2017年5月から「灯台もと暮らし」編集部の立花は、北海道下川町という人口約3,400人の町へ移住しました。そこでの日々の暮らしの一部を切り取る「下川町日記」をお届けします。
わたしが暮らす下川町の気温差は、年間通して60度ほどある、らしい。
確かに10月中旬ですでに日中でも10度以下まで下がろうとしている。
こんな過酷な環境で、木々がゆうゆうとのんきに過ごしているはずがない。
ややもすればあっという間に日が短くなって冬が来る。
「その前に、なんとかして命を全うしなければ!」と、葉脈の先までどくどくと水を吸い上げ日光を取り込む音が聞こえてきそうだ。
下川町の四季は、パキッとしている。特に色彩の変化がいちじるしく、主張が強い。
これまで東京と地元の静岡にしか住んだことがないわたしにとって、四季のメリハリは自然の色味の移り変わりだけではなく、街角で見かける装飾だとか張りめぐらされた広告で感じることが多かったかもな、と思い返した。
下川町ではない他の地域では、どうだろう。
よく移住をした方々に「自然が豊かなところが魅力」だとか「季節の移ろいを感じられることが幸せ」という声を聞いていたから、四季の移ろいの豊かさでいえば、どこの地域も豊潤であるに違いない。
でも、まったく違う生活環境で一年を過ごすからこそ、初めて分かる良さがある。季節単体ではなく、“自然の流れの中で生かされている”感覚が強まるからだろうか。
そうした発見は、暮らしている場所をより特別に見せてくれるなと、黄色や朱色に染まった山の中を歩きながら思う。