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暮らしと仕事がゆるやかにつながる“ワーク・ライフ・リンク”な北海道下川町で場所を問わずに働く

一人ひとりが歴史を紡ぐ風を生む【北海道下川町】特集、暮らしながら始めます。

パソコン一台だけ持ってオフィスを飛び出し、好きな場所で仕事をする。

副業で、ずっとやりたかったことにチャレンジする。

週休3日で、余暇を充実させる──。

いま、「仕事」や「働き方」の解釈もスタイルも、どんどん自由になってきています。

わたし(もとくら編集部・立花)が北海道下川町という、都心から遠く離れた森林の町で暮らし始めて、もうすぐ一年。

この一年で日本のいろいろな地域にサテライトオフィスが完成したり、フリーランスの方々が半分休暇、半分仕事で地域を訪れたりと、仕事をする場所にあえて都会を離れた地域を選ぶ流れがますます加速したように感じます。

北海道下川町
「森のなか ヨックル」にて

各地で魅力的なお仕事環境が整いつつあるいま、下川町も、もとくらの特集にもある「場所にとらわれない働き方」ができる地域の一つとして、少しずつ様々な方を受け入れてきました。

「ワーク・ライフ・リンク」なまち・下川町で仕事が捗る4つのポイント

「環境を変えるだけなら、わざわざ遠い下川町でなくても他の地域でいいじゃない」という声も、もちろんあるでしょう。

ただ、下川町は1901年に開拓の鋤が入って以降、ひとの出入りが多く、よそ者に対するおおらかな町。だからこそ、移住してくる人々や短期・中期で滞在する人々に対する特別感は良い意味で無いと感じます。

タノシモカフェ

観光客も含め、外から来るとどうしても定番どころや決まったひとにしか会わず、常に「お客様」状態になりがち。

けれど、自分自身が町にとけ込みながら地域のリアルがにじむ「地元のひとの暮らし」を体験できる入り口が、町内には散りばめられているのです。

仕事と暮らしを分断せず、ゆるやかに繋がるライフスタイル「ワーク・ライフ・リンク」を提案している町だからこそ、ふらりとやって来たひとも隔たりなく入っていけるのかもしれません。

そういった「暮らしを体感できるお仕事環境」を含め、下川町で仕事が捗る4つのポイントをまとめてみました。

(1)安定したWi-Fi環境

これが無いと始まらない!というものの一つが、インターネット環境。場所を問わずに働くひとにとってはWi-Fiは命綱です。

下川町では「まちおこしセンター コモレビ」、そして下川町役場前の町民会館図書室にもフリーWi-Fiが通っています。図書室のWi-Fiパスワードは定期的に変わるので、受付の司書の方に聞いてみてください。

宿泊場所の「森のなか ヨックル」でもWi-Fiが飛んでいます。ご自身のモバイルWi-Fiを持って来ていただいても大丈夫。わたしは個人のWiMAXの端末でつなぐこともありますが、速度も特に問題ありません。

北海道下川町
まちおこしセンター「コモレビ」の窓際の席は両サイドに電源あり
北海道下川町, 株式会社drip
「コモレビ」の共有スペースにはパーテーションで区切られたスペースも
北海道下川町, 株式会社drip
事前申請が必要かつ有料だが「コモレビ」内に会議室も有り

(2)余計なものは何もない。自然に囲まれた立地が集中できる環境をつくり出す

下川町の面積は、東京都23区と同じくらいですが、その敷地の9割が森林。

市街地から5分ほど車を走らせれば、あっという間に森林や牧草地が広がります。

北海道下川町

「自然が豊か」なのは、もはや日本のどの地域もほとんど変わりません。さらに、下川町は小樽や函館のような観光地ではないので、見た目の派手さはありません。ですが、飾りっ気のない素朴な町だからこその良さがあります。

もとくらの創刊編集長である伊佐も、以下のように書いていました。

たとえば京都や沖縄でノマドワークをするのももちろん楽しいのですが(中略)「滞在地周辺に観光地や食べたいもの、魅力があふれすぎていて、仕事に集中できない問題」が発生しがちです(笑)。

対して下川町は、温泉や大自然、地元の方が心を込めて経営されている飲食店や、「伊佐さん」と名前で呼んでくださる方々がふらりと立ち寄る「コモレビ」などが、メインの居場所。たしかに京都や沖縄などとくらべてしまったら、そりゃあ見どころは少なくなるかもしれないけれど、そのぶん心が休まります。気持ちの上下が少ない分、本当に落ち着いて仕事に集中できるんです。(【北海道下川町】がノマド仕事に最適な理由5つ〜「場所にとらわれない働き方」を7日間実践してきた〜より)

夏は萌える緑に覆われ、冬は雪で一面真っ白。車の通りはもともと多くはないですし、冬は雪が音を吸うため、雑音もなくより一層静かになります。

広告物や人通りが少ないというだけで、これだけ集中力が上がるのかと驚くほどです。また、北海道の室内の断熱性はピカイチでマイナス30度になろうと部屋の中はまったく寒くありません。

北海道下川町

町内で暮らす人々は比較的オープンで柔軟な方が多いですが、地理的な条件で言えば最寄りの空港からは2時間ほどかかりますし、電車は通っていない地域ですから誰でも気軽に来れる立地ではないのが現実です。

ですが、何処へでも便利にアクセスできる時代だからこそ、ある程度閉ざされた空間というのは逆に貴重なのかもしれません。

(3)平日も休日も、あちこちでイベントが!

