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【蔵前】文房具専門店「カキモリ」書くことを楽しむきっかけをこの町から

モノづくりの町【蔵前】特集、始めます。

蔵前に約5年前にやってきた「カキモリ」。オリジナルのノートやインクを作ることができる文房具専門店です。

「たのしく、書く人を増やしたい」という思いでオープンしたという代表・広瀬琢磨(以下、広瀬)さんに、蔵前という町と「カキモリ」のチャレンジについてお話を伺いました。

「カキモリ」店主・広瀬琢磨さん
「カキモリ」代表・広瀬琢磨さん

「書く」時間を楽しむきっかけを

「カキモリ」という店名を漢字で書くと「書人」となります。「入力する」ことが一般的になってきた現代において、「書くことの楽しさをもう一度味わってほしい」という広瀬さんの願いが込められています。やわらかなイメージを与えたかったという店名は、どこか響きが「防人(さきもり)」に似ています。

広瀬さんは文房具店の3代目で、お祖父様が群馬県で文房具店を創業しました。2006年に東京の文房具サプライ系の会社を傘下にしましたが業績が芳しくなく、経営が苦しくなった中で、勝負に出ようと出店を決めたのが「カキモリ」だったそうです。

今の時代、IT化の流れは止められませんし、一日のうち一度も文字を書かない暮らしをしている人も少なくなさそうです。それでも、時にはスマホやパソコンではなくてノートとペンだけ持って出かけたり、メールやLINEじゃなくて手紙を書いたり「書く」という時間を少しでも楽しんでもらいたい、と広瀬さんは語ります。

蔵前の地で、新しい文房具の挑戦をしたい

「カキモリ」は、蔵前では文房具屋の第一人者でもあります。この地域にお店をオープンさせた背景には、文房具づくりをしている職人や、文房具関連の下請けメーカーが多く集まる地域であったこと、そして家賃が手頃であったことが挙げられます。

オリジナルノートが完成

「文房具は道具のひとつですから、使ってもらわないと意味がないと思っています。だからこそ手を出しやすい値段設定にしたくて、できるだけ固定費がかからない場所を探しました。

それに東京だと、青山や表参道みたいなおしゃれなお店が揃うところに出店しても、埋もれてしまうと思います。蔵前のような小売に向いていない場所であってもコンセプトが尖っていれば、お客さんは来てくれると考えました。」

「カキモリ」で買えるボールペン

おかげで、商品の値段設定も過剰に高額にする必要はなかったとのこと。もちろん手作りであれば、手間ひまに比例して値段が張るものもありますが、文房具をとりまく古い世界で何か新しいことを、と考える広瀬さんたちにとって、蔵前はうってつけの土壌でした。

最近では、「カキモリ」の文房具作りに携わる職人さんも蔵前に拠点を構えている方が多いことも手伝って、「カキモリ」の存在自体が地元の方に徐々に浸透してきたといいます。蔵前という町をあげて、モノづくりがじわじわと盛り上がってきている証拠です。

ですが一方で、広瀬さんは危機感や使命感を持っているとも言います。

「蔵前には、『カキモリ』のほかに文房具屋がありません。それに、革製品や文房具作りを辞めてしまう職人さんも増えています。だからこそ『カキモリ』は文房具を売るだけでなく、お客様と職人さんをつなぐ役目を担いたいと思っています。」

蔵前を軸に世界へ飛び出す「カキモリ」の未来

「カキモリ」店主・広瀬琢磨さん

幅広い層のお客様が「カキモリ」には訪れます。お店としても特にターゲットを限定しているわけではないと、広瀬さんはいいます。

「文房具というと、どうしてもマニアックな人や文房具好きな人しかこだわらないのかなと思われがちだけれど、基本的に日常で使えるものだから、もっと気軽に来て手に取っていただきたいと思いますね。」

お客様との距離感をとても大切にしているため、要望が多い種類の紙を新しく入荷したり、新商品のヒントをお客様からいただくこともあるのだとか。

「カキモリ」のオリジナルノートと手作りインク
画像:【蔵前】文具lady.が行く!「カキモリ」で自分だけのノートとインクを作ろう より

また、2014年には「ink stand by kakimori」という自分の好みの色のインクを調合できるお店も「カキモリ」の隣にオープンさせました。特注の小瓶を使い、従来の大きくて場所を取るインクとは違い、もっと気軽にペン感覚で使えるうえ、自分だけのオリジナルの色合いのインクを購入できます。

「色のバリエーションを楽しむというところから、書くことを楽しんでほしいなと思っています。『ink stand by kakimori』は、内装などあえて大人っぽくして、雰囲気は誰にでも開けた場所にしたいと思っている『カキモリ』と少し違いますが、根底にある『書くことを楽しむ』というコンセプトは共通しています。」

他にも、オンラインショップは設けないなど、作ったものをお客様に直接届けることにこだわりを置いている「カキモリ」。蔵前というホームから、次は文房具界にどんな新風を吹き込むのでしょうか。

「今後は、蔵前に軸足をおきながら、需要があるのに供給が足りていない海外にお店を出していきたいです。主に東南アジアかな。

それから去年以降、自社で職人さんを全員引き込んで、ものづくりが続くような環境を整え始めています。今後は、他国に展開していくためにも地盤を強くするためにも職人さんを巻き込んでいく拠点を、蔵前以外にも増やしたいですね。」

カキモリの外観

このお店の情報

カキモリ
住所:東京都台東区蔵前4-20-12
最寄り駅:都営大江戸線「蔵前」駅A5出口より徒歩2分、都営浅草線「蔵前」駅A4出口より徒歩5分
電話:03-3864-3898
営業時間:火~金曜 12:00-19:00 土日祝日 11:00-19:00
※現在、元のインクの供給ストップにより一時閉店中。11月には再開を予定。詳細はこちら
定休日:毎週月曜日(祝日の場合は開いています)
公式サイト:たのしく、書く人。「カキモリ」

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探求者

立花実咲

1991年生まれ、静岡県出身の編集者。生もの&手づくりのもの好き。パフォーミングアーツの世界と日常をつなぎたい。北海道下川町で宿「andgram」をはじめました。→ さらに詳しく見る

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【蔵前】素敵な一日を、ゲストハウス「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」から 【蔵前】文具lady.が行く!「カキモリ」で自分だけのノートとインクを作ろう

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