語るを聞く

【徳島県神山町】地域の未来を考え続けていくために

より深く、神山町の魅力を伝えるために

徳島県神山町での取材にあたって、協力してくれた人たちがいます。堤進太郎さんと西聖平さん、矢崎典明さんと川上沙由理さんです。堤さんと西さんは仕事で約1ヶ月半にわたって神山町に滞在していました。

住みはじめてみると、「メディアを通して見聞きしていた神山町の印象とは、なんだか違いがあるな」と感じました。どこか心に引っ掛かるのです。

メディアに取り上げられる神山町は、IT企業の誘致など「神山モデル」という地域活性の成功例としての取り上げられ方が主です。でも、一定期間滞在してわかった違和感の源とは、神山町の魅力が「神山モデル」だけではないこと。

そこで今回、たった数日の取材ではわからない地域の魅力を伝えるべく、お二人に取材のご協力をいただきました。また、彼ら自身も神山町で過ごすことで感じた地域の課題について、住民の方々がどのように考えているのか、その一端を知ることができたようです。

違和感を感じた人が、自発的に向きあえばいい

── まず神山町に滞在してみて課題だと思っていたことについて教えてください。

西聖平(以下、西) 神山町では、移住者や地元の住民、NPO法人グリーンバレーに関わる人など、さまざまなレイヤーで暮らしている人がいます。多様な人が神山町をおもしろくしているのは事実です。でも広岡早紀子(以下、広岡)さんが言っていたように、地元の住民の意思が置き去りになっているとか、若い人が戻って来づらくなっていると感じる時があります。

要するに、地元の住民と移住者間の距離感や、メディアで神山モデルだけに光が当てられる違和感に向き合っていかないと、町としてこれから盛り上がりきれなくなるかもしれない。これに対して、住んでいる人たちはどのように考えているのか聞きたかったんです。

堤進太郎,西聖平
(左)堤進太郎さん、(右)西聖平さん

── 今回、取材にご協力いただいた地域の中で暮らすさまざまな人に話を聞いてみて、どうでしたか?

西 岩丸お父さんにお話をうかがった時、疑問がスッキリと消えました。「やったらええんちゃう」と許容してくれる人たちがいるからこそ、違和感を感じた人が、自発的に向き合っていくべきだと思えました。だから今の神山町を作り支えている人たちに疑問をぶつけるべきではないんですね。

堤進太郎(以下、堤) 地域で人をつなぐような役割をやってみたいと思えるようになりました。岩丸さんは、今ひとりでやっていることでも「やりたい人が力を合わせてやればいい」って言っていたよね。

地元の繋がりと感度の高さがポイント

堤進太郎・西聖平

── おふたりが感じたような地域に感じる違和感にはどう向き合っていけばいいと思いますか?

西 うーん。地元の繋がりを持ちながら、都会の人が持つ流行への感覚もあり、おもしろさを掴めるような感度の高い人がいるといいと思う。以前僕らが訪れた大分県の竹田市では、東京からUターンしてきた人が活躍していました。地域に溶け込みつつ、その人が支点となって地元の住民と移住者をつないだり、地域をかき回す潤滑剤になっていて。竹田市内だけではなくて、外部の人との繫がりも作っていました。

ただ、地元の人と移住者両方の協力を得られる人がいなくても、2人や3人で協力してひとつになればいい。たとえば、地元では僕らと同じような違和感を持っている広岡さんのような人がいます。僕らは地域を見て回っているから、いろんな地域で暮らす価値観を知っています。広岡さんは僕らが絶対に持てない地元の繋がりを持っている。だったらお互いの良いところを掛けあわせたらいいよね。

おそらく、どこの地域でも似たような問題があるはずです。地元と外の暮らしの両方の感覚を持つ人がいることが、これからの地域で暮らしていくための大事なポイントだと思います。

神山町のみんなから学んだこと

── いろんな人からお話を聞いて、自分の暮らしに取り入れたい考え方や生活スタイルはありましたか?

 自分が大人になったら、岩丸お父さんのように若い人を支える力になってあげたいと思います。町に来る人を受け入れてくれ、ケアもしてくれます。そしてやりたいことを許容してくれる岩丸お父さんのような人がいなかったら、こんなに多様性のある町にはなっていないはずです。

あとは「他人に期待しないこと」ですね。僕だったら若い人が神山町に来てくれれば、ずっとここいてほしいと思うし、面倒をみるからには自分に見返りがほしいと思ってしまう。岩丸さんも若い人が来てくれて嬉しいと思うんだけど、個人を尊重して、自分の期待から線を引いているところがすごいなって。

── 他にはありますか?

 隅田さんとは、ご本人とゆっくりお話をしてみたいとずっと思っていて。彼は「場所は神山じゃなくてもいい」と言いつつ、僕らが感じた違和感を隅田さんは理解していたし、それに対して手を打っていました。今回お話できて本当によかったです。

堤進太郎・西聖平
左から、川上さん、矢崎さん、堤さん、西さん

西 僕にとって印象に残っているのは、棚田農家の植田さんや草木染め職人の瀧本さんの価値観ですね。まず、自分が考えている目標に対して、何をするべきかを見極めてコツコツ積み上げていく暮らし方です。本人たちも自然にやっていて、無理がありません。

そして人とのつながりについてもそう。相手の肩書きや活動で人を見るのではなくて、どんな相手とも対等な関係で接しているところ。そうやって人間関係を形成していけば、困った時にもお互いを助け合えるような付き合いができると思います。何をするにしても大切なことだと学びました。

お話を伺った人

堤 進太郎(つつみ しんたろう)
Facebook/Twitter @shintarooooo

1987年東京都生まれ。中央大学経済学部卒。
3年間のサラリーマン生活の後、2013年から様々な文化を見るために国内外を旅する。興味を持った土地や人を訪ねて一緒に手を動かす、WWOOF的な旅を好む。現在は旅を続けながらも、地方での定住を検討中。

西 聖平(にし しょうへい)
Facebook

1989年滋賀県生まれ。関西外国語大学スペイン語学科卒。
災害支援、海外ボランティアの活動を経て、2012年より関東を拠点に本格的にものづくり、内装大工の勉強を始める。現在は全国各地でさらに経験を重ねつつ、自分が表現したいことを模索中。

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小松﨑拓郎

ドイツ・ベルリン在住の編集者 / フォトグラファー。茨城県龍ケ崎市出身、→ さらに詳しく見る

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