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【青森県十和田市】「ただ治すのではなく、生活に寄り添う施術を」柔道整復師・服部玄気 

きっとあなたも夢中になる。「好き」が探求できる、大自然とアートの街へ【青森県十和田市】特集、はじめます。

げんき接骨院の治療は、その場限りの治療ではなく、患者さんの元気な未来まで視ている。

これは、青森県十和田市にある「げんき接骨院」の院長・服部玄気さんに取材をし、筆者が感じたことです。

院長の玄気さんは日々、ひとり当たり約1時間のヒアリングをし、身体の理論に則った治療をしています。とても時間をかけ、アフターケアまで念入りな治療をされているため、玄気さんが1日に診ることができる患者さんは多くて8人程度。

げんき接骨院がこんな治療スタイルを貫くのはどうしてなのか。玄気さんは「ひとを治す」ことや「元気な状態」をどう捉え、患者さんと向き合っているのか。

柔道整復師・玄気さんに現在のような治療スタイルになった経緯や想いを伺っていくと、東京での柔道整復師の経験、そして「家族」や「地域のひとたち」のエピソードにつながっていきました。

普段から目の前の人たちの元気を願う玄気さんだからこそできる、「げんき接骨院」の治療法と、治療に込められた玄気さんの想いをご紹介します。

服部玄気 げんき接骨院

服部 玄気(はっとり げんき)

岐阜県加茂郡白川町出身。東京農業大学を出た後、都内接骨院にて治療に関わりながら柔道整復師専門学校に通う。2014年に柔道整復師国家資格取得。その後都内の接骨院で経験を積む。2015年に家族で青森県十和田市に移り住み、「げんき接骨院」を開業する。10年以上放置されていた畑を開墾して行う家庭菜園と日曜大工が趣味。

ただ治すのではなく、生活に寄り添う

── 玄気さんは、なぜ柔道整復師という資格をとろうと思ったのでしょうか。

玄気 もともと、実家の農業を継ごうと思っていたんです。

実家の周りにも農家が多くて、農作業をする中で腰や膝が痛むという方たちの話をたくさん聞いてきました。私自身、農業大学に通っていた頃に、将来は農業をしながら、そういった方たちに何かできないかと考えたのが最初のきっかけでした。

今でも地域のひとたちの元気な生活を手助けをしたいという想いが根底にあるんです。来てくださった方に元気になってもらいたい、そのあとの生活も元気で過ごしてほしい、といった想いを込めて、『げんき接骨院』という名前をお店に付けました。

── 玄気さんにとって、「ひとを治す」とはどういうことなのでしょうか。

玄気 ひとの身体を治すという仕事は、ただその場で症状が回復すればよいというものではありません。

患者さんが治療のあとも快適に過ごせるところまで前提にして仕事をしなければならないのです。施術後の生活にまで寄り添ってサポートやバックアップをする、それが私にとって「ひとを治させてもらう」ということです。

服部玄気 げんき接骨院

施術前に1時間のヒアリング、そのわけとは

── ホームページを拝見したのですが、玄気さんは施術前に1時間も患者さんとお話されるんですよね。それは、なぜなのでしょうか?

玄気 「なぜそのような症状が出ているのか」を患者さんに理解していただくためです。症状には必ず、理屈があるんですよ。

── 理屈。

玄気 たとえば椎間板ヘルニアは、椎間板という骨と骨の間のクッション材が潰されて変形することによって生じます。椎間板は弾力がありますが骨に比べて柔らかいので、まるでシュークリームの端っこが潰されて反対側が破裂するみたいに、前のほうが潰されて後ろに負荷がかかってしまうのです。

こういったことを理解していただいた上で、患者さん自身がいい方向に力がかかるように気をつけなければ、アフターケアは実現しません。「痛くなる理由」がわからなければ、患者さんも注意のしようがありませんから。

服部玄気 げんき接骨院
── そういった考え方は、必ずしも一般的ではないのでしょうか。

玄気 電気を通したりほぐしたりすることで症状が軽くなる場合もあるので否定はしませんが、患者さんにたいして理屈をはっきりさせないで治療しているというところも一般的にはあると思います。

げんき接骨院の患者さんでも、3年間整形外科に通っていて膝の痛みが治らなかったのに、うちで2、3回治療したら改善したという方も多いです。

── すごいですね。

玄気 理屈を説明して、どうすれば痛みを軽くできるのかを患者さん自身が知ることで、治療後も自分で良い状態をキープすることが大切です。

そうでなければ、一度改善してもすぐに悪化してしまいますから。

服部玄気 げんき接骨院

十和田を選んだ夫の、妻への想い

── 玄気さんは、なぜ十和田という土地を選ばれたのでしょうか。

玄気 妻の一子の実家があるからです。最初は岐阜に帰るつもりだったのですが、正月に帰省したときに一子が……。

一子 泣いてしまったんです(笑)。

服部一子 げんき接骨院

服部 一子(はっとり いちこ)

青森県十和田市出身。2010年に玄気さんと結婚し、都内でケータイショップの店員として勤務していた。出産を機に移住を考え、2015年より十和田市に移住。もともと親戚のおばさんの家だった空き家を自分たちでリフォームして暮らしている。

