洋服やアクセサリーを探すとき、「普段と違う私になりたい」「もっと魅力的な自分に出会いたい」。心のどこかでそう願っている女性は多いもの。
「女の子は、みんな小悪魔な私を持っている」。ヘッドドレスや洋服、アクセサリーなどのブランドを展開する「株式会社menotte(メノット)」代表の松石優美子さんは、そう言います。
「私が一番かわいく見える、おしゃれがしたい」そのためのサポートをしているときが一番幸せと語る彼女は、青森県十和田市在住。定期的に東京に滞在し、二拠点居住のようなスタイルで仕事をしています。
menotteの商品がたくさんの女性に支持されるのは、モノの魅力はもちろんのこと、つくり手の松石さんの生き方と佇まいが素敵だから。取材を通して、編集部の伊佐はそう感じました。
松石さんがブランドを立ち上げた理由とは? そして、彼女が十和田暮らしを選んだ経緯とは? 松石さんご本人に聞きました。
「DearDevil」と「DearDevil mini」「Carine」とは
「DearDevil(ディアデビル)」は松石さんが最初に作ったブランドです。立ち上げは2003年で、ワン・アンド・オンリーの1点モノの製作が中心。ヘッドドレスに力を入れており、ウェディングやパーティー向けのオーダーメイドを多く受注しています。
「DearDevil mini(ディアデビル・ミニ)」は、DearDevilから派生したアクセサリー・小物中心の姉妹ブランド。他にはないオシャレ心をくすぐるアイテムが揃っていて、10代から80代(!)までの幅広い年代のファンから指示されています。
そして「Carine(カリーヌ)」は、3つのブランドの中でもっとも新しく、リーズナブルなライン。気軽に取り入れられるコンサバティブなアイテムが並びます
どのブランドも松石さんが「女の子が、一番素敵な私に出会えるように」と自信を持っておすすめするアイテムばかり。「かわいいけれど、私には似合わない……」はじめはそう言っていた女性が、一度身につけたら自分が知らなかった自分の魅力に気が付き、まとめ買いして帰るなんてことも多いのだとか。
展示会などで直接ユーザーと話せるときは、その方がすでに持っているワードローブやトータルコーディネートなども考慮し、その人が長く、たくさんの場面で使えるようにアドバイスすることを心がけている松石さん。
「『私には似合わない』とおっしゃる方の、その殻を破りたい(笑)。何を着よう? どのアクセサリーを身に着けよう? と考えているときの女性の表情って、すごくかわいい。アイテムの力を借りることで、『違う私』に出会えることも多いと思うんです。そしたらお出かけも毎日も、もっと楽しくなるはず」
ブランド立ち上げのきっかけ
そんな松石さんがブランドを作り始めたきっかけは、何だったのでしょう?
「もともと、20代前半にアパレル系企業の会社員として働くかたわら、『こんなものがあったらいいな』と思うアイテムを自分でつくっていました。大学が服飾・アパレル系で、そのうち仲間が『欲しい』と言ってくれるようになり、手作りのファッションショーのようなものを開催して、作品を発表し……。
当初はシーズンやラインナップは考えず、とにかく欲しいと思うものを好きなだけつくるスタイルでやっていました。でも、徐々に出展や委託販売のお声がけをだんだんいただくようになり、『きちんと商売をするなら』と商品に構成をつくり、ブランド名を付けたのが始まりです。会社を辞めて、ブランドつくりに専念しようと覚悟を決めたのもこのときでした」
今思えば無鉄砲な部分もあったけれど、若かったこともあり『やってしまえ!』という勢いもあったかも、と笑う松石さん。
モノづくりをする上で東京で暮らすというメリット、つまり刺激の多い環境の恩恵を受けていた感覚もあったとか。ではなぜ、青森県に移住することになったのでしょう。
十和田での暮らしが、モノづくりの余裕を作る
「東京はすごく刺激的で、性にも合っていました。でもやっぱり東京ってすごくスピードも速いし、活力がないとやっていけないから。若い時にいてマッチする。それは、もう十分やったんじゃないかなとあるときから思うようになったんです。
