郷に入る

【蔵前】隅田川を一望できる「MIRROR」が、新しい東京の文化発信地

モノづくりの町【蔵前】特集、始めます。

「蔵前に行こうよ!」と恋人や友人を誘うなら、複合商業施設「MIRROR」は一度は訪れたい場所です。同施設の1~3階は「シエロイリオ」という、隅田川を眺められるリバーサイドカフェになっています。休日ならゆっくりお茶をしながら、町の雰囲気を楽しむのにぴったりです。

カフェのほかにも様々な仕掛けが施してある「MIRROR」。店長の吉田浩介(よしだ こうすけ)さん(以下、吉田)に、「東」東京から発信する「MIRROR」の価値観や蔵前の魅力についてお聞きしました。

立地を活かしてリノベーション

店長の吉田浩介さん
店長の吉田浩介さん

台東区蔵前の東側を流れる隅田川沿いに店を構える「MIRROR」は、東京スカイツリーが見える食とアートの複合商業施設です。

7階建てのビル内には、1階から3階にかけてリバーサイドカフェ「シエロイリオ」とギャラリー、4階には卓球が楽しめるバーの「リバヨン」、5階にはパーティールームの「ゴカイ」、6階に同社のオフィス、7階はルーフトップバーの「プリバード」と、バラエティ豊かな店舗が入居しています。

リバーサイドカフェ「シエロイリオ」
リバーサイドカフェ「シエロイリオ」
4階にあるバーの「リバヨン」
4階にあるバーの「リバヨン」
MIRRORでは卓球も楽しめる
卓球を楽しめる
ルーフトップバーの「プリバード」
7階はルーフトップバーの「プリバード」

もともと7階立ての築40年のビルをリノベーションして誕生した「MIRROR」。外観の、目を引くピンク色のファサードは、建築家の永山裕子氏が、ブランディングは株式会社THINK GREEN PRODUCEが手がけています。

(*1)ファサード:街路や広場などに面する建物の正面部分のこと。建物のいわば顔としての役割をもつ。引用:コトバンク

リノベーションする前の建物は、川沿いにあるにも関わらず窓がなく、窮屈な空間でした。というのも、40年ほど前の隅田川は今よりも汚れていて、とても川側に窓を設置できる状況ではなかったからです。

MIRRORの内装

しかし当時と比べるとかなり綺麗になった現在は、隅田川沿いのロケーションを活かさない手はありません。

川側を一面ガラス窓にした結果、一年を通して隅田川を一望できるうえ、夏には隅田川花火大会を観ることができる絶好のスポットとなりました。開放感のある雰囲気が訪れる人々のお気に入りの席をつくっています。

ピンク色のファサードは、東京の東と西側を「新・旧」にわける境界線

そもそも「MIRROR」を運営する株式会社バルニバービは、なぜ蔵前という地域で店を開こうと考えたのでしょうか。

「東京の西側なら目的がなくても自然と人は来てくれます。ぼくらは、あえて人が少ないところを選んで、町づくりのひとつとしてゆっくりMIRRORを熟成させていきたいという気持ちが根本にあります。」

東京の東側が熱い!と語る吉田さん

こうした想いの根底には、これからのカルチャーシーンを牽引するのは、西ではなく「東」東京だという価値観があります。シエロイリオの入口にあるピンク色のファサードは、東京の東と西側を「新・旧」に例えて東京の世界観を表しているのです。

「ピンクを通して見ると、視覚的にモノクロのように見えます。つまり、このファサードを通して見える世界の向こう側は、モノクロ調の旧の世界。対して東京スカイツリーやMIRRORをはじめとしたファサードから東側は新しい世界です。ファサードは新旧の世界を表し、その境界線となっているんです。」

ピンクの色が光に当たり、グラデーションがよく分かる

同施設が提案している価値感は、ニューヨークやロンドンのカルチャーシーンに大きく影響されているそうです。各都市の東側エリアは、物価や地価が安いため、若いクリエイターが集まってきています

このような流れを見た吉田さんたちは、同じ動きが東京の東側でも興るのでは、と蔵前を選びました。

文化的に飽和しつある渋谷や代官山などの西側の地域は、流行に流されているわけではなくとも、どこに行っても何でもあるため、一見どの店も同じように見えてしまいます。対して東側にある蔵前では、各店の個性がより際立つのです。

目的を持たずに訪れたい町

蔵前には、雑貨やファッション関連の店をはじめ、カフェやイタリアン、焼き鳥屋や居酒屋などの飲食店が数多く点在しています。例えば夜の8時から12時までしか営業していないラーメン屋もあるそうです。

だからこそ蔵前に訪れるなら「目的もなくふらふらするのがいい」と吉田さんは勧めます。

MIRRORの開放感のある店内

「発見を求めて、もっと知りたくなる町で、自分しか知らない所有欲や、発掘欲を満たしてくれる良さがあるんです。今は仕事に生きる女性が増えていて、休みの日なのに予定を詰めた休日しか過ごさない人が多いですよね。蔵前は、もっと肩の力を抜いて、目的を決めずに来ると楽しめると思います。

それに、住むのにもいい町ですよ。相手を思いやる礼儀や丁寧さの精神が浸透していて、スーパーに行くと顔見知りの人と喋ったり、おかずを交換したりするんです(笑)。以前住んでいた港区では、隣に住んでいた人すら知らなかったのに。

蔵前は今、静かな町から賑やかな町へと変化しています。だからこそ「地域で暮らす方々にも変わっていく様子を『いいね!』と言ってもらえるような、蔵前という町に愛される店でありたい」と吉田さんは言います。

気張らない町・蔵前に居を構え、これからのカルチャーシーンを牽引していく「MIRROR」。ここから東京の東側が、もっとおもしろくなっていくに違いありません。

お店の情報

MIRROR
住所:東京都台東区蔵前2-15-5
最寄り駅:都営大江戸線「蔵前」駅A7出口より徒歩2分、都営浅草線「蔵前」駅A2出口より徒歩5分
電話:03-5820-8280
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小松﨑拓郎

ドイツ・ベルリン在住の編集者。茨城県龍ケ崎市出身、→ さらに詳しく見る

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【蔵前】食文化の今と昔を「結わえる」。玄米を味わえるテーマパークを目指して 【蔵前】身体に優しいコーヒーを。ソルズコーヒー(SOL'S COFFEE)

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