主にデザインやアート関係の本、写真集などを扱う古書店「nostos books(ノストスブックス)」。同店のオーナー・中野貴志さんに、今おすすめの写真集を選んでいただきました。
(以下、中野貴志さん)
『数日間のダイアリー』。
撮られているのは松下知之さんという写真家さんで、その方のお母さまが亡くなるまでの最後の数日間を記録したドキュメンタリーフォトです。
被写体との関係性も写真の重要な要素の一つだと思いますが、「親の死」をレンズ越しに観ているという状況って普通じゃない。普通じゃないからこそ、アラーキーが妻・陽子の死を写したのと同じような愛情を感じます。
- 参考:荒木経惟写真全集 3 | 陽子
写真って観るひとによって受け取り方が違うのが面白くて、この写真集を観て映画のように感じるひともいるだろうし、身近なひとに先立たれた経験がある方はまた違った感情で観ると思います。
僕はこの作品を観ると亡くなった自分の父親を思い出すんですよ。特に病院の廊下の一枚は、自分がお見舞いに行って父親の病室に入るまでの心境と一緒に、その当時の記憶が蘇ってきます。
でも決して悲しいということだけではなくて「あぁ、あの時こういう感情だったな」と振り返ることで、自分の人生を少しだけ立ち止まって考えることができるような気がするんです。
そういう意味ではすごく身近に感じる、感情を動かしてくれる一冊です。
この本についてはこちら
雑誌や広告媒体で活躍する写真家、松下知之の写真集。最期を迎えようとしている実母・聡子、家族がその死を受け入れる数日間の様子を記録した、ドキュメンタリーフォト。日を追うごとに近づいてくる死の残酷さと対比するように、残り短い人生を家族と向き合い、充実した日々を送る笑顔は温かい。
引用:nostos books 公式サイト
このお店のこと
nostos books ノストスブックス
住所:東京都世田谷区世田谷4-2-12 1F
電話:03-5799-7982
時間:12:00〜20:00
定休日:水曜日
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