東京で出会った夫は青森県出身で、長男。結婚した時からいつかは青森へ戻るかもしれないと思っていましたし、心のどこかでそれもいいなと感じていました。
なぜかといえば、私の仕事は場所を問わずに完結させられる内容だったから。
東京では打ち合わせをするといっても、誘惑が多いから移動のたびにあのカフェに寄ろう、とかちょっとあのショップを見ていこう、とか予定外の時間の使い方をしてしまうことが多いように感じていました。でも、考えてみたら打ち合わせはSkypeや電話でもできますし、東京で仕事のベースを築いた今、移動できない理由はありませんでした」
そんな気持ちの折に2011年の東日本大震災が起こり、それが後押しする形で夫婦での十和田市移住を決めました。
十和田市は2008年に十和田市現代美術館がオープンし、「拡張するアート」をテーマに街中にも自然にアート作品が溶け込んでいます。
また十和田市現代美術館の建築は西沢立衛さんが、十和田市教育プラザ(十和田市民図書館)は安藤忠雄さん、市民交流プラザ 「トワーレ」は隈研吾さんが手がけるなど、日常の中で一流のモノに触れられる環境もそろっています。そのせいもあってか、なんだか空気が澄んでいる気がするという松石さん。
野菜がおいしく、水もきれい。さらには自然も豊かで、温泉も豊富。週末は温泉めぐりを楽しみ、明るいうちから大好きなワインを夫婦で楽しむのだとか。
「毎日余裕を持って暮らし、ゆったりとした時間の流れの中でクリエイティブな作業ができることはとても贅沢なこと。
ただ、ずっと十和田市だけで過ごすとしたら、もしかしたら創作意欲が減少してしまうかも。私の場合は、たとえば最新のインテリアを見たときにインスピレーションを受けたりすることが多いので、今は東京と十和田を行ったり来たりするスタイルでの仕事が気に入っています」
東京に滞在する頻度はおもに月に1度、1週間程度。それも決めた日数ではなく、仕事や体調などにあわせてその都度スケジュールを調整するやり方なのだとか。
十和田市に根を張り、刺激を受けに別の街へ……。もし、パソコンひとつで移動できる仕事を持っているなら、理想的な働き方のひとつだな、と伊佐は思いました。
今後は、2Dデザインにもより力を入れていきたい
じつは、3つのブランド事業と平行して、パッケージデザインやイベントプロデュースなどの仕事も手がけてきた松石さん。十和田市への移住後、地域のつながりから、地元のNPO法人が運営する「ハピたのかふぇ」のショップカードやメニュー、ドレッシングのパッケージデザインも担当しました。
今後について聞くと、「ブランド事業の継続はもちろんのこと、2Dデザイン業務ももっと拡大していきたいと思っている」とのこと。「お酒が大好きなので、ワインや、地元の日本酒のラベルデザインなどができたらいいですね」と話されていました。
取材後記
地域に移住したからといって夢を諦める必要はまったくない。むしろ選択と集中により、「好き」の密度を高めて充実した暮らしができるようになるのかもしれません。
伸びやかに生きる松石さんが作る作品たちは、きっとこれからも多くの方に受け入れられていくのだと思います。じつは私も「DearDevil」のピアスを購入済み。
私らしく生きたいひとのかたわらに、menotteのアイテムを。十和田市在住の女性の素敵な生き方のお話でした。
お話をうかがったひと
松石 優美子(まついし ゆみこ)
1974年生まれ。大学卒業後、アパレル3社で経験を積み独立。2006年オリジナルブランド「DearDevil」を設立。パーティ用ヘッドドレスを中心としたハイファッションアイテムのデザインからイベントの企画・制作も行う。商品は、都内のセレクトショップで販売するほか、シーズンごとに開催する展示会で顧客から直接オーダーを受け、受注生産も行う。
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(この記事は、青森県十和田市と協働で製作する記事広告コンテンツです)