営みを知る

【蔵前】ひとりの女性が大好きな洋服の店をつくるまで|SUNNY CLOUDY RAINY

モノづくりの町【蔵前】特集、始めます。

「結婚したい」「出産したい」「お金が必要」……自分のやりたいことだけを優先して生きるということは、失うものも大きい。幸せに暮らしていくためには、未来を見据えて予防線を張りながら暮らすことも大切です。しかし、そういう暮らし方を続けていると、モヤモヤしてきて、だんだん辛くなるのではないでしょうか。

今回お話をうかがったのは、高校時代からの夢だったというファッションセレクトショップ「SUNNY CLOUDY RAINY」を、2015年3月に蔵前でオープンした店主の秋山香奈子(以下、秋山)さん。心の向かう方へ、素直に暮らすことの大切さを教えてくれます。

どんな時も自分らしく在ろう

どんな時も自分らしく在ろう──「SUNNY CLOUDY RAINY」は、様々なものごとが共存する毎日だからこそ、その日の感情や感覚を大切にすることを提案しています。店名は、天気のようにコロコロ変わる女性の気分をイメージして名付けられたそう。

「雨の日は濡れない素材のものを着たり、気分が落ち込んでいる時は華やかな柄の洋服を着たくなったりします。その日の気分で着たいと思う洋服を手に取ってもらいたいです。」

SUUNY CLOUDY RAINYの店内

こだわりは、変化を感じられるお店であること。店内はディスプレイを自由に変更できるように、ポールやフックが多数設置されており、テーブルもタイヤ付きのため容易に動かせます。「毎日来ても楽しく、飽きないお店にしたい」という秋山さんの願いが込められています。

ずっと夢だった、ファッションに携わる仕事

秋山さんご自身は、高校生の頃から洋服が好きだったそうです。しかし当時希望していた服飾系の専門学校への進学は親の反対に遭い、工業意匠学科(現デザイン工学科)に入学。卒業後に入社した印刷広告の仕事を経て、ファッションECサイトを運営する仕事に転職します。

「洋服が好きで『やっぱり諦められない』と親を説得して、当時の就職先だった仙台から千葉に引越しました。転職先のファッションECサイトでは9年ほどお世話になり、自分のセレクトショップを持ったり、買い付けやブランドの発掘をしたりしていました。」

ワンピースやカットソー

それから2014年の7月に会社を退職して、「SUNNY CLOUDY RAINY」をオープンするための物件探しをはじめます。

「こだわりを持って洋服をつくっているブランドでも、シンプルで価格が高いものだと、ネット上では手が出しづらいんです。ブランドの想いをちゃんと届けていくためには、洋服に触れないと伝えられないことがあると思ったことが、お店を始めようと思ったきっかけです。そして好きな洋服に囲まれて暮らすこと、その魅力を伝えていくことは昔からの夢でもありました。」

ディズプレイのドライフラワー

蔵前には密やかに続々と、小さな店を開く人たちが増えており、「SUNNY CLOUDY RAINY」もそのひとつです。蔵前で店を開くことを決めた理由は「物件との出会い」と秋山さんはいいます。

「このビルのレトロな感じと、空間全体を囲むように窓が付いていて光が入ること、そして十分な広さが決め手でした。この空間で何をしようかと、すごくわくわくしましたね。」

物件が決まってからはオープンの準備。準備をするなかで、かつての蔵前国技館をはじめとした歴史や文化を持つ町だと知る一方で、新しいお店が続々と出店していることにも気づいたそう。新しいものと古いものがバランスよく混在しているところが、「SUNNY CLOUDY RAINY」で提案したい「古いものと、あたらしいもの」という価値観にぴったり合ったといいます。

好きなものに囲まれた暮らしを提案

「古いものと、あたらしいもの」のどちらも大切にしたいという秋山さんの想いは、蔵前という土地柄と馴染むと同時に、洋服にも込められており、流行に関係なく長くずっと着るものとして洋服との出会いを楽しんで欲しいといいます。

うつわも売っている

「もちろん流行や価格の安さにもメリットはあると思います。でも、ブランドが真摯にモノづくりをしている背景を含めて、洋服を選んでもらいたい。そのほうが楽しいし、胸を張って洋服に袖を通せるはずです。」

例えば「GASA*」という20年ほど続くブランドの場合、洋服の素材から仕立て、シルエットにこだわっています。

「私の好きなブランドで、7、8年前に購入したものも飽きずにずっと着ています。その当時に買った洋服が今でも着れるくらい、縫製がしっかりしていたり、天然染めの服の色がだんだん変わって、また違った雰囲気を味わえるとか、年月を重ねれば重ねるほど楽しめる服作りをしています。

天然染の洋服は洗濯方法や干し方で、その人だけの色になっていくんです。本当に長く着れる洋服は、価格が高くても、その分納得して着られます。」

シューズや帽子も

また、ご自身も日常的に着ているという、メンズブランドの洋服を取り扱っていることも「SUNNY CLOUDY RAINY」の特徴です。

「レディースの洋服は色や形に流行りがあります。でもメンズの洋服はレディースほどの変化がありません。その分、素材や形を追求しています。レディースの洋服ばかり見てきた私にとってはとても驚きで、その素材や作り方に惚れているんです。」

SUUNY CLOUDY RAINYの内観

まだまだはじまったばかりの「SUNNY CLOUDY RAINY」と、秋山さんの暮らし。これからこの空間でやりたいことについて伺うと、人と人とのコミュニケーションの場にしたいとのこと。

「ここに来ると何かを発見できる、おもしろいことをやっていると思ってもらえるような空間にしていきたいです。作家さんの展示やワークショップなど、開放感のある広い空間を活かして表現できることはたくさんあります。

ここを訪れてくれる人に、胸がときめく発見や歓びを感じてもらえるよう、モノだけでなく人との繋がりも生まれるような空間にしていけたらと思っています。」

フラワースタンド

“太陽が眩しい晴れの日も、ぼんやり霞んだ曇りの日も、突然の雨だって、どんなときも自分らしく。”

天気のように変わる毎日の気分に寄り添って、
曇りの日に心地よい晴れの気分をたのしんだり、
晴れの日にしっとり雨の気分をたのしんだり、

いろんなものが共存する毎日だからこそ、その日の気分・そのときの感覚で選ぶことを大切にしてほしい。

ありきたりなものも、ばらばらなものも、ぎゅっと集めて、
組み合わせることで生まれるあたらしい価値を発信していきます。

旅と、日常と。
古いものと、あたらしいもの。
毎日変わる天気のように変化のあるお店。
(引用:公式サイト

お店の情報

SUNNY CLOUDY RAINY
住所:東京都台東区蔵前4-20-8 東京貴金属会館2階
営業時間:12:00〜18:00 不定休(オープンカレンダーをご参照ください)
電話:03-6240-9779
アクセス:都営浅草線 蔵前駅A4出口 徒歩4分
都営大江戸線 蔵前駅A5出口 徒歩4分
公式サイト:http://sunnycloudyrainy.com

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探求者

小松﨑拓郎

ドイツ・ベルリン在住の編集者。茨城県龍ケ崎市出身、→ さらに詳しく見る

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