下川町では、個人や任意団体などが主催・企画をするイベントごとがとても多いです。

週末はもちろん平日も、町のどこかで何かしらのイベントが開催されています。

地域住民による清掃活動やパークゴルフ大会など、町民による町民のためのイベントもたくさんありますが、町外の方も気軽に参加できる催しも多いです。この数々のイベントこそが、まさに「下川暮らし」へのタッチポイントになっています。

* みくわの日

毎月1回、第3日曜日に開催される「みくわの日」。みくわが丘という、町民が自由に出入りできる森で開催されています。「みくわの日」は町外の方も参加OKで毎回子どもから大人までたくさんの方々が参加しています。

みくわの日

「みくわの日」を運営するのは、下川町内に暮らす有志のメンバー。大人から子どもまで、森の遊びを満喫することができます。

わたしが過去に参加したものの中でも印象的だったのは、薪小屋づくりと森のバウムクーヘンづくり。町内の諸先輩方にアドバイスをもらいながら、森林の中で火を焚いたり木材を切ったり……。

自然に囲まれた遊びや暮らしの一部を、気軽に体験することができます。

仕事に疲れてリフレッシュしたい!という時は、「みくわの日」にぜひご参加を。自由気ままな下川町メンバーがおもてなししてくれます。

* タノシモカフェ

「タノシモカフェ」も「みくわの日」同様、月に1回開催されているパーティーのようなもの。

「コモレビ」の共有スペースで2時間ほど、一品持ち寄りのポットラック形式で参加無料の飲み会が開催されています。

タノシモカフェ

移住してきた方々が「仕事以外の友人や知人ができない」と悩んでいる声を聞いたのがきっかけで、2017年の冬からスタートしました。

せっかく町を気に入って引っ越してきたものの、町内のひとと知り合うきっかけが掴めないというのは、実はよくある話。そのままなかなか馴染めずに出て行ってしまうというケースもあります。

わたしが下川町で暮らしながら感じたのは「自分から飛び込んで行くひとに対して寛容」という町の方々のあたたかさ。「愛して欲しいならまず自分から」なんて言うように、楽しい暮らしは主体的につくりだせばいくらでも可能性は広がるなと感じます。

ただ、自分から積極的に町のイベントに顔を出すことで拓けていくのは間違い無いのですが、恥ずかしかったり緊張したりしているひとたちもいるのは事実。

そうした方々を置いてけぼりにしないことが、下川の特徴かもしれません。

「何もないなら自分たちでつくり出そう」

先ほど、下川町は地理的にもアクセスがいいとは言えない地域だということを書きました。そして観光地でもないため、派手な娯楽施設などはありません。

下川でイベントが多いのは、暮らしているひとたち自身が「自分たちの住む町をもっと良くしたい」「楽しく暮らしたい」という気持ちの表れなのではないかなと思います。

もし長期で滞在する場合、仕事のリフレッシュがてら、こうしたイベントごとに顔を出すと町の違った一面が垣間見えるかもしれません。ぜひ下川町の「巻き込み力」に乗っかって参加してみてくださいね。

(4)車がなくても大丈夫

下川町は半径2キロ以内に市街地がまとまっており、ほぼすべての飲食店や日用雑貨を購入できるお店がそろっています。

そのため、「みくわが丘」や「コモレビ」、「ヨックル」や図書室などすべて徒歩圏内。多少遠くてもレンタル自転車があれば、町内の移動は自由自在です(自転車はヨックルでレンタル可能)。

実際、わたしも自分の車を持たないまま、下川町暮らしを1年終えようとしています。周りの助けなしには無理ですが、町外へ接続するバスもありますし、意外となんとかなるものです。

下川町営バス
下川町営バスはゆるキャラ「しもりん」が目印

また、町内には「五味温泉」という温泉があるのですが、下川町コミュニティバスで行くことができます。

「コモレビ」の向かいにあるバスターミナルから、町内の日用雑貨が買える「末武商店」、森に近い公園「フレペ」を経由して「五味温泉」へ向かい、そして再びバスターミナルへ戻ってくるルートで、1日に5便。

