思うんだよね」って伝えることで、そのひとがだんだんやる気になっていくのを見てるのが好きなのかもしれない。

中野貴志さん

会社はバンドのような集団になれるのか?

くいしん 今もやられているバンドではどういうポジションなんですか? リーダーではない?

中野 みんな並列でリーダーはいないんで。うん……、ただ、決めるタイプではあります。

くいしん そういう経営者的なポジションのほうが自分は向いていると感じることってあるんですか?

中野 向いてると思います、たぶん。いち個人のプレイヤーとしてどうこうっていうのは、あんまり興味はないし、自分にも力はないかなって思うので。

それよりもプレイヤーを集めて、こういうことをやろうぜって旗を立てて、それぞれのパフォーマンスを発揮してもらったほうが楽しいかなぁ。

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くいしん さっき会社の規模を大きくしたいと仰っていましたけど、会社の規模を大きくしていくと、もしかしたら嫌な思いをする社員がいたりするんじゃないですか?

中野 社員がですか?

くいしん はい。20〜30人の規模になった時に、最初の数人でやっていた時と変わっちゃったな、みたいなギャップが生まれるかもしれないですよね。

中野 なるほど。

くいしん そういうことがこの先あるとしたら、一番大事にしたいこはご自身のことなのか、会社のことなのか。

中野 チームですね、完全に。

くいしん ということは理想のチーム像がある。

中野 でも、ない。理想のチームなんてわかんない(笑)。

くいしん 思い描くわけではないんですね(笑)。

中野 知らないからやってみたいんですよ。30人、50人いる会社にいたこともないし、一番多かったチームはバンドの6人だから。30人になったらどんな問題が起こるのか、むしろ見てみたいっていう気持ちが強い。そういう場に参加するよりも自分で一から作る方がやりがいがあるし。

明確な理想像があってそれに向かって突き進んでる、とかじゃないけど、その過程も含めて軌道修正していく方が良いじゃないですか。

nostos_books 中野貴志さん

お話をうかがったひと

中野 貴志(なかの たかし)
株式会社NEU代表。nostos booksのオーナー、NATURE LIVINGのベース。

このお店のこと

nostos books ノストスブックス
住所:東京都世田谷区世田谷4-2-12 1F
電話:03-5799-7982
時間:12:00〜20:00
定休日:水曜日
公式サイトはこちら

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探求者

小松﨑拓郎

ドイツ・ベルリン在住の編集者。茨城県龍ケ崎市出身、→ さらに詳しく見る

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