── そうなんですね。

一子 夫の実家には親戚や兄弟がいっぱい集まっていてとても楽しかったのですが、一方で私が岐阜に住むことになると「自分の親は寂しいんだろうなぁ」と考えたら、帰り道になんだか泣けてしまって……。

玄気 私の実家には姉夫婦がいるので、孫のいる生活を私の親は知っているけれど、妻の両親はできていない。だから、そばにいたほうがいいだろうなと。

なによりも、子どもを育てるうえで母である一子さんには笑顔でいてほしいと思いました。

お母さんが苦労して、しかめっ面で子育てをするのはよくありません。妻の実家が近くにあれば、子どもを預ける時等にも両親を頼りやすいと考えて、十和田を選びました。

── 一子さんのことを考えての選択だったんですね。十和田の土地柄は、どのような印象でしょうか。

玄気 田舎過ぎず、都会過ぎずという感じ。

岐阜にある私の地元ほど田舎ではなく、東京ほど都会でもない。東京はひと同士の繋がりがほとんどないですし、待機児童の問題もありますので、子育てには向かないかなぁと考えていました。

服部一子 げんき接骨院

信念を貫いた三年間

── 現在のような地域のひとたちとのつながりは、十和田に来られた頃からもともとあったのでしょうか。

玄気 まったくのゼロです(笑)。

── 一子さんのお友だちとかは……?

一子 いなかったです。みんなお嫁にいってしまったので。独身の友だちもいることはいたのですが、子育てをしていると時間が合わず、疎遠になっていました。

はじめの半年間は患者さんも少ないので、家族三人、家の周りで遊んでいました(笑)。

服部玄気 げんき接骨院
開業するにあたり、診療所でもある自宅(もともと一子さんの親戚の家で空き家状態だった)を、全て自分たちの手でリフォームしたのだそう

── 2016年に開業されてから、大変だったのはどのようなことでしょうか?

玄気 はじめの数ヶ月間チラシをもって戸別訪問していたのですが、まったく相手にされず、打ちのめされていました。

げんき接骨院は慢性的な症状を扱っているため、保険は適用されないんです。保険が適用されない治療の金額は「高い」と判断されてしまったんですよね。

── 他の接骨院に就職されることは考えなかったんですか?

玄気 自分のやりたい治療を貫くためには、就職という選択はなかったんです。就職すればそこの院長の方針に従うことになりますが、ふつうの接骨院で1時間も患者さんと話をしていたら速攻でクビだと思います(笑)。

── あはは(笑)。

玄気 私が修行していた東京の整骨院は30分で7000円という金額だったので、東京だったら1時間あたり12,000円は頂けるような治療をしている自負はあります。

けれど、考えた末に4000円まで、生活できるギリギリまで治療費を下げました。自分で言うのは恐縮なのですが、相当の破格だと思います。

私のやりたい治療は時間のかかるものなので、そこは絶対に手を抜きたくない。なおかつ、生活していけるであろう限界の価格を設定しました。

服部玄気 げんき接骨院

「みんなが集まれる場所」をつくる

── 最後に、お仕事をする上で玄気さんが一番やりがいを感じていることを教えてください。

玄気 知っているひとたちが元気に暮らしているということが、今は一番幸せです。

── 流しそうめんや餅つきを企画して、患者さんのご家族と一緒に楽しまれているとお聞きしたのですが、それもそういったご自身の幸せにつながるところなのでしょうか。

玄気 そうですね。仲良くしている家族から「流しそうめんやるんで来ませんか?」って言われたら純粋に嬉しいですよね。子どもも喜ぶし。今日だってバーベキューやる、ってなったらテンションあがるじゃないですか(笑)。

青森県十和田市
取材当日も服部ご夫妻がバーベキューを企画してくれ、編集部一同も混ぜていただいた

── テンション上がってます、ありがとうございます(笑)。

一子 蒸したもち米をどうしたらお餅になるのか知らないひとが多すぎる!っていう、ちょっとした使命感もあると思うんですけど(笑)。

玄気 今の時代、昔は当たり前にやってきたことをやらないことが多いじゃないですか。僕はたまたま農家に生まれて、幼いときからそういったことが身近にあったので、餅のつき方や竹の加工の方法を知っている。そういう楽しさや経験を子どもたちに伝えていけたらと思っています。

今後は、お母さんたちがゆっくりお茶を飲んで、その横で子どもたちが遊べるような大きな待合室をつくりたいんです。患者さんの中には産後の骨盤矯正に来てくださるお母さんもたくさんいらっしゃるので、そういう方たちが楽しめる方法をずっと考えています。

どうすれば地域の人々が元気に暮らせるか。これからも、そこに寄り添えるような存在でありたいです。

服部玄気 げんき接骨院

編集/小山内彩希
写真/小松崎拓郎

(この記事は、青森県十和田市と協働で製作する記事広告コンテンツです)

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小山内彩希

編集者・ライター。1995年生まれ、秋田県能代市出身。

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