バスターミナルから五味温泉の間は、中学生以上69歳以下だと200円、幼児・小学生・70歳以上だと100円かかります。

バスの時刻表は、こちらです。

泊まる場所、いろいろ

下川町内に訪れたら、宿泊できるところはいくつかあります。滞在期間や好みに合わせて選べますが、シーズンによっては早めにおさえないと埋まってしまっていることもありますのでご注意を。

(1)森のなか ヨックル

森のなかヨックル

一棟貸しの「ヨックル」は2タイプあり、Aは広々として布団を敷いて眠るタイプでグループで使いやすい間取りになっています。Bタイプは個室が2つあり、大人4人まで1棟に宿泊可能。

森のなかヨックル

AもBも台所がついており、調理器具や器、炊飯器などの電化製品もそろっているため自炊ができます。

しかもヨックルの裏にある「ヨックルガーデン」に植えられた野菜たちは宿泊客ならどなたでも食べてOK。時々畑仕事をしているスタッフの方がいますので、旬のものを聞いてみるのも良いかもしれません。

(2)結いの森

結いの森

2017年11月にできたばかりのビジネスホテル「結いの森」。シングルルームが18部屋あり、あとはゆったり使えるラージ・シングルが2部屋、そしてツインが2部屋あります。

結いの森

ぐっすり眠れるように、扉が二重になっているのが特徴。内装は下川町産のトドマツやカラマツといった針葉樹、そしてナラなどの広葉樹も使われています。さすが森林の町!

全室フリーWi-Fiも完備しており、枕元にはUSB端子もついていて、個人で下川に訪れた方には、過ごしやすい空間です。

ちなみにこの「結いの森」のロゴになっている筆文字は、わたくしめが書きました。その時の裏話は以下からどうぞ。

(3)五味温泉

「仕事は市街地で終わらせて、とにかくゆっくりまったりしたい」という方には、五味温泉がオススメ。

素泊まりから朝夜食事付きのプランまで、自由に選べるいわゆる「宿泊施設」の鉄板どころです。

五味温泉

五味温泉の含二酸化炭酸水素塩泉は、国内でも珍しい泉質で、遠方から通う根強いファンもいるんだとか。

五味温泉

ネックなのはWi-Fiが飛んでいないこと。それを吉とするか凶とするかはワークスタイルによりけりですが、個人で持ってきているモバイルWi-Fiも、よほどのものでない限り電波が届きません(携帯の電波は届きます!)。

ですが温泉まで肩まで浸かったら、あとは寝るだけ! という至福のときを過ごせます。

(4)エコハウスみくわ

この五味温泉の隣にあるのが、一棟貸しの宿泊施設「エコハウスみくわ」。

エコハウスみくわ

こちらも内装に下川町産の木材が使われており、壁一面がガラス張りでとてもおしゃれで開放的な空間が広がっています。

エコハウスみくわ

実はお風呂の一部の壁もガラス張りなので、夜に入浴しているとキツネや鹿と目が合うとか合わないとか……。夏は無料でBBQセットも貸し出しており、庭でBBQもできます。

徒歩1分もかからず五味温泉へ行ける立地ですが、こちらはWi-Fiが飛んでいます。大人数で開発合宿などもできそうですね。

ただ、市街地までは離れているため町営バスを利用するか、レンタカーを使うのがベスト。宿泊の予約・お問い合わせは「五味温泉」の窓口と同じです。

来たひとにだけわかる、風抜ける森林の町のやわらかさ

東京からではドアtoドアだと約6時間以上かかる下川町ですが、遠さというのはデメリットでもあり、またメリットでもあるなと感じます。

便利になればなるほど、ちょっと時間をかけて足を延ばすという体験は、きっと今後どんどん貴重になると思うからです。

だからこそ「ここにしかないもの」は、実際に足を運んで、五感で体感したひとだけが知りえる秘密の体験。

いつもとは違った環境で仕事をすることでアウトプットの質を高めたり、心身を整えたりしたいという方は、いつでも下川町へお越しくださいね。

実際に来ていただいた方々のログ

わたしが実際にお呼びして、下川町に滞在していただいた方々に「どんな時間を過ごしたのか」「どれくらい仕事が捗ったか」ということを記事にしていただきました!

時には暴風雪を乗り越え、遠い北の国へ来ていただけるのは本当に嬉しい。

ということで、記事への反響とともにご覧くださいね。

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探求者

立花実咲

1991年生まれ、静岡県出身の編集者。生もの&手づくりのもの好き。パフォーミングアーツの世界と日常をつなぎたい。北海道下川町で宿「andgram」をはじめました。→ さらに詳しく見る

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世界を変えたいならまず自分が変わる。北海道下川町を“森と暮らす”先進地域へ|奈須憲一郎 木工作家が暮らしを診(み)て家具を治す「家具乃診療所」をつくります【北海道下川町】

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